歪められた日本の歴史改竄を正す為に大東亜戦争時にタイムスリップした戦闘艦の物語

蒼焔の提督

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第13話:

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 第五十八任務機動部隊旗艦”インディアナポリス”艦橋にて第四群の壊滅の報告を受けたスプルアーンスは真っ青な顔をして隣にいる参謀長ムーア大佐に電文を見せるとムーアも真っ青な表情になる。
 もう一人の参謀は突然の体調不良で緊急入院するために艦を降りたのである。
「第四群が壊滅……。ハリル少将は戦死して艦載機は全機喪失、”エセックス”は航行不能で駆逐艦による曳航中で残存艦隊は後退中……」
 スプルアーンスはムーア大佐に日本機動部隊は未だ発見できないのかとの質問にイエスと答える。
「司令、例の艦ですが放っておく訳はいけないと思います。ニミッツ提督が何と言おうと危険要素を排除せずに他の行動をするのは自殺行為です」
 ムーアの言葉にスプルアーンスは頷く。
「この機動部隊の戦闘指揮官はこの私だ! 私が全責任を負うから全空母に伝達して例の巡洋艦を袋たたきにして撃沈するのだ!」

 第一機動群司令官クラーク少将率いる空母”ホーネットⅡ”、”ヨークタウンⅡ” 軽空母”バターン”
”ベロー・ウッド”

 第二機動群司令官モントゴメリー少将率いる空母”バンカーヒル”、”ワスプⅡ” 軽空母”モントレー”
”カボット”

 第三機動群司令官リーブス少将率いる空母”エンタープライズ”、”レキシントンⅡ” 軽空母”プリンストン”と
”サン・ジャシント”
 ちなみにスプルアーンス提督の次席としてミッチャー中将が”レキシントンⅡ”に乗艦している。

 正規空母六隻、軽空母六隻から直援機八十機を残す合計七百機が各空母から離艦していく。
 まだその時の乗員は憎き黄色い猿ことジャップの艦を嬲り殺しにしてやると息巻いて出撃していく。

 第五十八任務機動部隊から出撃した七百機の編隊は直ぐに”雪風”のレーダーにキャッチされると同時にドローンからその映像が流れてくる。
「もの凄い大群ですね? まるでイナゴの如く押し寄せていますね」
 東郷が別の意味で感嘆の声を上げている。
 その言葉に富嶽は笑みを浮かべながら話す。
「羽虫には殺虫剤が必要だね? それも飛びきりの毒性が強いのを」
 富嶽は直ちにCICルームに迎撃指示を出す。
「対空戦用意!! パネルに映し出せ」
 オペレーターがキーボードを操作するとスクリーンに七〇〇個の光点が出現する。
「トラックNo1からNo50、No51からNo100、No101からNo150、No151から
No200までを入力!」
 オペレーターが次々と目標を入力する。
「四五式自動三式弾、装填よし!」
 第一番、第二番砲塔が旋回して敵攻撃機が向かっている方角に向ける。
 富嶽の号令がかかると轟音を発して初速マッハ七で打ち出される。
 その数秒後、スクリーンに光っていた二〇〇個の光点が瞬時に消えていく。
「二百機撃墜完了! 次弾装填します」
 機械的な口調でオペレーターの『貝塚篤』は次の目標を入力していく。
 彼にとってこの作業はゲーム感覚であり特に特別な感情が沸かないのである。
 パニック状態になったのか敵編隊がバラバラに散会したが富嶽は冷静にスクリーンを凝視する。
「無駄だね」
 富嶽の独り言を代弁するかのように貝塚は黙々と次の目標を入力していく。
 入力完了後、再び第二斉射でレールガンから三式弾が放たれる。
 そして初回と同様に二〇〇個の光点が消えていく。
 その時には敵はパニックを通り越して気が触れたかのように編隊を崩して逃走するが死神の鎌は容赦なく彼らを切り取っていく。
 第三斉射した後、富嶽は中止命令を出す。
「残りの内訳は分かるかな? 攻撃機か戦闘機か?」
 富嶽の言葉に羽柴から残りの敵はF6F二十機、アベンジャー四十八機、ヘルダイバー三十二機の連絡が来る。
 富嶽は一門のみに三式弾を装填して放つように命令する。
 一番砲塔の片側の一門から三式弾が放たれると五〇個の光点が消滅する。
 この時にはもう恐怖のドン底におちて発狂したパイロットもいて機動部隊に逃げ帰ったのは僅か二十二機のみであった。
「……前から思っていましたがこれは戦闘では無く虐殺ですね」
 第四分隊長の内田一美が憂鬱な表情をしながら呟く。
「医療方面担当ですが……何だか憂鬱です」
 内田の言葉に富嶽は彼女の言う事も痛いほど分かっている。
「内田君の言う通りだね? だが、これは戦争なのだ。心配しなくても今までもこれから起こるであろうこの虐殺の責任は全てこの俺がとる!」
 そう言うと富嶽は目を瞑り、敵の冥福を祈った。
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