21 / 64
妻にはもう既に負けている②
しおりを挟む
◆◆◆
「ルドヴィーク様、お食事ですか?」
「ああ、簡単なものでいいから用意してくれ」
ドサッと食堂のイスに腰かけると、デイモンドが料理長へ目配せをする。この城はいつ敵に攻められ出陣してもいいように、食事を切らしたことはない。
「ルドヴィーク様、昨夜はお疲れになりましたか?」
「ああ、今回はお前にお礼を言わないとな」
「それはそれは」
デイモンドが見つけてくれなければ、あれほどの妻を娶ることはできなかった。可愛らしい容姿をしているのに狂暴なほど魅力的なおっぱいをしている。——最高だ。
「ワインをお持ちしましょうか」
「そうだな、お前も一杯やろう、前祝いだ」
まだ最後まで貫通していないがそれも時間の問題だ。デイモンドの求めて止まない子づくりを、今の自分であれば存分なくできる。
「はて……前祝いとは? もしや、もうお子が……!」
「おい、デイモンド、それは流石に早すぎる。今もう妊娠していれば、厄介なことになる」
アリーチェは可愛らしい容姿をしているのに、これまでの男性遍歴はもの凄い。過去は気にしないとしても、これからのことは気にしなければいけない。
「契約を見直さないといけないな」
「はて、契約とは? ルドヴィーク様のご用意されていたものでしょうか」
「ああ、そうだ」
デイモンドと話しているうちに、ローストした鴨肉にベリーのソースをかけたものが運ばれてくる。温められた肉が香ばしい匂いを放ち、赤いソースが彩を添えていた。
同時に赤ワインがグラスに二つ用意される。
「デイモンド、アリーチェを見つけ出してくれて感謝する。乾杯だ」
「はい、ありがたく頂戴いたします」
グラスを掲げてそれを一気に飲み干した。今日は気分がとてもいい。
「ルドヴィーク様も、これからが勝負ですね。性豪と戦って勝つために、精のつくものをお食べください」
「うぐっ」
性豪と聞き、食べようとしていた肉が喉に詰まる。一体だれが、どうやって戦うというのか。
「念のために確認するが、それはアリーチェのことなのか?」
「はい、今朝も朝食の際に教えてくださいました。このデイモンド、このように破廉恥なことをルドヴィーク様の奥様から聞くことができるとは、夢のようで……ううっ」
「まて、デイモンド。一体何を聞いたのだ」
もしかしてもしかすると、男のロマンが詰まった『パイズリ』をしてもらったことを聞いたのか?
だが、あれは最高だった……ではない!
「何をと言われましても、奥様は奥ゆかしい方でございますので……」
「いや、だから何を話したのかを教えてくれ」
「これから夫婦になるので、がんばりたいと申されていました。ですので、奥様の手練手管に負けることなく、夫としての威厳を保てるようにですね」
デイモンドは拳を握りしめて力説するが、そのことに関してはもう結果が見えている。俺はワインを継ぎ足すとぼそりと言った。
「……心配するな、妻にはもう既に負けている」
アリーチェは完璧だ。あのおっぱいの気持ち良さに既に陥落している。勝てる気がしない。
「いえいえ、ルドヴィーク様。性技はこれからでございます。ルドヴィーク様の体力と気力と器用さを駆使すれば、必ずや奥様の方から求められますぞ」
「アリーチェから……求められる……それはいいな」
妄想の中ではアリーチェが裸となり、腰をもじもじしながら上目遣いで「もう待てないの、挿れて」とおねだりしている。
そんな未来が来るのであれば……なんて素晴らしい!
世界がバラ色に見えてくる。どれだけ勃とうが、受け止めてくれる愛妻がいるとは、なんと素晴らしいことか!
