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4章
21.襲来したのは……侍女?
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何か……悪寒が……
「お嬢様?」
「いや、何でも……」
気のせいよね……うん。
リーザさんから見せられたスキルのせいね。
「それにしても……いつもより忙しそうね」
「そうですね……」
ギルドがいつも以上に慌ただしそうにしている。
それに、いつもより素材の納品とかの依頼が多く掲示されているみたいだし。
「あ、サーシャさん!」
マリーさんも事務仕事から冒険者の対応にとわたわたしている。
今も冒険者が列をなしておりその対応に追われている。
「すごい慌ただしいけど、何かあったの?」
「シュバルツ伯爵領で宴が開催されるので、魔物の肉や素材の依頼が大量に舞い込んでいるんです」
シュバルツ伯爵領は確かリリアさんの故郷だったって前に聞いたことがある。
マリーさんが言うには、この時期になると毎年開催されてるみたいで、ギルドにも魔物の肉や毛皮などの素材の納品依頼が大量に舞い込むのだとのこと。
「リリアさんは騎士団にいるんですけど、実は伯爵――」
マリーさんが言い終わる前に、ギルドの入り口が物凄い勢いで破れた。
「あれは……イーリス!?」
「つ、強い……」
ドアを蹴破って吹き飛ばされてきたのはイーリス。
「……流石ですね……師匠」
「鍛錬は怠っていないようですね……ですがまだまだ」
リリアさんもギルドの中に入ってきて、誰かと向かい合っている。
見たところ……侍女?の恰好をしているが、会話の内容からしてリリアさんの師匠らしい。
状況からして戦闘を行ったみたい。
ただ、リリアさんとイーリスがボロボロなのに対し、侍女のほうは傷一つなく余裕の表情をしている。
「お騒がせして申し訳ございません。扉の修繕費は後ほどお支払いいたします」
「今年は扉ですか……毎年何かを壊すのは止めてくださいよ~」
ギルドの扉を壊されたマリーさんは、侍女の方に一応苦情を言っているが、どこか慣れた様子だった。
他の冒険者の皆さんも、またか……と温かく見守っている。
この騒ぎを肴に酒を飲んでいるものまでいるほどだ。
リリアさんから後で事情を聞いたんだけど、この時期は故郷であるシュバルツ伯爵領に帰りたくないみたい。
今戦っている師匠の方に勝てれば帰らなくてもいいとのことなんだけど。
……この様子からして、一度も勝てたことはないみたいね。
「さて、今年も私の勝ちですね。そちらの獣人の方も筋がいい」
「……次は負けない」
「……本当に帰らないとダメですか?」
「ダメです」
その言葉にがっくりと項垂れているリリアさん。
負けたことを悔しそうにしているイーリス。
今年リリアさんは、最近一緒にいることの多いイーリスにお願いして、今日の日に備えて密かに準備していたみたい。
けれど、結果は残念ながらリリアさんの負け。
獣人で身体能力は高いイーリスと、騎士として実力のあるリリアさんの二人を相手にして、傷一つつけられないなんて、侍女の方は相当の実力者みたいね。
「お嬢様?」
「いや、何でも……」
気のせいよね……うん。
リーザさんから見せられたスキルのせいね。
「それにしても……いつもより忙しそうね」
「そうですね……」
ギルドがいつも以上に慌ただしそうにしている。
それに、いつもより素材の納品とかの依頼が多く掲示されているみたいだし。
「あ、サーシャさん!」
マリーさんも事務仕事から冒険者の対応にとわたわたしている。
今も冒険者が列をなしておりその対応に追われている。
「すごい慌ただしいけど、何かあったの?」
「シュバルツ伯爵領で宴が開催されるので、魔物の肉や素材の依頼が大量に舞い込んでいるんです」
シュバルツ伯爵領は確かリリアさんの故郷だったって前に聞いたことがある。
マリーさんが言うには、この時期になると毎年開催されてるみたいで、ギルドにも魔物の肉や毛皮などの素材の納品依頼が大量に舞い込むのだとのこと。
「リリアさんは騎士団にいるんですけど、実は伯爵――」
マリーさんが言い終わる前に、ギルドの入り口が物凄い勢いで破れた。
「あれは……イーリス!?」
「つ、強い……」
ドアを蹴破って吹き飛ばされてきたのはイーリス。
「……流石ですね……師匠」
「鍛錬は怠っていないようですね……ですがまだまだ」
リリアさんもギルドの中に入ってきて、誰かと向かい合っている。
見たところ……侍女?の恰好をしているが、会話の内容からしてリリアさんの師匠らしい。
状況からして戦闘を行ったみたい。
ただ、リリアさんとイーリスがボロボロなのに対し、侍女のほうは傷一つなく余裕の表情をしている。
「お騒がせして申し訳ございません。扉の修繕費は後ほどお支払いいたします」
「今年は扉ですか……毎年何かを壊すのは止めてくださいよ~」
ギルドの扉を壊されたマリーさんは、侍女の方に一応苦情を言っているが、どこか慣れた様子だった。
他の冒険者の皆さんも、またか……と温かく見守っている。
この騒ぎを肴に酒を飲んでいるものまでいるほどだ。
リリアさんから後で事情を聞いたんだけど、この時期は故郷であるシュバルツ伯爵領に帰りたくないみたい。
今戦っている師匠の方に勝てれば帰らなくてもいいとのことなんだけど。
……この様子からして、一度も勝てたことはないみたいね。
「さて、今年も私の勝ちですね。そちらの獣人の方も筋がいい」
「……次は負けない」
「……本当に帰らないとダメですか?」
「ダメです」
その言葉にがっくりと項垂れているリリアさん。
負けたことを悔しそうにしているイーリス。
今年リリアさんは、最近一緒にいることの多いイーリスにお願いして、今日の日に備えて密かに準備していたみたい。
けれど、結果は残念ながらリリアさんの負け。
獣人で身体能力は高いイーリスと、騎士として実力のあるリリアさんの二人を相手にして、傷一つつけられないなんて、侍女の方は相当の実力者みたいね。
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