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6話 悪役令嬢は主人公の幼馴染に脅される
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昨日のこと。
エドとたくさん話をしてから、遅くなったので寮に帰った私は、一度この先のことを整理しようと思い、荷物の中から日記帳を出した。
「まず、やっぱり攻略対象の情報からね。学校生活は彼らとメイが主体になって動くし」
攻略対象は国の第二王子、貴族の幼馴染、隣国の貴族、そして領地の庶民……だ。
この中で私が警戒しないといけないのは、まず第二王子。次点でメイの幼馴染──ラグナだ。
ラグナは最強キャラ。メイを守るために、権力も頭脳も足りないと考えた彼はひたすらに強さを求めた。
私もそれなりに鍛えてはいるので他の人には負けないだろうけど、流石に最強キャラ相手では分が悪いどころの話ではない。
ラグナルートではシアンは完ぺきな悪役令嬢ムーブで主人公に嫌がらせをしまくるのだけれども、たくさんあるエンドのすべてでシアンはラグナにぼこられるという要素がついて回るのだ。
それがHappyになるかBadになるかは、隣国の王女に暴力沙汰という罪をいかにするかにかかっているといっても過言ではない。
普通にプレイしていた私が一番苦労したルートもラグナルートで、とにかく手が早いラグナが何度投獄されたかは数えるのもばからしい。そういうところであまりファンの心をつかめていないキャラであった。そういう苦労をしらないアニメ勢からは結構人気があるあたり、魅力的なキャラなのは間違いないんだけど……
ともかく私は彼が怖い!
何が彼を怒らせるかわかったものじゃないし、攻略対象に殴られENDとか私の望むところじゃなさすぎる!
だから、できるだけ関わりあいになりたくない。でも、主人公であるメイとはお近づきになりたい。
どうすればいいんだろう……
その夜はずっと考えていたけど、結局答えは出ず。
私は眠りについたのであった。
それが、まさかこんなところで出会うなんて……
しかも初対面で呼び捨てとか、絶対怒るよね!?
「おい、女……会ったことはないと思うんだが、呼び捨てとはいい度胸だな?」
鋭い視線を痛いほどに感じる。
そりゃそうだ。普通初対面で呼び捨てにされたら怒る。
ラグナは貴族でもそこまで高い地位ではないが、今の私の服装は高級貴族に見えるものではないしな……
「それに、何故俺の名前を知っている? 下級貴族の三男の名前を知っている人間などそうはいないと思うが」
ぱたんと本を閉じて本棚に戻し、こちらに歩を進めてくる。
「しかも……出来るな。なんだ、お前」
いよいよ本当にマズイ。今どういう考えを脳裏に巡らせているかは知らないが、まるで噴火寸前の火山のような剣幕だ。
このラグナをなんと誤魔化そうか……
その時、エドが私の横に一歩出た。
そのまま薄い笑顔でラグナに話しかける。
「失礼、ラグナさん。僕のことを覚えておられますか?」
「あァ? ……いや、お前エドアルドだな。父の相談役をやっている」
やってるの!?
エドの顔の広さが恐ろしい……
いや、そういえばエドはそもそもはメイの家の領地の平民。隣り合う領地の貴族であるラグナは、もしかすると最初の協力相手なのかも。
「はい。ラグナさんとはあまり話したことはありませんでしたね」
「お前の知り合いか? この無礼な女は」
「そうです。少し向こうみずなところがあり……悪気はなかったと思いますので、見逃していただけませんか?」
向こうみずなところ……そんなところあったっけなぁ?
確かについ思ったことをすぐに口に出しちゃったり、ふらっと行動しちゃったりするときもあるけど。
私が小首をかしげると、ライラが何故か額に手を当てているのが視界の端に見えた。どうしたのだろう?
「チッ。で、結局誰なんだコイツは? 何故俺の名前を知っている? 腕も立つようだが、お前の護衛か何かか?」
「……まぁ、そんなところです」
ん?
