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二晩続けての『待て』①

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◆◆◆ 《不憫ルドヴィーク視点》
 
 目隠しをされた時は、どうしてこんなことに? と混乱するが彼女は俺のアレを勃たせる手腕を持つ女性だ。想像もできない性技を持っているのだろう、下腹部がずくりと疼く。

 アリーチェの身体から花のように甘い匂いが漂ってくる。彼女の体温で温められた香油が、アリーチェ本来の匂いと混ざって俺の鼻孔をくすぐった。

 ふにふにと柔らかい身体となまめかしい匂いを堪能し、つい手を伸ばしておっぱいを触ろうとするが……

「あっ、ダメ! こら、動かない!」

 静止するように命じられ、両手を泳がせる。この目隠しプレイはなかなかじれったく、俺のはちきれんばかりの昂りが痛い。……そう、俺の男根が再び力を持ち、昂っている。なんと素晴らしいことか!

 感動を胸に刻みながら、彼女の次の行動を待ちわびる。さすがに経験豊富なだけあり、予想を超える動きをしている。これが数多の男を夢中にさせる手管なのかと感心するが、初心者としては普通でいいから触りたい。

 そんなことを思っていると、顔に彼女のおっぱいが突撃してくる。

「うぷっ」

 咄嗟に息を止めるが、柔らかい乳肉が頬を包むように触れている。——最高だっ!

 だが、何かと格闘しているのか、アリーチェは身体を揺らして胸を押しつける。息を荒げているが、目隠しをされているためはっきりとわからない。

 流石に心配になってくるが、彼女は大きく背伸びをすると俺から身体を離していく。顔を包み込んでいた温もりがなくなり、喪失感が俺の全身を襲う。

「……アリーチェ?」

 寝台に横になっているのだろうか、動きが感じられない。気配はあるから、そこにいることは確かだが目隠しが邪魔になる。

「もう、目隠しはとってもいいか?」

 返事がない。

「アリーチェ?」

 やはり返事がない。

 俺は手を後ろに回して布をほどき、目隠しをとる。すると、寝台に中途半端な形で横になって彼女が寝ていた。

 ――寝ている? 寝ているのか?

「アリーチェ、おい、アリーチェ?」

 肩をゆするけれど、目を開ける様子はない。先ほどまでと打って変わり、熟睡している。

「なっ……目隠しに、放置プレイまで……上級者すぎる」

 今夜こそはと期待してきたのに、今夜もおあずけになってしまうのか。ギンギンに勃った昂りは下穿きを押し上げているというのに。

「頼む……俺を放置しないでくれ……」

 思わず情けない声が漏れてしまう。だが寝ている女性を襲うなど、格式と伝統あるバルシュ辺境伯たる自分が犯すわけにはいかない。

「……っ、くっ」

 歯を食いしばり、一時を凌ぐ。今か今かと愚息は待ちわびているが、彼女が起きるまで待つしかない。

「耐えろ……耐えるんだ」

 顎を上げて天上を見上げる。辛いけれど寝てしまったからには、待つしかない。

 彼女を寝台の中央に寝かせ、掛布をかける。その隣に横になり、まだあどけない素顔の寝顔を眺めた。

「こんなにも可愛い顔をしながら……放置とは……アリーチェはなんと巧なのか」

 まさか、二晩続けて『待て』をさせられるとは。せっかく(なぜか)呪いが弱まり勃ちあがるようになったというのに、美味しそうな女体を前にして耐えなければならない。

 俺はこうして再び、ぎりぎりと奥歯を噛みしめながら眠れない夜を過ごすのだった。
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