『出来損ない』と蔑まれてた私ですが、私の魔法は意外と使えそうです

Ryo-k

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1話

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「ふざけるな!」

バシンッ!とお父様が私の頬を叩いた。
私はその衝撃で後ろの壁に頭をぶつけてしまう。
頬の痛みと頭への強い衝撃に、意識がくらくらしている。
お父様は倒れた私のことを、嫌いな虫でも見るかのような蔑んだ目で見てくる。

「ピエール君は、『出来損ない』のお前と婚約してくれたんだ。感謝こそすれ、拒否するなど許さん」

「しかし、ピエール様は愛人を……」

「そんなこと把握しておるわ。お前に魅力がないから、外に女を囲われるんだ。お前の役目は、ピエール君との間に子供をつくることだけだ」

私の婚約者が浮気していることを把握していながら、婚約を取り付けていた。
父にとっての私サンドラ・シュタインは、シュタイン侯爵家の血を引く子供をつくるための道具。

「『石を浮かせる程度の魔法』しか役立たずが、これ以上私の手を煩わせるな」

「はい……申し訳ありません」

父はもう私に興味を失ったようで、せっせと書類仕事に勤しんでいる。
私は父の部屋を後にする。


自室までの戻る道中も、ズキズキと頭痛があり、意識も若干ふらふらしていた。
でも屋敷で働いている使用人たちは、誰も私のことを手助けしようとはしなかった。
この地の領主の娘である私のことをです。


私に対する今の扱いは、私の魔法が判明してからずっとでした。
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