ラグナの発言を受けてなのか、エドがほんの少し苛立ちをあらわにしたように見えた。
でもどうしてだろう……? まっとうな誤解だと思うのだけど。
エドは立場こそ平民だけど、その頭脳の価値は貴族も買っているところなのだから護衛くらいいてもおかしくないわけで。それに私の方が強いんだから、そう勘違いしてもしかたない。
その苛立ちをラグナもなんとなく感じ取ったのか、肩をすくめた。
「……まぁ、なんだ。悪気がないなら俺が怒るのも器が小さいわな。悪かった」
「私の方こそすみません。それにラグナ様こそ、貴族として相応の振る舞いをされていたと思います」
未だに貴族と平民の間に隔つ意識の壁は高い。
貴族が、平民にさえ見える女に呼び捨てにされたとあって、ただ許すような姿を公衆の面前で見せるわけにはいかない。性悪な貴族から軟弱者のそしりを受けることになるだろう。
ラグナは貴族の三男だ。自分のために家を軽んじられたりするわけにはいかない。
最終的に許すことで器の大きさも見せられる、ラグナの立ち振る舞いは悪くないものに思えた。
そもそも彼は、意図的に他人に威圧感をばら撒いているのだ。親しくなればそれほど怖い相手ではない。
エドのおかげでなんとかなったが、事の発端は私なので二人に申し訳ない……
ラグナが矛を収めたのは父の恩人の知り合いだからというところがあったのだし、エドがいなければもっと面倒なことになっていただろう。
「ありがとう、エド」
小声でお礼を言うと笑顔を返してくれたが、どこかぎこちなく見えた。
何がそんなに嫌だったのかな……わからない。
「で、お前らも教科書を買いに来たのかよ? 親父から聞いてるぜ、エドアルドも入学するってな」
「その通りです。ラグナさんにも入学式でご挨拶に行くつもりでしたが、その必要はなくなったようで」
「ま、挨拶に来られても困ったがな。親父の知り合いってだけで、俺にはあんまり関係ないだろ……それと、学校では別にかしこまらなくていいからな」
おお、二人が普通に会話している……
それが何か少し新鮮な気持ちだ。なにせ、ゲームではこの二人凄く仲が悪い。
エドの平民という立場が、貴族たれと教育されたラグナには不愉快だった。その上、それが幼馴染であるメイに好意を寄せているというのだから、ラグナにしてみれば面白くないのは当然だ。
エドルートでは、身分違いの恋として一番の敵役になっていたのがラグナだった。
互いにどこか認め合い、だけど心の芯の部分では相容れない二人の決闘シーンは名シーンの一つに数えられるほど。
ともかくこの二人は反りが合わなかった。
それが今は感じられないのは、エドがラグナの家の相談を受け持っていてどこかのタイミングで見直されており、エドからメイに好意を寄せていることもないからに違いない。
……この二人の絡みはかなり人気があったので、ちょっと勿体ない気もするが……
いや、うん! 仲がいいのはいい事だよね!
会ってみればエドがころっとメイに惚れちゃったりするんだろうから、嵐の前の静けさかもしれないけど。
「ところで、ラグナさんはお一人なのですか? お付きの方とか……」
「ん? いや俺は」
私が質問して、ラグナが何かを言おうとした、その時だった。
「お待たせ、ラグナ! あ、ごめんね。誰かと話し中……だっ……た……?」
そこにいたのは、メイだった。
そしてその考えに至るまでは早かった。
教科書のコーナーはわかりやすかったし、指定されたものを買うだけなのだから内容を吟味する必要などない。
買ってから好きなだけ読めばいいそれを、何故ラグナは立ち読みなんてしていたのだろう?
