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歪んだ愛情
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元々は性に奔放な亜美が朔也との見合いを機に、まるで生まれ変わったかのような生活を続けていた。なんとも清廉な日々を送っているようだ。
亜美が南野を使って朔也の周辺を調べているように、朔也も都合のいい証拠を入手すべく亜美を探っていたため、その辺りのことは把握できていた。
相変わらず毎日のように亜美から誘いを受けていたが、朔也は多忙を極めている。表の仕事と裏の仕事と、そして陽を愛でることと。
そんな朔也に業を煮やしたのだろう。亜美が強行突破に出たのだ。
朔也が組事務所で月末に予定されている創世会の義理事の段取りをしている最中、亜美が単身乗り込んで来たのだ。
朔也の仕事が終わるまで、ここで待つ。そう言って
応接室のソファから動かなくなってしまったとは、部下からの報告だ。
今日に限って、吾妻は辰星会の工藤と駅前の再開発事業のことで朝から出払っている。
他の幹部も何人かが組事務所に詰めてはいるが、小娘の相手をするほど暇な人間はいない。
しかし不知火議員の孫娘を若衆に任せるなどしたら後々面倒な事を言われかねない。
仕方なく仕事の手を止め応接室に向かえば、出された紅茶が不味いと亜美が若衆に噛みついている声が廊下まで聞こえる。
ノックもせずに応接室に入れば、化けの皮を被り直した亜美が欲の籠った目で朔也に視線を送ってきた。
つまりは欲求不満なのだろう。これまで毎日のように男を侍らせていた亜美が数日とは言え誰とも肌を合わせずにいるのだ。熱を持て余し朔也のいる組事務所を訪れたのだろう。
身近な男達で済ませることなく、わざわざ朔也の元に足を運んだのは、亜美なりの誠意なのかもしれない。
だからと言って、亜美の相手をするつもりはない。早く仕事を済ませ、陽の待つ部屋に帰ることこそが朔也の望みなのだから。
『亜美さん どうなさいました?』
ソファに座ったままモジリと膝を擦り合わせた亜美は、向かいに腰を下ろした朔也の顔を覗き込む。
『朔也さんのお仕事が終わるのをお待ちしておりますので』
これから食事でもどうかと言う。明らかに食事の後を期待しての誘いに辟易としながらも、さっさと食事をして帰宅させた方が、時間の無駄は最低限で済ませられるのではないかと思う。
もちろん、その後の時間など共にするつもりは全くない。
『嫁入り前の女性なのだから』
の一言で黙らせる自信がある。
そうと決まれば、さっさと済ませるのが朔也流だ。
『かしこまりました。10分ほど、こちらでお待ちください』
応接室に亜美を残し、執務室に戻って吾妻に一報を入れる。咲恵にも帰宅時間が少し遅くなる旨を伝え、大きな溜め息をつく。
全く気乗りはしないが、亜美をエスコートし組事務所を後にした。
亜美が南野を使って朔也の周辺を調べているように、朔也も都合のいい証拠を入手すべく亜美を探っていたため、その辺りのことは把握できていた。
相変わらず毎日のように亜美から誘いを受けていたが、朔也は多忙を極めている。表の仕事と裏の仕事と、そして陽を愛でることと。
そんな朔也に業を煮やしたのだろう。亜美が強行突破に出たのだ。
朔也が組事務所で月末に予定されている創世会の義理事の段取りをしている最中、亜美が単身乗り込んで来たのだ。
朔也の仕事が終わるまで、ここで待つ。そう言って
応接室のソファから動かなくなってしまったとは、部下からの報告だ。
今日に限って、吾妻は辰星会の工藤と駅前の再開発事業のことで朝から出払っている。
他の幹部も何人かが組事務所に詰めてはいるが、小娘の相手をするほど暇な人間はいない。
しかし不知火議員の孫娘を若衆に任せるなどしたら後々面倒な事を言われかねない。
仕方なく仕事の手を止め応接室に向かえば、出された紅茶が不味いと亜美が若衆に噛みついている声が廊下まで聞こえる。
ノックもせずに応接室に入れば、化けの皮を被り直した亜美が欲の籠った目で朔也に視線を送ってきた。
つまりは欲求不満なのだろう。これまで毎日のように男を侍らせていた亜美が数日とは言え誰とも肌を合わせずにいるのだ。熱を持て余し朔也のいる組事務所を訪れたのだろう。
身近な男達で済ませることなく、わざわざ朔也の元に足を運んだのは、亜美なりの誠意なのかもしれない。
だからと言って、亜美の相手をするつもりはない。早く仕事を済ませ、陽の待つ部屋に帰ることこそが朔也の望みなのだから。
『亜美さん どうなさいました?』
ソファに座ったままモジリと膝を擦り合わせた亜美は、向かいに腰を下ろした朔也の顔を覗き込む。
『朔也さんのお仕事が終わるのをお待ちしておりますので』
これから食事でもどうかと言う。明らかに食事の後を期待しての誘いに辟易としながらも、さっさと食事をして帰宅させた方が、時間の無駄は最低限で済ませられるのではないかと思う。
もちろん、その後の時間など共にするつもりは全くない。
『嫁入り前の女性なのだから』
の一言で黙らせる自信がある。
そうと決まれば、さっさと済ませるのが朔也流だ。
『かしこまりました。10分ほど、こちらでお待ちください』
応接室に亜美を残し、執務室に戻って吾妻に一報を入れる。咲恵にも帰宅時間が少し遅くなる旨を伝え、大きな溜め息をつく。
全く気乗りはしないが、亜美をエスコートし組事務所を後にした。
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