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3章

18.聖女の加護

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「いらっしゃいませ」

イーリスはその後、私たちと冒険者をやる傍ら、酒場の給仕として働くことになった。


「イーリスもだいぶ慣れたみたいね」

「別に……」

「イーリスさん。お客さんに人気ですよ? かわいい。耳触りたいって……」

「やめてほしい」

それ、変態も混ざってないかしら……
思ったけど口に出すのはやめておこう。


「失礼する」

と店内にリリアさんが入ってきた。

「あ、リリア」

「イーリスは、この後王宮に行くの?」

「そう」

「彼女たち獣人の居住地について、担当者と話し合いです」

イーリス達獣人は、元の集落だとまた盗賊の襲撃を受ける可能性があるということで、帝国で正式に保護することに決まったみたい。
今は彼女たちの居住地についての話し合いをしているということ。

リリアさんが言うには、あの盗賊はただの盗賊じゃないらしく、王国が一枚嚙んでいる可能性が高いとのこと。
そもそも集落に毒が蔓延した時期が、王国から商人が来たタイミングと重なる。
盗賊にしては武器の質が良すぎる。

どうやら王国で獣人の集落を襲い、女子供を奴隷として他国に売りつけようとしていたのではないかとのことだ。

集落から拉致された人は、幸いなことに近くの洞窟に捕まっていたのを、リリアさんたち騎士団が救出したようで事なきを得たようで良かった。


「それよりもサーシャ嬢。本当にお身体は平気なのですね?」

「ええ……とくには……」

「魔法による毒の可能性もありますから、見た目には異常がなくても、毒にかかっている可能性も」

なんかリリアさんにすごく心配されてる。

「は、はい……」

「直ぐにリーザさんに鑑定してもらった方がよろしいかと」

「もっと言ってください! 何度も言ってるのに、お嬢様私の言うことは全然聞いてくれなくて……」
 
「わ、分かったわよ……」

リリアさんの言葉にアイラまで便乗してきた。
仕方ないわね……



「特に異常はないね~」

「そうですか……」

リーザさんの《鑑定》で視てもらったところ、特に異常はないみたい。
全く、心配し過ぎなのよ……

「ただ……」

「ただ?」

するとリーザさんは何か含みのある話し方になった。

「......君。妹さんにだいぶ好かれてるみたいだね」

「……シェイラ?」

何だろう?全く身に覚えがない。

「見てみな……」

とリーザさんは、『鑑定』で視た結果を紙に記してくれた。


サーシャ・フロイライン 17歳 女

ギフト:『舞踊家』

スキル:格闘術・聖女の加護

技能:壱の舞『力』・打撃攻撃力上昇・視野補正・物理耐性・完全耐性(お姉様病気してないかな……お姉様怪我してないかな……お姉様元気かな……お姉様に近づく悪者はいないかな……お姉様お姉様お姉様尾お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様――――)


「ひいっ……!」

「……まあ、あれだ……聖女の加護って名前だし……ね……うん」


シェイラ……お姉ちゃん……ちょっとこれは、怖いなぁ……
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