それが、時間を潰すことが目的だったとしたら……誰かと待ち合わせをしている可能性に至れたはずだった。
そしてその誰かとは、二人で上京してきてお互いに右も左もわからない幼馴染で……
固まったままどんどん顔面が蒼白になっていくメイに、私は。
「ご、ご機嫌よう」
精一杯の笑顔を作り、そう声をかけた。
彼女が逃げ出してしまったのは、恐らく言うまでもない。
エドとたくさん話をしてから、遅くなったので寮に帰った私は、一度この先のことを整理しようと思い、荷物の中から日記帳を出した。
「まず、やっぱり攻略対象の情報からね。学校生活は彼らとメイが主体になって動くし」
攻略対象は国の第二王子、貴族の幼馴染、隣国の貴族、そして領地の庶民……だ。
この中で私が警戒しないといけないのは、まず第二王子。次点でメイの幼馴染──ラグナだ。
ラグナは最強キャラ。メイを守るために、権力も頭脳も足りないと考えた彼はひたすらに強さを求めた。
私もそれなりに鍛えてはいるので他の人には負けないだろうけど、流石に最強キャラ相手では分が悪いどころの話ではない。
ラグナルートではシアンは完ぺきな悪役令嬢ムーブで主人公に嫌がらせをしまくるのだけれども、たくさんあるエンドのすべてでシアンはラグナにぼこられるという要素がついて回るのだ。
それがHappyになるかBadになるかは、隣国の王女に暴力沙汰という罪をいかにするかにかかっているといっても過言ではない。
普通にプレイしていた私が一番苦労したルートもラグナルートで、とにかく手が早いラグナが何度投獄されたかは数えるのもばからしい。そういうところであまりファンの心をつかめていないキャラであった。そういう苦労をしらないアニメ勢からは結構人気があるあたり、魅力的なキャラなのは間違いないんだけど……
ともかく私は彼が怖い!
何が彼を怒らせるかわかったものじゃないし、攻略対象に殴られENDとか私の望むところじゃなさすぎる!
だから、できるだけ関わりあいになりたくない。でも、主人公であるメイとはお近づきになりたい。
どうすればいいんだろう……
その夜はずっと考えていたけど、結局答えは出ず。
私は眠りについたのであった。
それが、まさかこんなところで出会うなんて……
しかも初対面で呼び捨てとか、絶対怒るよね!?
「おい、女……会ったことはないと思うんだが、呼び捨てとはいい度胸だな?」
鋭い視線を痛いほどに感じる。
そりゃそうだ。普通初対面で呼び捨てにされたら怒る。
ラグナは貴族でもそこまで高い地位ではないが、今の私の服装は高級貴族に見えるものではないしな……
「それに、何故俺の名前を知っている? 下級貴族の三男の名前を知っている人間などそうはいないと思うが」
ぱたんと本を閉じて本棚に戻し、こちらに歩を進めてくる。
「しかも……出来るな。なんだ、お前」
いよいよ本当にマズイ。今どういう考えを脳裏に巡らせているかは知らないが、まるで噴火寸前の火山のような剣幕だ。
このラグナをなんと誤魔化そうか……
その時、エドが私の横に一歩出た。
そのまま薄い笑顔でラグナに話しかける。
「失礼、ラグナさん。僕のことを覚えておられますか?」
「あァ? ……いや、お前エドアルドだな。父の相談役をやっている」
やってるの!?
エドの顔の広さが恐ろしい……
いや、そういえばエドはそもそもはメイの家の領地の平民。隣り合う領地の貴族であるラグナは、もしかすると最初の協力相手なのかも。
「はい。ラグナさんとはあまり話したことはありませんでしたね」
「お前の知り合いか? この無礼な女は」
「そうです。少し向こうみずなところがあり……悪気はなかったと思いますので、見逃していただけませんか?」
向こうみずなところ……そんなところあったっけなぁ?
確かについ思ったことをすぐに口に出しちゃったり、ふらっと行動しちゃったりするときもあるけど。
私が小首をかしげると、ライラが何故か額に手を当てているのが視界の端に見えた。どうしたのだろう?
「チッ。で、結局誰なんだコイツは? 何故俺の名前を知っている? 腕も立つようだが、お前の護衛か何かか?」
「……まぁ、そんなところです」
ん?
ラグナの発言を受けてなのか、エドがほんの少し苛立ちをあらわにしたように見えた。
でもどうしてだろう……? まっとうな誤解だと思うのだけど。
エドは立場こそ平民だけど、その頭脳の価値は貴族も買っているところなのだから護衛くらいいてもおかしくないわけで。それに私の方が強いんだから、そう勘違いしてもしかたない。
その苛立ちをラグナもなんとなく感じ取ったのか、肩をすくめた。
「……まぁ、なんだ。悪気がないなら俺が怒るのも器が小さいわな。悪かった」
「私の方こそすみません。それにラグナ様こそ、貴族として相応の振る舞いをされていたと思います」
未だに貴族と平民の間に隔つ意識の壁は高い。
貴族が、平民にさえ見える女に呼び捨てにされたとあって、ただ許すような姿を公衆の面前で見せるわけにはいかない。性悪な貴族から軟弱者のそしりを受けることになるだろう。
ラグナは貴族の三男だ。自分のために家を軽んじられたりするわけにはいかない。
最終的に許すことで器の大きさも見せられる、ラグナの立ち振る舞いは悪くないものに思えた。
そもそも彼は、意図的に他人に威圧感をばら撒いているのだ。親しくなればそれほど怖い相手ではない。
エドのおかげでなんとかなったが、事の発端は私なので二人に申し訳ない……
ラグナが矛を収めたのは父の恩人の知り合いだからというところがあったのだし、エドがいなければもっと面倒なことになっていただろう。
「ありがとう、エド」
小声でお礼を言うと笑顔を返してくれたが、どこかぎこちなく見えた。
何がそんなに嫌だったのかな……わからない。
「で、お前らも教科書を買いに来たのかよ? 親父から聞いてるぜ、エドアルドも入学するってな」
「その通りです。ラグナさんにも入学式でご挨拶に行くつもりでしたが、その必要はなくなったようで」
「ま、挨拶に来られても困ったがな。親父の知り合いってだけで、俺にはあんまり関係ないだろ……それと、学校では別にかしこまらなくていいからな」
おお、二人が普通に会話している……
それが何か少し新鮮な気持ちだ。なにせ、ゲームではこの二人凄く仲が悪い。
エドの平民という立場が、貴族たれと教育されたラグナには不愉快だった。その上、それが幼馴染であるメイに好意を寄せているというのだから、ラグナにしてみれば面白くないのは当然だ。
エドルートでは、身分違いの恋として一番の敵役になっていたのがラグナだった。
互いにどこか認め合い、だけど心の芯の部分では相容れない二人の決闘シーンは名シーンの一つに数えられるほど。
ともかくこの二人は反りが合わなかった。
それが今は感じられないのは、エドがラグナの家の相談を受け持っていてどこかのタイミングで見直されており、エドからメイに好意を寄せていることもないからに違いない。
……この二人の絡みはかなり人気があったので、ちょっと勿体ない気もするが……
いや、うん! 仲がいいのはいい事だよね!
会ってみればエドがころっとメイに惚れちゃったりするんだろうから、嵐の前の静けさかもしれないけど。
「ところで、ラグナさんはお一人なのですか? お付きの方とか……」
「ん? いや俺は」
私が質問して、ラグナが何かを言おうとした、その時だった。
「お待たせ、ラグナ! あ、ごめんね。誰かと話し中……だっ……た……?」
そこにいたのは、メイだった。
そしてその考えに至るまでは早かった。
教科書のコーナーはわかりやすかったし、指定されたものを買うだけなのだから内容を吟味する必要などない。
買ってから好きなだけ読めばいいそれを、何故ラグナは立ち読みなんてしていたのだろう?
それが、時間を潰すことが目的だったとしたら……誰かと待ち合わせをしている可能性に至れたはずだった。
そしてその誰かとは、二人で上京してきてお互いに右も左もわからない幼馴染で……
固まったままどんどん顔面が蒼白になっていくメイに、私は。
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