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第24話:
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味方戦艦四隻が瞬時に撃沈されたのを目の前で目撃した米艦船は大パニックに陥り艦隊としての統制は完全に失われたのである。
それでも一部の艦は勇敢的に日本艦隊に突進していくがことごとく返り討ちに遭う。
「敵さんは最早、総崩れですな? 勿論、追い打ちをかけますよね?」
小柳参謀が横で興奮している栗田中将に質問すると栗田は首を縦に振りながら頷く。
「当然だ! これより徹底的に追撃してそのままサイパン島沖にいる輸送船団を撃破しに行くぞ。各水雷戦隊に連絡してくれ」
おそらく真珠湾攻撃から始まって以来の最大士気の高揚で栗田の命令を受けた巡洋艦や駆逐艦は各々の戦列を整えて速度を上げて逃走状態のアメリカ艦船を追いかけていく。
日本駆逐艦の九三式酸素魚雷の洗礼を浴びて轟音と共に真っ二つに折れて沈んでいく船もあればそのまま片側に転覆して赤い腹を見せている艦もいる。
特に最上級の獲物を取り損ねた”金剛”と”榛名”は主砲を乱発して巡洋艦や駆逐艦を吹き飛ばしていく。
栗田艦隊は最大速度でサイパン島に向かいつつ残存米艦隊を蹴散らしながら驀進していき遂に最前線を航行していた巡洋艦”愛宕”・”高雄”・”鳥海”・”摩耶”は水平線上に大輸送船団を捉える。
「よし!! これより殴り込みに行くぞ、砲弾と魚雷を全て撃ち尽くすまで暴れ回るぞ」
”愛宕”艦長の言葉に全艦の乗員は大歓声をあげる。
四隻の巡洋艦は速度を上げて突進していく。
そしてその後には戦艦四隻を従えた駆逐艦の群れが輸送船団に突入する直前であった。
サイパン島守備隊本部がある洞窟奥の司令部で南雲中将と小畑大佐は、固い握手をしていた。
「南雲長官、おめでとうございます! 米艦隊は壊滅してこの付近の敵は消えました。後はこの島にいる米軍を叩きつぶせば防衛完了ですな」
栗田艦隊が米戦艦を瞬時に撃沈させたことは既に知れ渡っていて日本守備隊の士気は空前絶後に増大していて各地で米軍に猛反撃していく。
その反対に米軍の士気は大幅に低下していくが誰一人として降伏するつもりはなく頑強に抵抗していたがそれも時間の問題である。
破顔している南雲も又、小畑大佐ににこやかな笑みを浮かべて頷く。
そこへ伝令員が駆け込んできたが小畑大佐は穏やかな表情でその内容を聞く。
どうせ悪い知らせは最早、無いと思っていたが正しくその通りで外へ出て海上を見て下さいと言われて司令部にいた全員が外に出て海上を見ると信じられない景色が映っている。
海上に停泊している米軍輸送船が次々と味方艦隊に沈められていく様子が見れていた。
魚雷から逃れようとしている輸送船もいたが操船を誤って座礁する艦も多数いた。
そして、決定的な出来事が上陸した米軍を襲う。
超巨大戦艦二隻が出現したと同時にその戦艦から轟音と共に主砲が発射される。
数十秒後、直下型地震が起きたかのような激震が彼らを襲うと戦車は紙細工のように吹き飛ばされていくと共に人はズタズタに引き裂かれてミンチ状態になる。
過去にガダルカナル島を艦砲射撃した事があったがその時でも威力は絶大で滑走路等は暫く穴だらけになり使用不可能になった。
しかし、今回の砲撃はそれ以上の破壊力であり輸送船はまるで粘土細工で作られたかのように簡単に原型を留めないぐらいに破壊されていく。
阿鼻叫喚の地獄絵図が上陸部隊を襲っている過程で遂に海兵隊指揮官ターナー中将が砲撃に巻き込まれて戦死してしまう。
全ての砲弾を撃ち尽くした栗田艦隊は意気揚々と反転していくと同時に陣形を整えて島の周囲を周回していた。
ターナー中将の戦死を知った南雲は、総攻撃を命令すると歓声をあげながら歩兵銃を掲げて突撃していく陸軍軍人。
最早、戦闘とはいえない状況で各地で米軍は分断されて各個撃破されていく。