感激している一方で、アリーチェの姿を探すが気配がしない。まだ城内の案内もしていないから、午後から一緒に回るのもいいかもしれない。
「そういえば、アリーチェはどこにいる?」
「奥様でしたら、城内にあります託児所に行かれました」
「託児所だと?」
この城で働く者は、騎士も含めるとかなりの数になる。中には子育て中の夫婦も多いため、仕事をしている間は気兼ねなく働けるよう、託児所を用意してあった。
「はい、ルドヴィーク様がお呼びしているとお伝えしましょうか?」
「いや……それはいい。少し散歩してくる」
ダイニングの席を立つと、託児所のある場所を確認する。子どもに顔を見られると、これまでは泣きだされてしまうので容易には近づけなかった。しかし、股間の呪いが解けた今、顔の呪いも解けているのか確認するには、子どもに会うのが手っ取り早い。
先ほどから時折、使用人たちに顔を凝視されているが、完全に解けたのであれば子どもは怖がらないだろう。
「承知いたしました」
デイモンドに改めて礼を伝え、託児所に向かう。靴音は羽のように軽かった。
「ルドヴィーク様、お食事ですか?」
「ああ、簡単なものでいいから用意してくれ」
ドサッと食堂のイスに腰かけると、デイモンドが料理長へ目配せをする。この城はいつ敵に攻められ出陣してもいいように、食事を切らしたことはない。
「ルドヴィーク様、昨夜はお疲れになりましたか?」
「ああ、今回はお前にお礼を言わないとな」
「それはそれは」
デイモンドが見つけてくれなければ、あれほどの妻を娶ることはできなかった。可愛らしい容姿をしているのに狂暴なほど魅力的なおっぱいをしている。——最高だ。
「ワインをお持ちしましょうか」
「そうだな、お前も一杯やろう、前祝いだ」
まだ最後まで貫通していないがそれも時間の問題だ。デイモンドの求めて止まない子づくりを、今の自分であれば存分なくできる。
「はて……前祝いとは? もしや、もうお子が……!」
「おい、デイモンド、それは流石に早すぎる。今もう妊娠していれば、厄介なことになる」
アリーチェは可愛らしい容姿をしているのに、これまでの男性遍歴はもの凄い。過去は気にしないとしても、これからのことは気にしなければいけない。
「契約を見直さないといけないな」
「はて、契約とは? ルドヴィーク様のご用意されていたものでしょうか」
「ああ、そうだ」
デイモンドと話しているうちに、ローストした鴨肉にベリーのソースをかけたものが運ばれてくる。温められた肉が香ばしい匂いを放ち、赤いソースが彩を添えていた。
同時に赤ワインがグラスに二つ用意される。
「デイモンド、アリーチェを見つけ出してくれて感謝する。乾杯だ」
「はい、ありがたく頂戴いたします」
グラスを掲げてそれを一気に飲み干した。今日は気分がとてもいい。
「ルドヴィーク様も、これからが勝負ですね。性豪と戦って勝つために、精のつくものをお食べください」
「うぐっ」
性豪と聞き、食べようとしていた肉が喉に詰まる。一体だれが、どうやって戦うというのか。
「念のために確認するが、それはアリーチェのことなのか?」
「はい、今朝も朝食の際に教えてくださいました。このデイモンド、このように破廉恥なことをルドヴィーク様の奥様から聞くことができるとは、夢のようで……ううっ」
「まて、デイモンド。一体何を聞いたのだ」
もしかしてもしかすると、男のロマンが詰まった『パイズリ』をしてもらったことを聞いたのか?
だが、あれは最高だった……ではない!
「何をと言われましても、奥様は奥ゆかしい方でございますので……」
「いや、だから何を話したのかを教えてくれ」
「これから夫婦になるので、がんばりたいと申されていました。ですので、奥様の手練手管に負けることなく、夫としての威厳を保てるようにですね」
デイモンドは拳を握りしめて力説するが、そのことに関してはもう結果が見えている。俺はワインを継ぎ足すとぼそりと言った。
「……心配するな、妻にはもう既に負けている」
アリーチェは完璧だ。あのおっぱいの気持ち良さに既に陥落している。勝てる気がしない。
「いえいえ、ルドヴィーク様。性技はこれからでございます。ルドヴィーク様の体力と気力と器用さを駆使すれば、必ずや奥様の方から求められますぞ」
「アリーチェから……求められる……それはいいな」
妄想の中ではアリーチェが裸となり、腰をもじもじしながら上目遣いで「もう待てないの、挿れて」とおねだりしている。
そんな未来が来るのであれば……なんて素晴らしい!
世界がバラ色に見えてくる。どれだけ勃とうが、受け止めてくれる愛妻がいるとは、なんと素晴らしいことか!
感激している一方で、アリーチェの姿を探すが気配がしない。まだ城内の案内もしていないから、午後から一緒に回るのもいいかもしれない。
「そういえば、アリーチェはどこにいる?」
「奥様でしたら、城内にあります託児所に行かれました」
「託児所だと?」
この城で働く者は、騎士も含めるとかなりの数になる。中には子育て中の夫婦も多いため、仕事をしている間は気兼ねなく働けるよう、託児所を用意してあった。
「はい、ルドヴィーク様がお呼びしているとお伝えしましょうか?」
「いや……それはいい。少し散歩してくる」
ダイニングの席を立つと、託児所のある場所を確認する。子どもに顔を見られると、これまでは泣きだされてしまうので容易には近づけなかった。しかし、股間の呪いが解けた今、顔の呪いも解けているのか確認するには、子どもに会うのが手っ取り早い。
先ほどから時折、使用人たちに顔を凝視されているが、完全に解けたのであれば子どもは怖がらないだろう。
「承知いたしました」
デイモンドに改めて礼を伝え、託児所に向かう。靴音は羽のように軽かった。
167
お気に入りに追加
2,705
あなたにおすすめの小説
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
【R18】ギャフンと言わせたかっただけなのに!
