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レオンの戦い
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そうすると、この奥には復古派のメンバーがいるのだろう。
だが、まずはこの用心棒達を、黙らせる必要がある。そう判断した私は、柱に隠れたまま、中心の一人を狙い、妖銃アレンをかまえる。この距離なら、外さない。
「パァァン」
よし、真ん中の大きい人に命中した。彼は「ううっ」とうなりながら、膝をついた。左右の男達が、すぐに近くの柱に隠れる。少しはできるようだ。
「パァァン」
二発目は、左の男の脛を狙った。しまった、掠っただけだ。動きを止めることができても、これでは、気絶させることができない。
右の男は、私の場所を把握したのか、短刀を取り出すとシュッ、シュッ、っと、2本投げてきた。すんでのところで、柱に隠れることができたので、当たることはなかった。
―――マズイ。次は確実に当てないと、こちらが危ない。
音を聞きつけた復古派とみられる人たちが、アイリスのいる玄関ホールに顔をだしてきた。4人、か。結構いる。
「今、音がしたが、何かあったのか?」
「銃声だ。静かにしろ。動くな。」
右にいた一人が、復古派とみられる人たちの動きを封じる。
「パァァン」
右の男が動いた所を狙って、3発目を撃つ。が、外れてしまった。男は短刀をまた手に持つと、こちらの動きを注意深くみていた。
緊張していた周囲は、しかしピシャっという鞭のしなる音で終わる。レオンが銃声を聞いて、私を援護しに来たのだ。
二重鞭から放つ魔力弾が命中し、左右にいた男達は、すぐに「ぐぇ」と言って、その場に崩れた。
倒れた3人を縛り上げたところで、柱に隠れていた私のところに、レオンがやってきてくれた。
「無理するなって、言っただろう。俺が待てなかったのか。まったく・・・。」
「大丈夫よ、今だって、まだ銃弾は残っていたから、レオンが来てくれなくても、何とかなったわよ。」
「強がりを言うな。まぁ、いい。先を急ごう。」
そうして、私たちはララクライン嬢のいる部屋へ向かおうとしたが、その先を王政復古派のメンバーが、道を塞いだ。
「貴方様は、アイリス・ギューエ公爵令嬢様でしょうか。」
「そうよ、スイレン姫と呼ばれる、アイリスよ。」
今日の私は、戦闘用に普段の冒険者スタイルだ。ホットパンツにロングブーツ、腰には漆黒の妖銃アレン。隣には真っ黒な魔術師のレオン。とてもではないが、可憐なスイレン姫には見えない。信じてもらえるだろうか。
「そのお姿、貴方様のお母さまにそっくりでいらっしゃる。母子そろって、冒険者ですな。」
メンバーの中でも、一番年上の、父さまよりも遥かに年上のその人は、懐かしそうに私をみつめていた。こんな時でもなければ、何も知らない母のことを聞きたいが、今は先を急いでいる。
「私たちは、ララクライン様とお話がしたいの。道を開けてください。邪魔をしなければ、私たちは何もしません。」
念のために、妖銃アレンをいつでも撃てるように、右手に持つ。
「アイリス様。私たちは、貴方様がこのスイレン宮を守り、この王国を導いてくださることを、祈念しております。」
「悪いけど、ソルディーエル王子とは、結婚したくない。これは、私の意思よ。」
「アイリス様、どうか、正しい道を歩んでください。貴方には、貴方にしかできないことが、この王国にあります。」
会話が成り立たないもどかしさを感じる。この人たちにとっては、王国の幻影が全てなのだろう。帝国がもたらした、新しい繁栄を試みることなど、けしてできないのだろう。
「アイリス、言い合っていては、時間がない。急ごう。」
レオンは私の袖をひっぱった。同時に、鞭で4人の足元を叩くと、彼らはすぐにガクッと膝を折り、気絶した。
「大丈夫だ、しばらくしたら目を覚ます。邪魔されないためだ。」
そうして、私たちはララクライン嬢のいる部屋へ、二人で向かった。
彼女の部屋は、暖かい光で満ちていた。そこには、ララクライン嬢ともう一人、私たちの良く知るその人がいた。
