俺のせいで不登校になったクラスの美少女が記憶喪失になって再登校してきた件

タナ

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24話 運命の神様はまだ、俺にラブコメの波動を感じさせてくれない

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 「ひ、103.7…!!??」

 浅田は困惑していた。ま、それもそうだろう。偏差値が3桁なんて聞いたこともないだろうし。

 「そんなことが、あり得るの…」
 「アリエールなんですよ」

 俺は言った。

 「ま、俺1だったからな。たく、まさかなんて、俺も落ちたもんだ」
 「う、嘘だ…」
 「嘘なんかじゃねえよ。だって偏差値103.7ってことは逆算したら点数は299点じゃねえか。だから、1ミス。な?」

 浅田は唖然としていた。

 「ま、でもそんなすごいことじゃねえよ。全国順位は2位だったから、つまり俺の上にもう1人、満点を取ったやつがいるってことだろ?ほんと、世間は広いよなー」
 「それで1位じゃないんだ…」

 浅田は終始困惑しっぱなしだった。

 俺は話題を偏差値から変えることにした。

 「なあ浅田、さっきから思ってたんだけどよ。お前、いつもと違って口調が違うのはなんでなんだ?」
 「はあ?」
 「だって、いつもは語尾が『だよ』じゃねえか。明らかに溌剌そうなのに、なんか今日は『かしら』とか『わよ』とか『のね』とかさ。ちょっと不自然じゃね?」

 浅田はギクッとした。

 「そんなこと知ってるの?なんかキモいんだけど」
 「ちぇ、可愛くねえやっちゃなあ。黙ってりゃ可愛いのによ」
 「え?今、なんて?」
 「あ、ああーあれだアレ、よく他の男子が言ってんだよ。うるさくなけりゃモテそうなのによーって」
 「ふん、余計なお世話よ」

 あっぶな。心の声出すぎでしょ。
 というか、本当に黙ってさえいればすげえモテそうなのにな。うるさくなれりゃ可愛いって言う意見もあながち間違いではないな。

 「で、なんで口調が違うんだよ」
 「……別に」
 「ま、どうせとかそんなことだろうけどよ」
 「キャラ作り?」
 「噂によれば、お前相当なお嬢様なんだって?ま、あくまで噂だから信用はできないけど、もしそれが本当なら、まあ…俺だったら隠すよな。バレたらクラスで浮くし」
 「……」

 浅田は黙秘を通すつもりらしい。
 俺は構わず続ける。

 「ほんと、高校生ってのはどうにも根も葉もない噂を立てたがるよな。『あいつは親のコネで入った』とか無責任なこと言って、そしてそれを何の根拠もソースも無しに信じる。もはや悪徳新興宗教だよな」
 「…で、何が言いたいの?」
 「んー?いや、なんで俺にだけいつものやる気元気オロナミンCみたいなキャラで話してこないんだろうと思ってさ。この前の説教はアレだったけど」
 「さあ?私にも」
 「ふーん、なるほどね」

 俺は訳ありに頷いた。

 「あいにく俺は平和と平等を重んじるのでね。誰かに特別優しくするとかことができない性なんすわ」
 「私まだ、このはのこと許してないから」
 「それとこれとは別問題だろ?折角何かのご縁で隣になったんだ、仲良くしようぜ」

 と、俺が言ったところで中田先生が部屋に入ってきた。そこで自然に会話が途切れる。

 まあ、なんつうの。浅田にも、色々事情があるんだなあって感じる1時間だった。


 あ、生徒指導は厳重注意で終わった。中田先生、すごく急いでたみたいだったな。
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