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そして未来へ
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朔也がモヤモヤ、イライラとする時間を重ねている頃、陽は楠瀬や鹿島と忙しい時間を過ごしていた。
感謝状の構成と内容を決め、楠瀬の手を借り必要な物を揃え早々に製作に取りかかった。
ガジュマルの家に向かう車中では、料理のメニューを考え、帰宅後に何度も鹿島からのアドバイスを受けた。
また吾妻の妹、菜々子から、いくつものミサンガのデザインを見せられた。その中から朔也に着けて欲しい物を選び、糸の色を決めた。
本来なら陽自ら材料を揃える買い物から始めたかったのだが、安全面の憂いから吾妻が許可を出さなかったのだ。
限られた時間の中で陽1人では、どうにもならないことも多々あるが楠瀬も鹿島も、そして吾妻兄妹も陽への協力を厭わない。
明日はガジュマルの家から帰宅後に菜々子がミサンガの編みかたを教えに来てくれる。大学の講義の合間に時間を割いてくれるのだ。
それまでに感謝状を作り終えるため、楠瀬と2人テーブルで額を突き合わせている。
厚紙を布で覆い、ノートタイプの賞状ケースを難なく作る楠瀬は、さすが元保育士と言うところだ。
陽はその中に挟む世界でたった一枚の感謝状を丁寧に丁寧に書いている。
――――――――――
あの日、僕を救い出してくれてありがとう。
必ず帰ってきてくれて、ありがとう。
ご飯を一緒に食べてくれてありがとう。
そして
僕を愛してくれてありがとう。
僕も朔也を愛しています。
――――――――――
言葉にすれば、ほんのこれだけなのだが、陽の素直なありがとうが、どこまでも伝わる感謝状だ。
見守っていただけの楠瀬と鹿島の目に涙が浮かぶ。
これを朔也本人が受け取ったなら、どれほど心を揺さぶられるのか。
『陽くん』
出来上がった感謝状は、僕が持って帰るよ。楠瀬からの提案だ。
やはり自宅に置けば朔也の目に留まる可能性が排除できない。
パーティー当日までは、楠瀬の自宅で預かることにしたのだ。
感謝状が出来上がった瞬間に、鹿島から声がかかる。
『陽くん、パーティーの時のメニューなんだけど』
今度は3人で額を突き合わせパーティーのメニューを絞っていく。
これが、なかなか難しいのだ。陽としては少々難しくても朔也が好きな物を作りたい。まだ、あまり失敗を経験したことがない陽らしい思考だと思う。
しかし鹿島としては、アンティパストだけでも陽1人で用意できればと思っているのだ。
そして、失敗も大切な経験だとは思うが、今回がそれでなくてもいいのではないだろうかとも。
陽を誘導しまくり、どうにか折り合いを付けたメニューが出来上がった頃には、朔也が帰宅する時間が迫っていた。
何かと落ち着かない陽は朔也がいないと食事を疎かにしようとする傾向がある。
量が食べられないのは仕方ないとして、たっぷりの野菜と良質のたんぱく質は摂らせたいと思うのが、料理人である鹿島の願いでもある。
そして、そんな時ワンプレートで食事を用意すると案外すんなり食べ進めてくれることを知っている。
OL仕様のお子さまランチのようにパスタとピクルスと煮込んだレンズ豆を盛り付ければ、今夜も陽は完食してくれたのだった。
感謝状の構成と内容を決め、楠瀬の手を借り必要な物を揃え早々に製作に取りかかった。
ガジュマルの家に向かう車中では、料理のメニューを考え、帰宅後に何度も鹿島からのアドバイスを受けた。
また吾妻の妹、菜々子から、いくつものミサンガのデザインを見せられた。その中から朔也に着けて欲しい物を選び、糸の色を決めた。
本来なら陽自ら材料を揃える買い物から始めたかったのだが、安全面の憂いから吾妻が許可を出さなかったのだ。
限られた時間の中で陽1人では、どうにもならないことも多々あるが楠瀬も鹿島も、そして吾妻兄妹も陽への協力を厭わない。
明日はガジュマルの家から帰宅後に菜々子がミサンガの編みかたを教えに来てくれる。大学の講義の合間に時間を割いてくれるのだ。
それまでに感謝状を作り終えるため、楠瀬と2人テーブルで額を突き合わせている。
厚紙を布で覆い、ノートタイプの賞状ケースを難なく作る楠瀬は、さすが元保育士と言うところだ。
陽はその中に挟む世界でたった一枚の感謝状を丁寧に丁寧に書いている。
――――――――――
あの日、僕を救い出してくれてありがとう。
必ず帰ってきてくれて、ありがとう。
ご飯を一緒に食べてくれてありがとう。
そして
僕を愛してくれてありがとう。
僕も朔也を愛しています。
――――――――――
言葉にすれば、ほんのこれだけなのだが、陽の素直なありがとうが、どこまでも伝わる感謝状だ。
見守っていただけの楠瀬と鹿島の目に涙が浮かぶ。
これを朔也本人が受け取ったなら、どれほど心を揺さぶられるのか。
『陽くん』
出来上がった感謝状は、僕が持って帰るよ。楠瀬からの提案だ。
やはり自宅に置けば朔也の目に留まる可能性が排除できない。
パーティー当日までは、楠瀬の自宅で預かることにしたのだ。
感謝状が出来上がった瞬間に、鹿島から声がかかる。
『陽くん、パーティーの時のメニューなんだけど』
今度は3人で額を突き合わせパーティーのメニューを絞っていく。
これが、なかなか難しいのだ。陽としては少々難しくても朔也が好きな物を作りたい。まだ、あまり失敗を経験したことがない陽らしい思考だと思う。
しかし鹿島としては、アンティパストだけでも陽1人で用意できればと思っているのだ。
そして、失敗も大切な経験だとは思うが、今回がそれでなくてもいいのではないだろうかとも。
陽を誘導しまくり、どうにか折り合いを付けたメニューが出来上がった頃には、朔也が帰宅する時間が迫っていた。
何かと落ち着かない陽は朔也がいないと食事を疎かにしようとする傾向がある。
量が食べられないのは仕方ないとして、たっぷりの野菜と良質のたんぱく質は摂らせたいと思うのが、料理人である鹿島の願いでもある。
そして、そんな時ワンプレートで食事を用意すると案外すんなり食べ進めてくれることを知っている。
OL仕様のお子さまランチのようにパスタとピクルスと煮込んだレンズ豆を盛り付ければ、今夜も陽は完食してくれたのだった。
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