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5話

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――そのころ『王子』の資格を失ったものはというと。


「元『王子』ねぇ。うちはそんな面倒な資格を持っているやつはごめんだねぇ」

と平民に落ちたレオンだが、『王子』の資格を失ったというのは、どこも扱いに困るらしく雇ってくれるものは皆無だった。
偶に日雇いでドブさらい等の誰もやりたがらない仕事をすることがあるくらいで1日1食かろうじて食べることが出来るかの極貧生活で暮らしている。

しかも彼は一人で住んでいるわけではない。

「たったこれだけ? 全然足りないわ」

「文句言うなら貴方も働いてください。母上」

レオンの母でこの国の『王妃』だった人と一緒に暮らしている。
彼女は、レオンの教育を満足に行えなかった責任を問われて『王妃』の資格をはく奪され、王宮を追放された。
彼女の実家も彼女のことは勘当しており、『貴族令嬢』の資格も失った。

今ではただのレオンの寄生虫と化している。

「うっさいわね。あんたが馬鹿なのがいけないのよ」

「母上だって。俺と大して変わんなかったんだろ。遺伝じゃないですか」

「はぁ? 私はちゃんと『公爵令嬢』に合格できてたし」

「どうだか。実家が試験管に賄賂でも送ったりしてたんじゃないんですか?」

「うっさいわね! あんたはさっさとまた働きに行ってこい! 金稼いでくるまで帰ってくるんじゃないよ!」

「はいはい……」

既にレオンは母親のお守りをするのが面倒になってきていた。

碌な仕事にもつけず金もない。でも目障りな金食い虫はいる。

そんな彼がとった行動は……



「やっと帰ってきたのかい? 全く使えないんだから……」

「うーん。ちょっと年いってるが、物好き相手なら客取れるか」

「どうでもいいからさっさと連れてってくれ」

「はいよ。旦那。値段はこれ位だな」

「……ちっ。たったこれだけかよ。最後まで使えないな」

「ちょっと、レオン? この人たちは何なの……?」

「見ればわかるだろ? 母上を娼館に売ったんだよ、じゃあな」

「レオン!? いや! 誰か助けて!」

「金にもならないゴミを誰が助けるか」

レオンは母親を娼館に売り飛ばした。

娼婦に売り飛ばされた母親についた客は中々に歪んだ性癖を持った人がほとんどだった。

「自分より高位の貴族が娼婦に落ちたさまを嘲笑いながら犯してやりたい」下級貴族。
「母親をペットにして躾けるプレイがしたい」貴族令嬢。

等々の客にその身体を弄ばれる毎日を送った彼女は、流行り病にかかりあっさりと孤独死したそう。
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