太陽と月

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煌めく太陽 満ちる月

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2年1ヶ月。具体的な数字である。陽が大人と認められるようになるまでの年月だ。
長谷美由紀も前田達也も陽の正確な誕生日を覚えてはいなかった。
長谷美由紀が再就職した時期や前田達也の悪友達からの聞き込みで凡その推察をして戸籍を作る際に誕生日。

1ヶ月後には朔也の元に来て初めての誕生日を迎えることとなる。
その後も2度、誕生日を迎え漸く成人と認められる陽。
今はまだ陽の心身が自己決定権を有するほどには育っていない。

何が食べたいか、何が飲みたいか、何色の服が着たいか。自分で決められるのは、まだその程度だ。

いや、それ以前の問題として、陽が性的な自己決定権を身につけたとして、その対象が男で、しかも朔也になるのか。一般論であれば可能性は低い。ただし狭い世界で生きている陽が選択肢の少ない中、朔也を自然とその対象とすることは容易だ。

陽にとって健全とは言えない選択肢しか与えるつもりのない自分が下衆の極みであることは承知しているが、それでも陽を手放す気などない。

「必ず幸せにするから」

ここ何ヵ月か己れの胸中で何度となく繰り返した言い訳を今も繰り返す。

幸せにすると言う誓いを免罪符にするつもりはない。
ただ、輪廻転生とか来世とか、目に見えないそれらを信じない朔也にとって、陽と生きる今が何よりも大切なのだ。
命を終える時、もしあるのなら地獄に落ちても構わない。この命が尽きるまでは陽の幸せのみを願いたいのだ。
そして、順番通りであれば陽を残して逝くようになる。その後も、陽が不自由なく生きられる手段も用意しておかねばならない。

今が、そして未来が陽にとって幸せであるように。

陽の言動を見ていれば朔也といることこそが幸せなのだと思えてしまうのは自惚れだろうか。

もし、ただの自惚れでなかったら、2年余をかけずとも陽の心も体も己のものにできる。そんなことを考える朔也はやはり自信家なのだろう。それとも単にお気楽主義なのか。
そんな質だからこその、心の余裕持てると言うものだ。

『2年だろうが、3年だろうが相手が陽なら待てる』

まぁ、そんなにかけるつもりは毛頭ないが。

『犯罪者、しかも性犯罪に手を染めるようなことはしねぇよ』

ただし、傍目にはまだ子供にしか見えない陽に対し、性的な興奮を覚える自分が特殊な性癖を持っていないとは言い切れないのではとも思う。

他の子供を見ても、邪心など一欠片も生まれないことだけが救いではあるが、これまでも陽が相手であれば、日に何度でも欲情するのは経験済みだ。

今も隣で食事をする陽を見るだけで下半身に熱を帯びそうになる朔也は、今夜も熱をもて余すのだろう。

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