嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。

季邑 えり

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第一章

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「あ、いたた、頭痛い、」

 久しぶりのアルコールは、まだ身体に馴染んでいない。どうやらお酒を美味しく飲むには、もう少し身体を馴染ませる必要があるのかな、と、そんなことをまたボーっと思って周囲を見回す。

 あれ、ここはどこ? 見慣れぬ風景に、思わずポカンと口を開けた。天蓋のあるベッド、薄暗い部屋は重厚な雰囲気の家具が置かれている。寝室にしては広い部屋に、重たそうな両開きの扉。

 明らかに高貴な方の寝室に、イヤな予感がする。頭を押さえながらキョロキョロと部屋を眺めていると、後ろから声がかかる。

「リアリム、起きたかい? 喉、乾いている?」

 そこには白いシャツと茶色の下履きというラフな格好をした、ウィルティム様がいた。室内にいる時は、彼の髪は漆黒に染まる。いつもと違って、少し低い声をした彼の声が響いている。

「あ、はい、お水を貰えますか?」

 彼はコップになみなみと水を注ぎ、私に渡してくれた。受け取って、その冷えた水をゴクッと飲むと、次に彼は「はい、頭痛薬」といって、錠剤の薬も渡してくれた。

「ありがとう」

 至れり尽くせり、という感じで暖かいおしぼりまで差し出してくれる。

「あの、ここは? どこですか?」

 リラックスしている彼の姿を見ているから、危険な場所ではないだろうけど、どこだろう。

「ここは、俺の知人の部屋だから、遠慮しないで大丈夫だよ。君が良ければいつまでも、あ、とりあえずは明日も使えるから」

 ウィルティム様がにっこりと微笑んでいるからには、安全なところなのだろう。

「それはともかく、リア。さっきの話は、覚えている?」

 あれ? ウィルティム様はいつのまに私を愛称で呼ぶようになったのかな?

 それに、なぜか嬉しそうに笑っている彼の口角が、すごく上がっている。

「えっと、ウィルティム様とエッチしたい、ということですか?」

「そう、それはまだ、有効?」

「え? は、はい。もちろんですが、」

 今夜一発決めると決心して来たのだ。予定外の場所だけれど、ウィルティム様がその気になってくれそうなら、ぜひいただいて欲しい。

 そうは思っているけれど、ただならぬ色気を発している彼を身近にみると、その雰囲気に飲み込まれそうになる。

「では、遠慮なく。リア、おいで」

 私は呼ばれるままに、ふわふわと近づいていった。ウィルティム様に抱きしめられると、ふわっと石鹸の匂いがした。

 私はその夜、ウィルの体温を肌で感じた私は、そのまま意識を手放した。


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