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14話 前夜
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月が変わり、新たなクラス(メンバーも担任もほぼ変わってないが)にもみんなが慣れてきた頃。
俺は今、浅田達から殺意と言う名の視線を喰らっていた。なぜか?
それは、今から2時間前に遡る……
-------------------------
「席替え?」
「そ。おかげでボッチになっちゃったよ」
松原がムスッとしながら弁当を慾る。横には相変わらず田中と井藤がいて、モグモグと購買部で買ってきたっぽいパンを食っていた。
「席替えって、まだ月の半ばだぜ?なんでこんな早いんだよ」
田中が聞く。確かに、今は5月の中旬。大体席替えは月終わりか月初めのどちらかにあるから、少しおかしい気もする。
「……陽キャがうるさいんだよ」
不機嫌だった松原がもっと顔を歪ませる。どうやら陽キャたちが席替えやりたいと連呼していたようだ。その陽キャたちは今、中庭で青春を謳歌しているはずだ。
「そりゃ、大変なこって……」
井藤が同情の声をかける。井藤も松原と同じクラスだが、席は割といいところになったらしい。もっとも、松原とは近くないけど。
「お前のクラスはやんねーのか?」
井藤が流れで俺に聞いてきた。
「俺らはまだやってないけど……どうなんだろうな」
そういえばそうだ。まあ、席替え自体、見知らぬ人と仲良くなるためのことだし、俺たち1組はメンバーもほとんど変わってないから、やる必要が正直言ってない。それに、俺はできればあのままの席がいいと思っている。
「もし席替えしたらさ、お前誰の隣になりたい?」
田中がニヤニヤしながら聞いてきた。この学校の席の配置は、男女が必ず隣同士になるよう設定されている。つまり、この質問は間接的に「憧れの人は誰?」と聞いているのだ。
「やっぱり浅田とかか?」
井藤が言う。え、マジかよ、浅田?
「なんで浅田なんだよ」
「いやまあ、あいつ性格は難有りだけど、顔は抜群じゃん?それにスタイルもいいしさ」
井藤が答える。言われてみれば、浅田は容姿だけ見ると理想的なものがある。だけど、俺のタイプではない。
「タイプじゃないし、浅田はねえよ」
俺は適当に流すことにした。俺はこういう話題が苦手なのだ。
「なあ」
と、ここで急に松原が口を開く。しかし、幾分と声が小さい。
「どした?」
俺が聞き返すと、松原は小声で「しっ!」と動作をした。どうやら俺だけにしか聞かれたくないらしい。
「あれ、見ろよ。平本と徳丸だ」
松原が指を指す。その方向には旧校舎への道があり、そして2つの人影があった。
1つはすぐにわかった。平本だ。だが、もう1つの影が誰なのかわからない。松原は徳丸、とか言ってたな。
「徳丸って、誰?」
「スクールカウンセラーだよ。ほら、週3とかで学校に来てる」
「ああ、あの胡散臭いおっさんのことか」
どうやら徳丸とはスクールカウンセラーのことらしい。全校集会で紹介があったけど、ただのおっさんにしか見えなかった。
「なんで、あそこにいるんだ?」
「え、なんでって、相談でもしてんじゃねえのか」
「じゃあ、どうして旧校舎に行く必要があるんだよ」
松原が鋭く指摘する。確かに、不自然だ。
「なあ、あそこ、行ってみないか?」
松原が誘う。断る理由もないし、まあいいか。
俺が答えると、なぜか松原の目は正義に燃えていた。
俺は今、浅田達から殺意と言う名の視線を喰らっていた。なぜか?
それは、今から2時間前に遡る……
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「席替え?」
「そ。おかげでボッチになっちゃったよ」
松原がムスッとしながら弁当を慾る。横には相変わらず田中と井藤がいて、モグモグと購買部で買ってきたっぽいパンを食っていた。
「席替えって、まだ月の半ばだぜ?なんでこんな早いんだよ」
田中が聞く。確かに、今は5月の中旬。大体席替えは月終わりか月初めのどちらかにあるから、少しおかしい気もする。
「……陽キャがうるさいんだよ」
不機嫌だった松原がもっと顔を歪ませる。どうやら陽キャたちが席替えやりたいと連呼していたようだ。その陽キャたちは今、中庭で青春を謳歌しているはずだ。
「そりゃ、大変なこって……」
井藤が同情の声をかける。井藤も松原と同じクラスだが、席は割といいところになったらしい。もっとも、松原とは近くないけど。
「お前のクラスはやんねーのか?」
井藤が流れで俺に聞いてきた。
「俺らはまだやってないけど……どうなんだろうな」
そういえばそうだ。まあ、席替え自体、見知らぬ人と仲良くなるためのことだし、俺たち1組はメンバーもほとんど変わってないから、やる必要が正直言ってない。それに、俺はできればあのままの席がいいと思っている。
「もし席替えしたらさ、お前誰の隣になりたい?」
田中がニヤニヤしながら聞いてきた。この学校の席の配置は、男女が必ず隣同士になるよう設定されている。つまり、この質問は間接的に「憧れの人は誰?」と聞いているのだ。
「やっぱり浅田とかか?」
井藤が言う。え、マジかよ、浅田?
「なんで浅田なんだよ」
「いやまあ、あいつ性格は難有りだけど、顔は抜群じゃん?それにスタイルもいいしさ」
井藤が答える。言われてみれば、浅田は容姿だけ見ると理想的なものがある。だけど、俺のタイプではない。
「タイプじゃないし、浅田はねえよ」
俺は適当に流すことにした。俺はこういう話題が苦手なのだ。
「なあ」
と、ここで急に松原が口を開く。しかし、幾分と声が小さい。
「どした?」
俺が聞き返すと、松原は小声で「しっ!」と動作をした。どうやら俺だけにしか聞かれたくないらしい。
「あれ、見ろよ。平本と徳丸だ」
松原が指を指す。その方向には旧校舎への道があり、そして2つの人影があった。
1つはすぐにわかった。平本だ。だが、もう1つの影が誰なのかわからない。松原は徳丸、とか言ってたな。
「徳丸って、誰?」
「スクールカウンセラーだよ。ほら、週3とかで学校に来てる」
「ああ、あの胡散臭いおっさんのことか」
どうやら徳丸とはスクールカウンセラーのことらしい。全校集会で紹介があったけど、ただのおっさんにしか見えなかった。
「なんで、あそこにいるんだ?」
「え、なんでって、相談でもしてんじゃねえのか」
「じゃあ、どうして旧校舎に行く必要があるんだよ」
松原が鋭く指摘する。確かに、不自然だ。
「なあ、あそこ、行ってみないか?」
松原が誘う。断る理由もないし、まあいいか。
俺が答えると、なぜか松原の目は正義に燃えていた。
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