1 / 8
老騎士と海洋都市と美人宿主と
しおりを挟むゴーンゴーン
ヨハンは窓の外に響き渡る鐘の音で目が覚めた。
「今日も海が綺麗じゃのう」
窓の外から海を眺めながら着替えて階段を降りると宿主のナディアが出迎えてくれた。
「アラ、おはようヨハンさん、昨夜はよく眠れた? もう朝ご飯出来てるわよ!」
目の前のテーブルには大きな塩パンと、サラダ、
スープが置いてあった。ヨハンはテーブルの前の椅子に座りナディアが用意した朝食に手をつけようとしたがサラダの中に妙な物体が入っている事に気付いた。
「ほほうコレは一体なんじゃ?」
「それは茹でたタコにオリーブオイルとパプリカをかけたこの街の名物料理よ」
「タ…タコとは確か海の悪魔とか言われ恐れられている生き物ではないのかっ! そんなモノが名物料理だと……」
ワシがいた聖教国ではそのような呪われた生き物など食べるに値する物ではないと教えられてきたのだがしかしここでは………
「えっ?? ヨハンさんはタコを食べたことがないのですか? こんなに美味しいのにーっ!」
ヨハンは朝食を済ませるとヨハンは部屋に戻り、
歯を磨き終わると窓の外から海を眺めながら身支度を済ませる。
窓の外から見える海が広がり、天気の良い日はテラスに出て読書をする。その気になればいつでも浜辺に飛び出していけるし、夜になると波の音と共に眠り、朝は教会の鐘の音で目を覚ますというワシにとってはまさに理想の生活だ。
ただ…ワシはどうもあのタコだけは好かん………
【マリナ・デル・ベーラ】
海に面した街でタコ料理が街の名物であり港から世界と通じ、海とのつながりによって独自の発展をしてきた街で商工業が発展し、海洋分野に関係する企業・教育機関・研究機関などが様々な活動を展開しているこの街でヨハンは十字聖教の教会を作り信者を集めようと考えていた。
昼過ぎになり、ヨハンは宿を出て街へと駆り出す。人々を避けながら街へと向かう。 街の中心はいつでも人で溢れていて、本来ならヨハンにとってあまり来たい場所じゃない。人混みが苦手ということもあったが今回は別だ。それにしても人が多い上に坂が多く道が狭い……さらに狭い土地を有効活用するため、アーチの上に建物を建て、上へ上へと建て増したため、断崖にへばりつくように建物が密集している。外敵の侵入を妨げる為もあって階段で出来た路地が複雑に入り組んでいる。
ヨハンは花を売っている露店の前で立ち止まり、美しい花々を物色し始めた。
「どれ、ナディアにプレゼントしてやろうかの」
アレっ?
ポケットの中にあるハズの財布が無い?
まわりを見渡すとヨハンと目が合った男がいた。
その瞬間男は走り去って行った。
ヨハンはその男を追いかける。足には自信があった。かつて聖教十字軍に入隊したばかりの頃、訓練で散々走らされたのだから……
男は人通りの少ない所へと逃げ込んだ。
ヨハンは立ち止まりその表情が険しくなる。理由は音だ。ふいに路地裏に響いた足音――見れば路地の入口に三人ほどの男が妙な箱を持って道を塞ぐように立っていた。男が箱の蓋を開けると突然、眠気が押し寄せ、ヨハンはそのまま眠りについてしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる