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煌めく太陽 満ちる月
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退院の許可が降り、陽を伴い久しぶりに自宅へと戻った朔也を楠瀬と鹿島が出迎える。朔也よりも先にマンションに入り、掃除に洗濯、そして食事の用意を済ませていた。
朔也の快気祝にと彩られた食卓は、病院のそれとは違う華やかさと情が感じられた。
皆が朔也の回復を喜び退院を祝うが、殊更嬉しそうなのは、やはり陽だ。陽にとっての日常がやっと戻ったのだ。ほんの少しでも朔也から離れないようにと、ぴとりとくっついて全く離れない。
数日間病室で共に過ごしたとは言え、離れて生活した時間が、そして朔也が迎えに現れなかったことが辛かったのだろう。
そして病室で共に過ごすようになって再開された朔也の修行は今日も順調に続いている。
思えば傷が痛む頃の方が、修行は辛くなかった。痛みに気を取られて煩悩に惑わされることがなかったのだ。
しかし痛みが治まり、以前と変わらぬ生活ができるようになった最近では、修行の辛さが身に染みる。
『おしっこ』
相変わらず陽の無自覚放尿ショーは、朔也と言うオーディエンスにのみ向けられ続いている。幾度経験しても慣れることはない。
ここ数日で妙に大人びた雰囲気を醸し出すようになった陽の陰部には薄らと下生えも見え始めた。
そろそろトイレは1人で。いや、もっと前にそう言うべきだったのだ。
陽が求め朔也が応じる。それが普通になってしまった今、陽に何と切り出すべきなのだろう。
1人モヤモヤと考える朔也の前で、腰をモジッと動かした陽は朔也の腕を引っ張り
『おしっこ いく』
とりあえず今だけは。間に合わなかったら大変だ。今だけ。今だけトイレに付き合って、その後で陽に言い聞かせよう。
トイレには1人で行くことを。
2人がトイレから戻ったタイミングで朔也の快気祝の食事が始まる。
以前と同じ時が流れ始めた。
『おっきいおにいちゃん、おにく おいしい』
慣れた場所で、隣には朔也が居て、食べ慣れた鹿島の料理を頬張る陽を、咲恵も佐伯も安堵の表情で見つめる。
意識のない朔也に陽を会わせることを渋っていた楠瀬は油断したら流れてしまいそうな涙を溜めている。
そんな中1人、ポーカーフェイスで朔也に近付いたのは吾妻だ。耳打ちされたのは随分と辛辣な一言だった。
『変質者になりたいのか?犯罪者になりたいのか?』
自慢ではないが、これまでも法律を侵したことは幾度となくある。緻密な吾妻により、警察にバレなかったと言うだけだ。
この場合、吾妻は性犯罪を指しているのだから少々意味が違うのだろうか。
しかし、変質者になったことはない、
と思っていた。
思っていたが、少年のトイレに付き合うのは変質的ではないだろうか?
おまけに放尿プレイで興奮しているのは、特殊性癖に分類されるような気がする。
茫然自失の朔也に吾妻は更に追い討ちをかける。
『あと2年1ヶ月は我慢しろよ』
朔也の快気祝にと彩られた食卓は、病院のそれとは違う華やかさと情が感じられた。
皆が朔也の回復を喜び退院を祝うが、殊更嬉しそうなのは、やはり陽だ。陽にとっての日常がやっと戻ったのだ。ほんの少しでも朔也から離れないようにと、ぴとりとくっついて全く離れない。
数日間病室で共に過ごしたとは言え、離れて生活した時間が、そして朔也が迎えに現れなかったことが辛かったのだろう。
そして病室で共に過ごすようになって再開された朔也の修行は今日も順調に続いている。
思えば傷が痛む頃の方が、修行は辛くなかった。痛みに気を取られて煩悩に惑わされることがなかったのだ。
しかし痛みが治まり、以前と変わらぬ生活ができるようになった最近では、修行の辛さが身に染みる。
『おしっこ』
相変わらず陽の無自覚放尿ショーは、朔也と言うオーディエンスにのみ向けられ続いている。幾度経験しても慣れることはない。
ここ数日で妙に大人びた雰囲気を醸し出すようになった陽の陰部には薄らと下生えも見え始めた。
そろそろトイレは1人で。いや、もっと前にそう言うべきだったのだ。
陽が求め朔也が応じる。それが普通になってしまった今、陽に何と切り出すべきなのだろう。
1人モヤモヤと考える朔也の前で、腰をモジッと動かした陽は朔也の腕を引っ張り
『おしっこ いく』
とりあえず今だけは。間に合わなかったら大変だ。今だけ。今だけトイレに付き合って、その後で陽に言い聞かせよう。
トイレには1人で行くことを。
2人がトイレから戻ったタイミングで朔也の快気祝の食事が始まる。
以前と同じ時が流れ始めた。
『おっきいおにいちゃん、おにく おいしい』
慣れた場所で、隣には朔也が居て、食べ慣れた鹿島の料理を頬張る陽を、咲恵も佐伯も安堵の表情で見つめる。
意識のない朔也に陽を会わせることを渋っていた楠瀬は油断したら流れてしまいそうな涙を溜めている。
そんな中1人、ポーカーフェイスで朔也に近付いたのは吾妻だ。耳打ちされたのは随分と辛辣な一言だった。
『変質者になりたいのか?犯罪者になりたいのか?』
自慢ではないが、これまでも法律を侵したことは幾度となくある。緻密な吾妻により、警察にバレなかったと言うだけだ。
この場合、吾妻は性犯罪を指しているのだから少々意味が違うのだろうか。
しかし、変質者になったことはない、
と思っていた。
思っていたが、少年のトイレに付き合うのは変質的ではないだろうか?
おまけに放尿プレイで興奮しているのは、特殊性癖に分類されるような気がする。
茫然自失の朔也に吾妻は更に追い討ちをかける。
『あと2年1ヶ月は我慢しろよ』
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