『踊り子令嬢』と言われて追放されましたが、実は希少なギフトでした

Ryo-k

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1章

5.花柳咲夜②

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私は妹のことを無視してその場を後にしようとする。
友達も私の事情を察してくれていたので、私に合わせてくれた。

「……待ってっ」

妹は私の後をついてきて諦める様子がない。
仕方なく立ち止まるとそれに合わせて妹も立ち止まった。

「……元気そうだね」

「……私が元気だと何かあるの?」

「別にそんなことは……?」

つい妹に強く当たってしまい、友達も気まずそうにしている。

「……テレビ見たよ」

妹の特集が組まれた番組のことを話す。

「……頑張ってるみたいね」

「……うんっ」

私の言葉に妹が弾んだ調子で返事を返してきた。
別に褒めたわけじゃないのに、何がそんなにうれしいんだろうね、この子は……。

「お姉ちゃんがいなくなってから。私頑張って……それでね……今度公演があるんだけど、一緒に出てくれないかな?」

「何言ってるの? 私はもう日舞は辞めたの。そんなに私を笑いものにしたいの?」

そう、私は日舞を辞めたの。
私を一緒の舞台に上げて、みんなで嘲笑おうとか……そういう魂胆?

「ちが……違うの……私はただお姉ちゃんと一緒の舞台に立ちたいだけで……」

「たとえ私が出るって言っても、あの人が許さないでしょ?」

そうよ。あの人は家の恥でしかない私なんて居ないものと思ってるんでしょ。

「お母さんのこと? それは、私がお願いすれば多分……お母さんだってお姉ちゃんのこと心配してると思うし、お母さんに教えてもらえばお姉ちゃんなら……」

あの人が、私のことを心配……?
私の中の何かがプツリと切れた。

「いい加減にして!」

妹の言葉に耐えきれなくなった私は、遮るようについ声を張り上げてしまう。

「心配? あの人が心配してるの花柳の家だけで、私のことなんてちっとも心配してないわ」

「それだってお姉ちゃんのことを思ってるから……」

私のことを思ってる……ね。

「私のものを勝手に捨てるのも私のため? ってこと?」

「……え?」
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