―――ソルディーエル王子が、その部屋にいたのだ。
だが、まずはこの用心棒達を、黙らせる必要がある。そう判断した私は、柱に隠れたまま、中心の一人を狙い、妖銃アレンをかまえる。この距離なら、外さない。
「パァァン」
よし、真ん中の大きい人に命中した。彼は「ううっ」とうなりながら、膝をついた。左右の男達が、すぐに近くの柱に隠れる。少しはできるようだ。
「パァァン」
二発目は、左の男の脛を狙った。しまった、掠っただけだ。動きを止めることができても、これでは、気絶させることができない。
右の男は、私の場所を把握したのか、短刀を取り出すとシュッ、シュッ、っと、2本投げてきた。すんでのところで、柱に隠れることができたので、当たることはなかった。
―――マズイ。次は確実に当てないと、こちらが危ない。
音を聞きつけた復古派とみられる人たちが、アイリスのいる玄関ホールに顔をだしてきた。4人、か。結構いる。
「今、音がしたが、何かあったのか?」
「銃声だ。静かにしろ。動くな。」
右にいた一人が、復古派とみられる人たちの動きを封じる。
「パァァン」
右の男が動いた所を狙って、3発目を撃つ。が、外れてしまった。男は短刀をまた手に持つと、こちらの動きを注意深くみていた。
緊張していた周囲は、しかしピシャっという鞭のしなる音で終わる。レオンが銃声を聞いて、私を援護しに来たのだ。
二重鞭から放つ魔力弾が命中し、左右にいた男達は、すぐに「ぐぇ」と言って、その場に崩れた。
倒れた3人を縛り上げたところで、柱に隠れていた私のところに、レオンがやってきてくれた。
「無理するなって、言っただろう。俺が待てなかったのか。まったく・・・。」
「大丈夫よ、今だって、まだ銃弾は残っていたから、レオンが来てくれなくても、何とかなったわよ。」
「強がりを言うな。まぁ、いい。先を急ごう。」
そうして、私たちはララクライン嬢のいる部屋へ向かおうとしたが、その先を王政復古派のメンバーが、道を塞いだ。
「貴方様は、アイリス・ギューエ公爵令嬢様でしょうか。」
「そうよ、スイレン姫と呼ばれる、アイリスよ。」
今日の私は、戦闘用に普段の冒険者スタイルだ。ホットパンツにロングブーツ、腰には漆黒の妖銃アレン。隣には真っ黒な魔術師のレオン。とてもではないが、可憐なスイレン姫には見えない。信じてもらえるだろうか。
「そのお姿、貴方様のお母さまにそっくりでいらっしゃる。母子そろって、冒険者ですな。」
メンバーの中でも、一番年上の、父さまよりも遥かに年上のその人は、懐かしそうに私をみつめていた。こんな時でもなければ、何も知らない母のことを聞きたいが、今は先を急いでいる。
「私たちは、ララクライン様とお話がしたいの。道を開けてください。邪魔をしなければ、私たちは何もしません。」
念のために、妖銃アレンをいつでも撃てるように、右手に持つ。
「アイリス様。私たちは、貴方様がこのスイレン宮を守り、この王国を導いてくださることを、祈念しております。」
「悪いけど、ソルディーエル王子とは、結婚したくない。これは、私の意思よ。」
「アイリス様、どうか、正しい道を歩んでください。貴方には、貴方にしかできないことが、この王国にあります。」
会話が成り立たないもどかしさを感じる。この人たちにとっては、王国の幻影が全てなのだろう。帝国がもたらした、新しい繁栄を試みることなど、けしてできないのだろう。
「アイリス、言い合っていては、時間がない。急ごう。」
レオンは私の袖をひっぱった。同時に、鞭で4人の足元を叩くと、彼らはすぐにガクッと膝を折り、気絶した。
「大丈夫だ、しばらくしたら目を覚ます。邪魔されないためだ。」
そうして、私たちはララクライン嬢のいる部屋へ、二人で向かった。
彼女の部屋は、暖かい光で満ちていた。そこには、ララクライン嬢ともう一人、私たちの良く知るその人がいた。
―――ソルディーエル王子が、その部屋にいたのだ。
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