司令官を初めとする上級指揮官を失ったので降伏等のタイミングを推し量れない各中隊長や小隊長はそのまま戦闘を続行していき被害を増大させている。
それでも一部の艦は勇敢的に日本艦隊に突進していくがことごとく返り討ちに遭う。
「敵さんは最早、総崩れですな? 勿論、追い打ちをかけますよね?」
小柳参謀が横で興奮している栗田中将に質問すると栗田は首を縦に振りながら頷く。
「当然だ! これより徹底的に追撃してそのままサイパン島沖にいる輸送船団を撃破しに行くぞ。各水雷戦隊に連絡してくれ」
おそらく真珠湾攻撃から始まって以来の最大士気の高揚で栗田の命令を受けた巡洋艦や駆逐艦は各々の戦列を整えて速度を上げて逃走状態のアメリカ艦船を追いかけていく。
日本駆逐艦の九三式酸素魚雷の洗礼を浴びて轟音と共に真っ二つに折れて沈んでいく船もあればそのまま片側に転覆して赤い腹を見せている艦もいる。
特に最上級の獲物を取り損ねた”金剛”と”榛名”は主砲を乱発して巡洋艦や駆逐艦を吹き飛ばしていく。
栗田艦隊は最大速度でサイパン島に向かいつつ残存米艦隊を蹴散らしながら驀進していき遂に最前線を航行していた巡洋艦”愛宕”・”高雄”・”鳥海”・”摩耶”は水平線上に大輸送船団を捉える。
「よし!! これより殴り込みに行くぞ、砲弾と魚雷を全て撃ち尽くすまで暴れ回るぞ」
”愛宕”艦長の言葉に全艦の乗員は大歓声をあげる。
四隻の巡洋艦は速度を上げて突進していく。
そしてその後には戦艦四隻を従えた駆逐艦の群れが輸送船団に突入する直前であった。
サイパン島守備隊本部がある洞窟奥の司令部で南雲中将と小畑大佐は、固い握手をしていた。
「南雲長官、おめでとうございます! 米艦隊は壊滅してこの付近の敵は消えました。後はこの島にいる米軍を叩きつぶせば防衛完了ですな」
栗田艦隊が米戦艦を瞬時に撃沈させたことは既に知れ渡っていて日本守備隊の士気は空前絶後に増大していて各地で米軍に猛反撃していく。
その反対に米軍の士気は大幅に低下していくが誰一人として降伏するつもりはなく頑強に抵抗していたがそれも時間の問題である。
破顔している南雲も又、小畑大佐ににこやかな笑みを浮かべて頷く。
そこへ伝令員が駆け込んできたが小畑大佐は穏やかな表情でその内容を聞く。
どうせ悪い知らせは最早、無いと思っていたが正しくその通りで外へ出て海上を見て下さいと言われて司令部にいた全員が外に出て海上を見ると信じられない景色が映っている。
海上に停泊している米軍輸送船が次々と味方艦隊に沈められていく様子が見れていた。
魚雷から逃れようとしている輸送船もいたが操船を誤って座礁する艦も多数いた。
そして、決定的な出来事が上陸した米軍を襲う。
超巨大戦艦二隻が出現したと同時にその戦艦から轟音と共に主砲が発射される。
数十秒後、直下型地震が起きたかのような激震が彼らを襲うと戦車は紙細工のように吹き飛ばされていくと共に人はズタズタに引き裂かれてミンチ状態になる。
過去にガダルカナル島を艦砲射撃した事があったがその時でも威力は絶大で滑走路等は暫く穴だらけになり使用不可能になった。
しかし、今回の砲撃はそれ以上の破壊力であり輸送船はまるで粘土細工で作られたかのように簡単に原型を留めないぐらいに破壊されていく。
阿鼻叫喚の地獄絵図が上陸部隊を襲っている過程で遂に海兵隊指揮官ターナー中将が砲撃に巻き込まれて戦死してしまう。
全ての砲弾を撃ち尽くした栗田艦隊は意気揚々と反転していくと同時に陣形を整えて島の周囲を周回していた。
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司令官を初めとする上級指揮官を失ったので降伏等のタイミングを推し量れない各中隊長や小隊長はそのまま戦闘を続行していき被害を増大させている。
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