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12話
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あれからルビーは部屋に籠ることが多くなりました。
ルビーの首や手には、ネックレスの熱で負った火傷の跡が残ってしまいました。
あれから私は何度か彼女に対して魔法を使いました。決まってルビーが着飾っている時に限って……
ルビーがネックレスを着けている時に魔法を使う。それを治癒師に治してもらう。
これを繰り返したら、とうとう治癒師の魔法でも完治できなくなったみたいです。
そういえば、魔法使う時に思い浮かんだイメージは何だったんでしょう。
――熱で真っ赤になった鉄を打ち付けているイメージ
ほんと、不思議ね……
ルビーはあれから何度か社交パーティーや、治癒行為に行きました。
けれど、社交パーティーでは、参加者の貴族から陰で噂話のネタにされ、治癒を受けた患者は今までのことが嘘のように、ルビーに対してよそよそしくなりました。
更にはルビーの婚約が解消になりました。火傷を負った令嬢を嫁にもらいたくないとの理由でした。
ルビーの次の婚約者選びには、お父様は苦労しているようです。
高位貴族からは断りの連絡を貰い、釣書が届くのは何れも評判が悪い子息みたいです。
ルビーは家に籠っているけど、私は家に籠るわけにはいきませんから、今日も学園に通っています。
シュタイン侯爵家の馬車には、私一人が乗っています。
婚約者は、愛人と一緒に登校しているからです。
「今日もお一人で……?」
「婚約者はあれだから……」
「まあ『出来損ない』だもの。仕方ないわよね……」
馬車から一人降りて登校している私を、周りの生徒たちはヒソヒソと陰口をしながら遠目に見下してきます。
平民も通う学園ですが、ここでも私の評判は良くありません。
おかげで学園に友人は一人もいません。
「今日も出来損ないな面をしているな」
「ピエール様……」
私の前に横柄な態度で見下した目で私を見ている男性は、婚約者のピエール・カブル伯爵子息様。
彼の腕には豊満な胸を押し付けた燃えるような真っ赤な髪の女性がくっついていた。
女性の制服は胸のあたりまでボタンで留めておらず、豊満な胸の谷間が見えている。
その谷間に、ピエール様はデレデレ。周りの男子生徒の方も鼻の下を伸ばして、婚約者や他の女生徒から引かれている。
「サンドラ様は今日もお一人ですか~。かわいそ~」
と豊満な胸の女性が馬鹿っぽい口調で私に気安く話しかけてきました。
彼女はガーネッタ・ルーフ男爵令嬢。みればわかる通り、ピエール様の愛人。
ピエール様はそれはもう堂々と毎日愛人の彼女と一緒に登校している。どちらが婚約者かわからなくなるほどには……
「……私の婚約者はお忙しいようですので」
「ふんっ。誰が貴様なんぞと一緒に登校するものか。この俺と婚約しているだけありがたいと思え」
下位の男爵令嬢である彼女が、侯爵令嬢である私に対して気軽に話しかけていることに対して、咎めようかとも思ったがピエール様が騒ぎそうなのでやめた。
ピエール様もそうだから言うだけ無駄だというのは分かりきっていたから。
それに、普通に考えたら婚約者がいながら愛人と堂々と一緒にいる……
そちらの方こそ咎められて然るべきなはずだけど……
「ピエール様かわいそう……」
「『出来損ない』が婚約者なんて……」
となぜか周りはピエール様に対して同情的。
ルビーの首や手には、ネックレスの熱で負った火傷の跡が残ってしまいました。
あれから私は何度か彼女に対して魔法を使いました。決まってルビーが着飾っている時に限って……
ルビーがネックレスを着けている時に魔法を使う。それを治癒師に治してもらう。
これを繰り返したら、とうとう治癒師の魔法でも完治できなくなったみたいです。
そういえば、魔法使う時に思い浮かんだイメージは何だったんでしょう。
――熱で真っ赤になった鉄を打ち付けているイメージ
ほんと、不思議ね……
ルビーはあれから何度か社交パーティーや、治癒行為に行きました。
けれど、社交パーティーでは、参加者の貴族から陰で噂話のネタにされ、治癒を受けた患者は今までのことが嘘のように、ルビーに対してよそよそしくなりました。
更にはルビーの婚約が解消になりました。火傷を負った令嬢を嫁にもらいたくないとの理由でした。
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高位貴族からは断りの連絡を貰い、釣書が届くのは何れも評判が悪い子息みたいです。
ルビーは家に籠っているけど、私は家に籠るわけにはいきませんから、今日も学園に通っています。
シュタイン侯爵家の馬車には、私一人が乗っています。
婚約者は、愛人と一緒に登校しているからです。
「今日もお一人で……?」
「婚約者はあれだから……」
「まあ『出来損ない』だもの。仕方ないわよね……」
馬車から一人降りて登校している私を、周りの生徒たちはヒソヒソと陰口をしながら遠目に見下してきます。
平民も通う学園ですが、ここでも私の評判は良くありません。
おかげで学園に友人は一人もいません。
「今日も出来損ないな面をしているな」
「ピエール様……」
私の前に横柄な態度で見下した目で私を見ている男性は、婚約者のピエール・カブル伯爵子息様。
彼の腕には豊満な胸を押し付けた燃えるような真っ赤な髪の女性がくっついていた。
女性の制服は胸のあたりまでボタンで留めておらず、豊満な胸の谷間が見えている。
その谷間に、ピエール様はデレデレ。周りの男子生徒の方も鼻の下を伸ばして、婚約者や他の女生徒から引かれている。
「サンドラ様は今日もお一人ですか~。かわいそ~」
と豊満な胸の女性が馬鹿っぽい口調で私に気安く話しかけてきました。
彼女はガーネッタ・ルーフ男爵令嬢。みればわかる通り、ピエール様の愛人。
ピエール様はそれはもう堂々と毎日愛人の彼女と一緒に登校している。どちらが婚約者かわからなくなるほどには……
「……私の婚約者はお忙しいようですので」
「ふんっ。誰が貴様なんぞと一緒に登校するものか。この俺と婚約しているだけありがたいと思え」
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ピエール様もそうだから言うだけ無駄だというのは分かりきっていたから。
それに、普通に考えたら婚約者がいながら愛人と堂々と一緒にいる……
そちらの方こそ咎められて然るべきなはずだけど……
「ピエール様かわいそう……」
「『出来損ない』が婚約者なんて……」
となぜか周りはピエール様に対して同情的。
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