季邑 えり
恋愛
幼い頃、一緒に育ったフェイが騎士になって戻ってきた。私の後ろをついて歩いていた男の子が、強くなって、カッコよくなって帰ってきたから面白くない。
彼をどうにかしてギャフンと言わせたい。
いろいろ試してみるアホ子のメルティと、それを利用してぱくりと頂いてしまうフェイのお話。
【R18】兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
季邑 えり
恋愛
幼くして両親を亡くした雪乃は、遠縁で幼馴染の清隆と結婚する。だが、貧しさ故に清隆は兵士となって村を出てしまう。
待っていろと言われて三年。ようやく帰って来る彼は、旧藩主の娘に気に入られ、村のために彼女と祝言を挙げることになったという。
雪乃は村長から別れるように説得されるが、諦めきれず機織りをしながら待っていた。ようやく決心して村を出ようとすると村長の息子に襲われかけ――
*和風、ほんわり大正時代をイメージした作品です。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
沈黙の護衛騎士と盲目の聖女
季邑 えり
恋愛
先見の聖女と呼ばれるユリアナのところに護衛騎士が来た。彼は喋ることができず、鈴の音で返事をする。目の見えないユリアナは次第に彼に心を開くようになり、二人は穏やかな日々を過ごす。
だが約束の十日間が迫った頃、ユリアナは彼の手に触れた瞬間に先見をする。彼の正体はユリアナが目の光を失う代償を払って守った、かつて婚約する寸前であった第二王子、――レオナルドだった。
愛する人を救った代償に盲目となった令嬢と、彼女を犠牲にしたことを後悔しながらも一途に愛し続ける王子の純愛物語。
【R18】英雄となった騎士は置き去りの令嬢に愛を乞う
季邑 えり
恋愛
とうとうヴィクターが帰って来る——シャーロットは橙色の髪をした初恋の騎士を待っていた。
『どうしても、手に入れたいものがある』そう言ってヴィクターはケンドリッチを離れたが、シャーロットは、別れ際に言った『手に入れたいもの』が何かを知らない。
ヴィクターは敵国の将を打ち取った英雄となり、戦勝パレードのために帰って来る。それも皇帝の娘である皇女を連れて。——危険を冒してまで手に入れた、英雄の婚約者を連れて。
幼馴染の騎士 × 辺境の令嬢
二人が待ちわびていたものは何なのか
孕まされて捨てられた悪役令嬢ですが、ヤンデレ王子様に溺愛されてます!?
季邑 えり
恋愛
前世で楽しんでいた十八禁乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したティーリア。婚約者の王子アーヴィンは物語だと悪役令嬢を凌辱した上で破滅させるヤンデレ男のため、ティーリアは彼が爽やかな好青年になるよう必死に誘導する。その甲斐あってか物語とは違った成長をしてヒロインにも無関心なアーヴィンながら、その分ティーリアに対してはとんでもない執着&溺愛ぶりを見せるように。そんなある日、突然敵国との戦争が起きて彼も戦地へ向かうことになってしまう。しかも後日、彼が囚われて敵国の姫と結婚するかもしれないという知らせを受けたティーリアは彼の子を妊娠していると気がついて……
【R18】利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
春瀬湖子
恋愛
絵に描いたような美形一家の三女として生まれたリネアだったが、残念ながらちょっと地味。
本人としては何も気にしていないものの、美しすぎる姉弟が目立ちすぎていたせいで地味なリネアにも結婚の申込みが殺到……したと思いきや会えばお断りの嵐。
「もう誰でもいいから貰ってよぉ~!!」
なんてやさぐれていたある日、彼女のもとへ届いたのは幼い頃少しだけ遊んだことのあるロベルトからの結婚申込み!?
本当の私を知っているのに申込むならお飾りの政略結婚だわ! なんて思い込み初夜をすっぽかしたヒロインと、初恋をやっと実らせたつもりでいたのにすっぽかされたヒーローの溺愛がはじまって欲しいラブコメです。
【2023.11.28追記】
その後の二人のちょっとしたSSを番外編として追加しました!
※他サイトにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる