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1章

3.公爵家を追放されて②

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翌朝、公爵家を出ていく私を見送るものは誰もいない。
相変わらずの両親に呆れて何も言えないわ。

さてと、それじゃあ何処に行きましょうか……

「お嬢様ーー」

家の方から声がして振り返ると、アイラが走って来ていた。
アイラを見ると、見送りに来たにしては大きな荷物を抱えている。

「アイラ?」

「はぁ、はぁ……お嬢様、私を置いて出発するなんてひどいです!」

「置いてって……私についてくるつもり?」

「はい!」

ついてくるって言われても、私にアイラを雇うお金なんてないし、アイラも子爵家の三女。
子爵家が許さないんじゃないだろうか。

「両親には、ここ数年手紙一つ出してないんで大丈夫です! 基本放っておかれてるので」

「私はお嬢様についていきたいんです!」

「……後悔しない?」

「もちろんです!」


正直一人で行くのは寂しかったりしたのは内緒。
せめてアイラに苦労はさせないようにしないとね。

「それで、何処に行く予定だったんですか?」

「……」

それは……まぁ……うん……。

「お嬢様?」

「……いやぁ、一人だし。フラーっと歩いていればなんとかなるかなーって」


そういうとアイラは、残念なものを見るような目で、私の方を見てくる。
……別に一人で出ていくつもりだったんだから、行き先決めてなくたっていいじゃない。

「とりあえず隣国まで行きましょうか。そこは世界中から人が集まるって話ですし。お嬢様のギフトについても何か分かるかも知れません」

とりあえず私たちは隣国に向かうことにした。

それにしても『舞踊家』ねぇ……舞踊、かぁ……。

初めてギフトの名前を聞いたときに真っ先に、こう思った。

(舞踊家……舞踊……日舞……ちょっと待って……日舞って何?)

『日舞』
そのワードが頭の中によぎると同時に私は自分のことを思い出した。


――私になる前の私を



そう……私に前世の記憶があることに。
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