【R18】お飾りの妻だったのに、冷徹な辺境伯のアレをギンギンに勃たせたところ溺愛妻になりました

季邑 えり

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アオカン?②

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 安心していた気持ちがキュッと引き締まる。でも、辺境伯夫人としては覚悟すべきことだろう。願わくば、二人きりの時にして欲しい。

「誰もいないところでしたら……なんとか」
「ああ、だが人がいても布を使えばできなくもない。時折、移動中にどうしてももよおした時などは木陰ですることもある」
「え? 移動中、ですか?」

 なんだろう、話が違うような気がしなくもない。

「我慢できない時もあるだろう。長距離を移動している時など、トイレを見つけられないこともある」
「……トイレ……トイレ⁉」

 私は素っ頓狂な声をあげていた。トイレトイレって……トイレだったと思われていたの?

 だから木陰だとか、岩の隅と言っていたのか! 確かに野外でするなら、その方が安心するけれど。

「どうした? トイレではなかったのか?」
「はぁ、てっきりアオカンをしようと言われるのかと思っていました」
「……アオカン?」
「はい、アオカンです。ご存知ですよね?」

 私が首をかしげると、ルドヴィーク様は眉間にしわを寄せている。どうやら、本気でわからないらしい。

青姦アオカンです。野外で身体を繋げることですよ」
「野外で……それはまた、ハードだな」
「はい、上級者過ぎるので、まだ早いと思っていました」

 ルドヴィーク様なら、大丈夫だと思うけれど……と、チラッと上目遣いをすると、彼は何かを想像したのか耳を赤くして目を泳がせている。

「俺は、何なら今から挑戦してみてもいいが……」
「いっ、いえ! 私はしたいわけではありませんからっ!」

 藪蛇になってしまう! と私は慌てて頭を振る。すると彼はくつくつと笑い始め、そのうちアハハッと大きな声を出した。

「アリーチェ……き、君は本当に破天荒だな。俺の予想の斜め上をいく……ふはっ」
「で、ですが! トイレだって言ってくれれば、きちんと説明しましたのに」
「だが、俺がアオカンをしたがっていると思ったのだろう?」
「それは、そうですが」

 笑っているルドヴィーク様はとても楽しそうで、見ている私も嬉しくなる。しばらくして落ち着いてくると、彼は私の頭を撫ではじめた。

「こうして髪をあげているのも、可愛いな」
「ありがとうございます……」

 甘さをたっぷり含んだ声で褒められると、照れてしまう。けれど、ルドヴィーク様は撫でている手を止めて私を諫めるような目で見下ろした。

「だが、一人で行動するのは危険だから止めて欲しい。今日は俺が見つけることができたが……街中で迷子になれば、誘拐なども疑うことになる。君はもう、辺境伯夫人なのだから」
「あ……はい、そうですね」
「もっとも、単に俺が心配になるからだ。もう、俺の前からは消えないでくれ」

 再び彼の力強い腕の中に引きこまれる。聞こえてくるのは彼の鼓動だけになり、すっぽりと包み込まれてしまった。

 私もルドヴィーク様の背中に腕をそっとまわす。王都にいた時も、迷子になった私を見つけてくれたのは彼だった。そのことを伝えようとしてハッとする。

 ——もしかして、迷子だったことを伝えると、心配させちゃうかも……

 今ですら束縛するようなことを言っている。なのに王都でも迷子だったと知ると、自由に出歩くことを禁止されるかもしれない。

 それは困るなぁ……と思い、ぐっと口を閉じる。

 そのまましばらく抱きしめ合った私達は、日が暮れる前にと馬に跨る。夏になったら、今度はこの子を駆けさせてまた来たいと思いつつ、湖を後にした。

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