『踊り子令嬢』と言われて追放されましたが、実は希少なギフトでした

Ryo-k

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2章

12.初めてのクエストと戦闘①

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冒険者登録を終えたサーシャとアイラは、装備を一通り整えた後、簡単な採集クエストを受けることにした。


訪れた森は初心者でも訪れる比較的安全な場所。
二人の装備は、二人とも防具は最低限での急所を金属部分で保護しているだけの動きやすさ重視の軽装。
それに加えてサーシャは格闘戦用の殴打武器を両手につけている。
アイラは肩から弓矢をかけている。
どちらも一般的な冒険者の服装。

「これで必要な個数はそろったかしら」

「そうですね」

クエストの受注量を確保した二人は、街に戻ることにした。
時間は丁度日が落ち始めてきたくらい。森に入ったのは昼過ぎだったので、予想よりも時間がかかった。
目当ての薬草が生えておらず、仕方なく少し奥まで探しに来ていた。

「夜になる前に森を出ましょうか」

「そうですね。このあたりって魔物出るんでしたっけ?」

「マリーさんの話だと、森の奥にはぐれのゴブリンが出るって話だったわね」

「早く戻りましょう!」

と怖がったアイラの足取りが早まる。
確かに碌に戦闘訓練も積んでいない私たちじゃ、恰好の餌ね。
と私もアイラの後に続いて街に戻ろうとしたとき。

ガサッ……。

「ひっ!?」

と近くの木々から物音がしたのを聞いた私たちは、とっさに近くの木々の陰に隠れることにした。
息を殺して音のした方を見続けていると、やがて1匹のゴブリンが出てきた。

「……」

初めて見る魔物に思わず悲鳴が出そうになったアイラの口をふさいだ私。
正直私も恐怖で一杯だけど、不思議と冷静な自分もいた。
とはいえ当然ながら私たちに戦うと言う考えは端からなく……。

「音を立てずに距離をとるわよ」

「は、はい……」

幸いゴブリンはこちらに気付いていない。
この場をやり過ごそうと足音を立てずに、ゆっくりと後退していく……

バキッ……と足元の木が折れるような音がした。

「しまっ!?」

その音に気付いたゴブリンがこちらを振り向いた。
ゴブリンは私たちに気付くや否や猛スピードで襲い掛かってきた。
私の後ろにいるアイラは、恐怖で動けなくなっている。

このままじゃ逃げられない……
やるしかない……

「ぁぁっーー!!」

私は、ゴブリンへと向かっていった。
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