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ここが乙女ゲームの世界だと気付いたのは、わたくしの婚約者がとある令嬢と出会った時だった。
王立学園。
王国の貴族の子女は15歳になると3年間通うことを義務付けられる学び舎。
といっても勉学に励んでいるのは、子爵以下の下位貴族と特待生として入学を許可されている平民であって、伯爵以上の高位貴族は各々の家で教育を終えているのが常で、学園に通う目的は将来の社交に備えた人間関係の構築というのが主である。
その入学式、わたくしの婚約者が不自然に周りをきょろきょろしている桃色の髪の女子に声をかけた瞬間、絵画のような光景が頭の中に浮かび上がる。
『ヒロインこんなに挙動不審だったかしら?』なんて考えが頭に浮かんだ。
それと同時に頭の中にわたくしの知らない私の記憶が流れ込んできた。
立ちすくんでいたわたくしを心配して友人の伯爵令嬢が声をかけてくれたおかげで我に返ったわたくしは、倒れそうになるのを踏ん張ることができた。
友人には「大丈夫」といいその場はやり過ごした。
友人は王子とわたくしを交互に見ながら、なおも心配した様子だった。
いわば婚約者を放っておいて、別の女性に話しかけている状態だから。
「放っておきましょう。何かあれば側近の方たちがお止めになるでしょう」
そう言ってその場を後にした。友人もわたくしの言葉に逆らう必要はなかったので、納得はしてそうになかったけど後に続いてきた。
ヒロインのことを思い出しながら考えていた。
ここが乙女ゲームを基にした世界で、悪役令嬢のわたくしと主人公のヒロインがいる。
――わたくしの推しのヒロインが。
王立学園。
王国の貴族の子女は15歳になると3年間通うことを義務付けられる学び舎。
といっても勉学に励んでいるのは、子爵以下の下位貴族と特待生として入学を許可されている平民であって、伯爵以上の高位貴族は各々の家で教育を終えているのが常で、学園に通う目的は将来の社交に備えた人間関係の構築というのが主である。
その入学式、わたくしの婚約者が不自然に周りをきょろきょろしている桃色の髪の女子に声をかけた瞬間、絵画のような光景が頭の中に浮かび上がる。
『ヒロインこんなに挙動不審だったかしら?』なんて考えが頭に浮かんだ。
それと同時に頭の中にわたくしの知らない私の記憶が流れ込んできた。
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友人には「大丈夫」といいその場はやり過ごした。
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いわば婚約者を放っておいて、別の女性に話しかけている状態だから。
「放っておきましょう。何かあれば側近の方たちがお止めになるでしょう」
そう言ってその場を後にした。友人もわたくしの言葉に逆らう必要はなかったので、納得はしてそうになかったけど後に続いてきた。
ヒロインのことを思い出しながら考えていた。
ここが乙女ゲームを基にした世界で、悪役令嬢のわたくしと主人公のヒロインがいる。
――わたくしの推しのヒロインが。
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