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第9話:
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「艦長!! ”しらなみ”の速射砲がこちらを狙っています」
戦闘観測所から伝声管を通じて聞こえてくる。
「速射砲のタイミングに合わせてレールガンを撃て! 砲弾を撃墜する」
富嶽の命令に戦闘指揮所にいた者達は驚くがCICルームにいる杉本から了解しましたとの返答がくる。
「正気ですか?」
東郷の問いに富嶽は自信満々で頷くと”しらなみ”を睨む。
「”しらなみ”発砲!!」
”しらなみ”から速射砲がポンポンと”雪風”に向かっていくが悉くレールガンによって迎撃されていく。
「何だ!? あの駆逐艦は……」
岡本が唖然としているところにCICから連絡が入る。
「艦長! アメリカ艦載機を捉えました、攻撃態勢に入っているようです」
この内容と同じ事は”雪風”も把握していた。
「杉本!! 一番砲塔に”しらなみ”を入力して吃水線付近を狙って撃て! それと同時に攻撃してくるアメリカ艦載機を殲滅して全速力でステルスモードと光学シールドを展開する! 急げ」
”雪風”と”しらなみ”が戦っている時にアメリカ艦載機群は二艦を探知していたのである。
戦力はF6Fヘルキャット戦闘機二十五機、ヘルダイバー急降下爆撃機二十五機、アベンジャー雷撃機が二十五機の七十五機という全戦力の約一割を投入してきたのである。
「ジョン隊長! ジャップの艦を発見しましたが何やらおかしい状況のようです」
F6Fヘルキャットのパイロットであるクラーク少尉がアベンジャー雷撃機に乗っているジョン隊長に無線で連絡する。
ジョンが前方の海面を見ると二隻の艦が近距離で撃ち合っているのが見える。
しかし、陽炎型駆逐艦はともかく、もう一隻の艦は見たこともない形をしていたが先程のジャップの無線で亡命希望を言っていたので恐らく陽炎型駆逐艦が亡命しようとしたがそれを阻止する為に新造艦を差し向けてきたのだと判断する。
まあ、全く外れであったが……。
「ジャップの艦は全て沈めてしまえ! 全機、攻撃態勢へ」
ジョンの言葉に艦載機群は二手に分かれてそれぞれ攻撃体制に移行していく。
その様子を見ていた岡本は地団駄踏んで怒鳴る。
「くそ!! あの艦のせいで俺達をも狙っている。神薙、今からでも無線で伝えられないか?」
呼ばれた神薙であったが首を横に振る。
「無理です、こうなればあの駆逐艦を退治する前にあれを何とかしないといけません」
神薙の言葉は最もな事だったので岡本は苦渋の決断で命令する。
「対空戦闘用意!! MK.41 VLS発射用意!」
岡本が命令すると”しらなみ”の前部甲板に設置されている垂直発射用のセルの蓋が開く。
そのセルから轟音を発しながら二十発のスタンダード対空ミサイルが垂直に上昇していく。
そしてブースターが点火して予め入力していた標的に突入していく。
「な、何なんだ!? あれは……!」
雷撃体制に入ろうとしている雷撃機や急降下爆撃機のパイロットは目を見張るが一瞬のうちに意識が刈り取られていく。
ジョンは眼下で起きた信じられない様子に呆然としていた。
ふと、もう一手に分かれていた攻撃隊を見るとそこには一機も飛んでいなくて海面に残骸が沢山浮かんでいた。
「艦長、自動機関砲の性能は素晴らしいですね? こちらに向かってきていた敵機は全機、撃墜しましたが向こうの方も対空ミサイルで八割以上を撃墜したみたいです」
富嶽は黙って頷くと直ちにレールガンを”しらなみ”に放てと命令する。
「奴をここで始末する!! 撃て!」
一番砲塔が轟音を上げる。
「陽炎型駆逐艦発砲!」
神薙の言葉に岡本が何かを言おうとしたときに船体が折れたような音がすると同時に岡本と神薙始めとする艦橋内にいた者は一瞬のうちにミンチ状態になり”しらなみ”は船体中央を谷折り状態になってゆっくりと沈んでいった。
ジョンはこの一連の流れを信じられないように見ていた。
「隊長、もう一隻の艦が見当たりません! レーダーにも反応せず」
補助パイロットのアーク曹長の声が聞こえた時にジョンは我に返ると海面を見るが先程の陽炎型駆逐艦の姿は一切なく艦の残骸が浮かんでいるだけであった。
「……一旦、帰投する」
残存機は僅か三機だけであった。
戦闘観測所から伝声管を通じて聞こえてくる。
「速射砲のタイミングに合わせてレールガンを撃て! 砲弾を撃墜する」
富嶽の命令に戦闘指揮所にいた者達は驚くがCICルームにいる杉本から了解しましたとの返答がくる。
「正気ですか?」
東郷の問いに富嶽は自信満々で頷くと”しらなみ”を睨む。
「”しらなみ”発砲!!」
”しらなみ”から速射砲がポンポンと”雪風”に向かっていくが悉くレールガンによって迎撃されていく。
「何だ!? あの駆逐艦は……」
岡本が唖然としているところにCICから連絡が入る。
「艦長! アメリカ艦載機を捉えました、攻撃態勢に入っているようです」
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「杉本!! 一番砲塔に”しらなみ”を入力して吃水線付近を狙って撃て! それと同時に攻撃してくるアメリカ艦載機を殲滅して全速力でステルスモードと光学シールドを展開する! 急げ」
”雪風”と”しらなみ”が戦っている時にアメリカ艦載機群は二艦を探知していたのである。
戦力はF6Fヘルキャット戦闘機二十五機、ヘルダイバー急降下爆撃機二十五機、アベンジャー雷撃機が二十五機の七十五機という全戦力の約一割を投入してきたのである。
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ジョンが前方の海面を見ると二隻の艦が近距離で撃ち合っているのが見える。
しかし、陽炎型駆逐艦はともかく、もう一隻の艦は見たこともない形をしていたが先程のジャップの無線で亡命希望を言っていたので恐らく陽炎型駆逐艦が亡命しようとしたがそれを阻止する為に新造艦を差し向けてきたのだと判断する。
まあ、全く外れであったが……。
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その様子を見ていた岡本は地団駄踏んで怒鳴る。
「くそ!! あの艦のせいで俺達をも狙っている。神薙、今からでも無線で伝えられないか?」
呼ばれた神薙であったが首を横に振る。
「無理です、こうなればあの駆逐艦を退治する前にあれを何とかしないといけません」
神薙の言葉は最もな事だったので岡本は苦渋の決断で命令する。
「対空戦闘用意!! MK.41 VLS発射用意!」
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そのセルから轟音を発しながら二十発のスタンダード対空ミサイルが垂直に上昇していく。
そしてブースターが点火して予め入力していた標的に突入していく。
「な、何なんだ!? あれは……!」
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ジョンは眼下で起きた信じられない様子に呆然としていた。
ふと、もう一手に分かれていた攻撃隊を見るとそこには一機も飛んでいなくて海面に残骸が沢山浮かんでいた。
「艦長、自動機関砲の性能は素晴らしいですね? こちらに向かってきていた敵機は全機、撃墜しましたが向こうの方も対空ミサイルで八割以上を撃墜したみたいです」
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「奴をここで始末する!! 撃て!」
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