太陽と月

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煌めく太陽 満ちる月

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朝からソワソワと今夜のパーティーの用意を始めている鹿島と楠瀬を横目に、朔也は通常運転だ。

いや、正確には通常運転のふりをしている。

おそらくソワソワ加減で言ったら、朔也の方が断然上をいっている。
便宜的なものであれ、今日1つ大人になる陽は、暫く前から少しずつ大人びた表情を見せるようになり、艶やかさも増してきた。

そんな陽に朝からあてられたのだ。いつもより少し早く目を覚ました陽は控え目に朔也を揺すり起こした。
もっとも、隣で眠っているのだ。陽がモゾリと身体を動かした時点で朔也も覚醒していたのだが。

『さくや  おしっこ』

手を繋ぎトイレに向かった二人だが、朔也はそこで驚愕する。

陽の中心が緩くではあるが勃ちあがっているのだ。健康な男子であれば当然なのだが、所謂、朝勃ちだ。

当然、用を足せば何事もなかったような元の状態に戻るのだが、精通を手伝って以来、性的な意味での陽の成長を実感することが何度かあった。

もっとも知識も経験も自覚もない陽は、その成長ぶりを惜しみ無く朔也に晒してくれる。
陽の成長の証、健康の証。

そんな風に割りきれるわけがない。陽の成長と共に朔也の下心もムクムクと育っているのだから。

悶々と今朝の出来事を考えていれば、楠瀬から声がかかる

『若、そろそろお時間です』

気付いていた。既に迎えの自動車も到着している時間だ。朝の儀式を済ませ出掛けなければならない。
ましてや今夜は陽のバースデーパーティーなのだ。
1分1秒でも早く帰宅したいのだから。

『あぁ』

陽の額にキスを1つ。言ってくると言えば、待ってる、といつもの会話だ。

呆気ないほどに済まされた朝の儀式だが、いつもよりも額へのキスが長かったことは誰も気づいていないはずだ。

離れ難い思いを抱きつつ、朔也は誓う。1つ大人へと近づく陽に、今夜からトイレも風呂も1人で頑張れと伝えるのだ。陽のためなのだから。
陽を朔也の魔の手から守るための手段なのだから。

己の理性などヤクザの協定よりも信用できない。日々艶かしさの増す陽の裸体を目の当たりにすれば、組み敷いてしまう危険度も増す。
今愚行に及べば、陽の心も肉体も傷つけてしまう可能性が高い。

ここは大人の自分が我慢するしかないのだと、己に言い聞かせ修行僧の精神力を発揮する朔也だった。
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