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5話 「 」
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クラスで浅田達と一悶着あった後、俺は逃げるように隣の2組へ逃げ込み、学年の中での数少ない友達と共にいそいそと昼食を食っていた。
「なあ、お前大丈夫か?なんか凄い剣幕だったけど」
「ん?ああ、アレのこと?別に何もねえよ。浅田が勝手にキレてきただけだから」
「ならいいんだけど」
俺の身を案じてくれているのかどうかは知らないが、心配そうに松原が話しかけてくる。今後はあまり浅田達と関わらないようにしよう。
俺は目の前の奴らを見回した。それにしても、やはりこいつ等といると心が落ち着く。気が置けない仲間がいるといいものだ。
さっき心配そうにおれに話しかけてきた松原勇斗は、身長が少し低めで手足が折れてしまいそうなぐらい細い。にも関わらず、見た目に反して陸上部に所属していて、去年は1年生ながら3年生に劣らないような成績を残しているのだとか。
自身は自覚がないようだが、端正な顔立ちとその優しい性格から、女子にもかなり人気がある。1年のとき俺に話しかけてきた大半の女子は松原目当てだったし。悲しい。
俺の隣ででっかいおにぎりを3口ぐらいで平らげている坊主頭の井藤駿太は、ガタイがよく高身長で、いざ対面するととても圧を感じてしまう。が、とても陽気で話しやすく、何より話していて面白い。いつも笑顔でいるナイスガイだ。
井藤は野球部に所属していて、走・攻・守の三拍子揃った期待のホープだという。よく無茶をして怪我するらしいが、回復するスピードが尋常じゃないぐらい早いらしい。この前も骨折したとか言いながら4日で部活に出てたし。恐らく親族にナメック星人がいるのだろう。
井藤の右でもぐもぐ食っているのは田中。いいやつだけど存在感がなくてモブと化している。下の名前何だったっけ?
とまあ、特に仲がいいのはこいつ等かな。今もこうして一緒に飯食ってるわけだし。
「あ、そういえばさ、平本復活したってほんと?」
田中が口を開く。あいつから話題を振るなんて滅多にない。それほど平本の再登校は衝撃だっだ。
「……」
俺は何も言わない。松原も井藤も黙りこくっている。
「??どうしたの?」
田中が疑問そうに言う。そういえば田中はあのことを知らないんだった。
「そうか、田中知らなかったんだっけ。まあ知らないほうが、」
「俺が昔、平本に告った」
松原の言葉を俺が遮る。田中は一瞬俺の言ったことが理解できなかったようだが、すぐに「え!?」となった。
「ま、マジで!?それで、どうなったのさ!?」
俺が顔を横に振ると、田中は申し訳なさそうに「そうだったのか……」とうなだれた。優しいやつだ。
そこからは無言の時間が続いた。
俺も無表情がうまくなったものだ。
「なあ、お前大丈夫か?なんか凄い剣幕だったけど」
「ん?ああ、アレのこと?別に何もねえよ。浅田が勝手にキレてきただけだから」
「ならいいんだけど」
俺の身を案じてくれているのかどうかは知らないが、心配そうに松原が話しかけてくる。今後はあまり浅田達と関わらないようにしよう。
俺は目の前の奴らを見回した。それにしても、やはりこいつ等といると心が落ち着く。気が置けない仲間がいるといいものだ。
さっき心配そうにおれに話しかけてきた松原勇斗は、身長が少し低めで手足が折れてしまいそうなぐらい細い。にも関わらず、見た目に反して陸上部に所属していて、去年は1年生ながら3年生に劣らないような成績を残しているのだとか。
自身は自覚がないようだが、端正な顔立ちとその優しい性格から、女子にもかなり人気がある。1年のとき俺に話しかけてきた大半の女子は松原目当てだったし。悲しい。
俺の隣ででっかいおにぎりを3口ぐらいで平らげている坊主頭の井藤駿太は、ガタイがよく高身長で、いざ対面するととても圧を感じてしまう。が、とても陽気で話しやすく、何より話していて面白い。いつも笑顔でいるナイスガイだ。
井藤は野球部に所属していて、走・攻・守の三拍子揃った期待のホープだという。よく無茶をして怪我するらしいが、回復するスピードが尋常じゃないぐらい早いらしい。この前も骨折したとか言いながら4日で部活に出てたし。恐らく親族にナメック星人がいるのだろう。
井藤の右でもぐもぐ食っているのは田中。いいやつだけど存在感がなくてモブと化している。下の名前何だったっけ?
とまあ、特に仲がいいのはこいつ等かな。今もこうして一緒に飯食ってるわけだし。
「あ、そういえばさ、平本復活したってほんと?」
田中が口を開く。あいつから話題を振るなんて滅多にない。それほど平本の再登校は衝撃だっだ。
「……」
俺は何も言わない。松原も井藤も黙りこくっている。
「??どうしたの?」
田中が疑問そうに言う。そういえば田中はあのことを知らないんだった。
「そうか、田中知らなかったんだっけ。まあ知らないほうが、」
「俺が昔、平本に告った」
松原の言葉を俺が遮る。田中は一瞬俺の言ったことが理解できなかったようだが、すぐに「え!?」となった。
「ま、マジで!?それで、どうなったのさ!?」
俺が顔を横に振ると、田中は申し訳なさそうに「そうだったのか……」とうなだれた。優しいやつだ。
そこからは無言の時間が続いた。
俺も無表情がうまくなったものだ。
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