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7話 スクラップアンドビルド
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会議室には2人の人物がいた。2人とも大人で、相応の歳をしているように見えた。
2人共薬指に同じ指輪をしていた。つまり、2人は夫婦だった。
2人は中田先生の姿を見ると、立ち上がって「どうも」と軽く会釈をした。
俺はこの夫婦を知っていた。恐らく、俺だけが知っているだろうが。
「中田先生、娘の様子はどうですか?」
男性の方が口を開く。言葉は心配と憂いに満ちていた。
「ええ、クラスメートから集られてたりはしてましたが、仲良くしている様子でしたよ」
中田先生がそう言うと、夫婦はホッとしたようだった。
「先生、そちらの男の子は……」
今度は女性の方が俺を指差して問う。俺は一歩前に出て名前を言う。
「平本さんのクラスメートの──です」
俺は不思議と緊張しなかった。何だかこの人たちを前にすると妙な安心感がある。
「君があの──君か。君のことは娘から聞いています」
男性が応える。表情は変わっていない。
「──、この方々は平本の、」
「平本さんの親御さん方ですね。知っています」
「……フフ。そう、だろうな。お前のことだからどこかで知っていることだろうなと思っていたよ」
中田先生が静かに笑う。平本夫婦は俺が知っていることに驚いたのか、キョトンとしている。
「さて、──。お前には親御さんに説明する義務がある。どうして平本がああなったのか、その真実を知っているのは浅田でも俺でもない。唯一、世界でお前しか知らないことがあるはずだ」
俺は黙って平本の両親を見つめる。母親の目はもう泣きそうだった。
「……わかりました。ただし、条件があります」
「条件だと?」
「はい。それを守っていただければ、洗いざらい何もかも話しましょう」
俺は覚悟して言った。何か文句を言われそうだったが、中田先生は意外にも何も言ってこなかった。
「わかった。で、その条件とは?」
「今から俺が言うことを、平本はもちろん、絶対に誰にもバラしたり言わないでください」
平本の両親は黙ったままだ。
「それはいいが……他人に口外しないのはともかく、なぜ平本に言ってはいけないんだ?」
「誰かが、ひどく傷つくからです」
俺はかなり冷酷な声をしていた。
「俺はもう、誰かが傷ついて苦しむところを見たくありません。二度と、こんなことが起きないように……」
平本の母親はやっぱり泣きそうだった。たまに鼻をすすっている。
「わかった。その条件、呑もう。僕ももう、娘や誰かが傷つくところは見たくないからね」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げた。父親が話のわかる人で良かった。
「では、教えてくれないか。あの日のことを……」
平本の父親が囁くように言った。
さあ、スクラップアンドビルドだ。
2人共薬指に同じ指輪をしていた。つまり、2人は夫婦だった。
2人は中田先生の姿を見ると、立ち上がって「どうも」と軽く会釈をした。
俺はこの夫婦を知っていた。恐らく、俺だけが知っているだろうが。
「中田先生、娘の様子はどうですか?」
男性の方が口を開く。言葉は心配と憂いに満ちていた。
「ええ、クラスメートから集られてたりはしてましたが、仲良くしている様子でしたよ」
中田先生がそう言うと、夫婦はホッとしたようだった。
「先生、そちらの男の子は……」
今度は女性の方が俺を指差して問う。俺は一歩前に出て名前を言う。
「平本さんのクラスメートの──です」
俺は不思議と緊張しなかった。何だかこの人たちを前にすると妙な安心感がある。
「君があの──君か。君のことは娘から聞いています」
男性が応える。表情は変わっていない。
「──、この方々は平本の、」
「平本さんの親御さん方ですね。知っています」
「……フフ。そう、だろうな。お前のことだからどこかで知っていることだろうなと思っていたよ」
中田先生が静かに笑う。平本夫婦は俺が知っていることに驚いたのか、キョトンとしている。
「さて、──。お前には親御さんに説明する義務がある。どうして平本がああなったのか、その真実を知っているのは浅田でも俺でもない。唯一、世界でお前しか知らないことがあるはずだ」
俺は黙って平本の両親を見つめる。母親の目はもう泣きそうだった。
「……わかりました。ただし、条件があります」
「条件だと?」
「はい。それを守っていただければ、洗いざらい何もかも話しましょう」
俺は覚悟して言った。何か文句を言われそうだったが、中田先生は意外にも何も言ってこなかった。
「わかった。で、その条件とは?」
「今から俺が言うことを、平本はもちろん、絶対に誰にもバラしたり言わないでください」
平本の両親は黙ったままだ。
「それはいいが……他人に口外しないのはともかく、なぜ平本に言ってはいけないんだ?」
「誰かが、ひどく傷つくからです」
俺はかなり冷酷な声をしていた。
「俺はもう、誰かが傷ついて苦しむところを見たくありません。二度と、こんなことが起きないように……」
平本の母親はやっぱり泣きそうだった。たまに鼻をすすっている。
「わかった。その条件、呑もう。僕ももう、娘や誰かが傷つくところは見たくないからね」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げた。父親が話のわかる人で良かった。
「では、教えてくれないか。あの日のことを……」
平本の父親が囁くように言った。
さあ、スクラップアンドビルドだ。
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