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第1話:出発前日
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「全乗員に告ぐ、私は艦長の富嶽だ! この艦は予定を変更して明日一〇〇〇時に出航する事になった故、各自の持ち場を再度チェックするように! 以上」
マイクを切った富嶽は東郷に各分隊長を三十分以内に大会議室に集めるように指示を出す。
東郷は敬礼をして富嶽の命令を復唱する。
富嶽はそのままCICルーム内にあるメインPCの所に行きPCを起動させる。
起動したPCの画面にMENUが表示されると富嶽はマウスでクリックする。
そのメニューの一覧表から“巡洋駆逐艦 雪風”の項目をクリックすると画面いっぱいに沢山の情報がモニターに表示される。
富嶽は改めてモニターを見つめながらこの艦の性能に息を呑むのである。
基準排水量:12,000トン
全長 :200メートル
最大幅 :20メートル
喫水 :6.6メートル
機関 :熱核融合式核融合炉タービン四基四軸
速力 :45ノット
最大速力 :65ノット
航続距離 :最大速力及び無補給で三〇年
主要兵装 :二〇センチ二連装砲塔二基四門(電磁加速砲”レールガン”)
:令和三式六一センチ水素魚雷発射管四門二基
防御装置 :光学迷彩シールド・完全ステルスシールド
乗員 :345名(男性331名・女性14名)
「核融合炉に電磁加速砲、それと水素魚雷……にレーダーにも一切表示されない完全ステルスに直視では一切見えない光学シールド……正にチートだな。我が日本という国は何という凄い物を生み出したんだ」
富嶽は画面に表示されている雪風の詳細を読みながら感嘆の声をあげる。
「本当に凄いですね……我が国の底地からは。しかし、こんな凄い物を作り上げた朝霧会長はただの人ではないんでしょうね? 初めてお会いしたとき、背筋がゾクっとしましたからね?」
いつの間にか東郷が後にいてモニターを眺めていた。
「そうだな、何でもこの船はM資金で造られたと言うがそれでも全体の数%だと言っていたが……謎だらけだ」
富嶽が画面を見ながら東郷の言葉の後を繋げる。
「艦長、各分隊長が会議室に集合しましたので御報告致します」
通信士の言葉に富嶽は頷くとPCモニターから眼を離してPCを閉じる。
そして、CICルームにいる乗員達に、引き続き最終チェックを怠らないように命令して出ていく。
◇
艦橋下の大会議室に五人の仕官が集合していて各自、椅子に座っている。
富嶽が会議室に入室すると椅子に座っていた全員が起立・直立不動の状態で富嶽を迎える。
「皆、最終準備中に申し訳ないが各分隊の現状と乗員の士気等を知りたいのでこうして集まって貰った」
富嶽の言葉に五人の分隊長は大きな声で返事する。
「では、各分隊長から現在の状況を明瞭簡潔に教えてくれ! 先ずは第一分隊長からだ」
富嶽の言葉に先ず右端に座っていた人物が立つと報告する。
「第一分隊長の榊原祐二です、現在、電磁加速砲”レールガン”の最終チェックですが全てオールクリアです。水素魚雷を八〇発積み込み終了しています。射撃管制レーダー、ソナー、探照灯、錨、短艇、クレーンの操作も問題なく動いています、いつでも戦闘態勢に移行できます」
「第二分隊長の杉本保昭です、船務科・航海科を担当しています。CIC(戦闘情報中枢)の運用及びレーダーや無線通信等の電子機器の操作、整備作業は終了しています。航空管制員・艦内の電気象士 気象員の配置も既に終えています。光学シールドにステルスシールドも完全に作動します」
「第三分隊長の橋山秀志です、機関科を担当しています。核融合炉は順調に稼働しています。そのエネルギーで
発電機、油圧、空調の管理及び火災や浸水に対してのダメージコントロールの防御も担います。後、応急長 応急士 電気員、応急工作員、潜水士、艦上救難員の配置も完了しています」
「第四分隊長の内田一美です、補給衛生科担当です。先ずは食料と水ですが水は海水濾過装置のお陰で無尽蔵に美味い水を飲み放題です。食料も真空圧縮パックのお陰で一日三食デザート付きで五年分を積み込み完了です。勿論毎週金曜日にはカレーが出てくるので安心して下さい。後、衛生関係ですが内科・外科衛生士 歯科衛生士、看護師、准看護師も充実しています。以上です」
「第五分隊長の羽柴信長です、飛行科担当です。各種ドローンの積み込み完了しています。性能チェックも終えており結果は非常に満足な仕上げです。哨戒ヘリコプターの整備も完了しており各種整備員も配置完了です」
各分隊長の報告に満足した富嶽は頷くと簡単な訓令を言い解散を命じる。
富嶽の言葉に各分隊長は席を立ち上がって会議室を出て行く。
それを見送った富嶽はそのまま椅子に座ると東郷にも勧める。
東郷が椅子に座ったのを見計らって富嶽はこの船の乗員について喋り始める。
「この船の半分は自衛隊出身だが残りの半分は民間出身で前職も多々ある多職籍の集まりだね……それに人材の選出も朝霧会長が直々に選んだわけだが何故かこの俺が艦長の任を任せられたけど俺は元々、警備会社のしがない何処にでも居る一警備員だったんだけどあの方と出会って何故か気に入られていつのまにか退職手続きが成されていたんだ。狐に化かされた気分だった」
富嶽の言葉に東郷は苦笑いしていたが当の自分はある組織から密命を帯びて乗り込んでいるのだが富嶽にも言わないでおこうと思ったが初対面から僅か二日で正体が見破られてしまったのである。
「各分隊長は自衛隊出身ではありませんがその道のプロですので艦長は大まかな命令にとどめて現場の事は彼達に任せて権限を強化しないといけませんね?」
東郷の問いに富嶽は、既にその件は各分隊長に伝えているので何の心配もないし彼達もとても張り切っていたから全然心配していないということを喋る。
「さて……と、世界情勢を改めて確認する必要があるから私は部屋に戻るけど東郷はどうする?」
「私も長老に色々と報告しないとうけませんのでこれで失礼します、明日の出航……うまくいきますよね?」
富嶽はにっこりと微笑むと軽く頷く。
全く安心する笑顔だなと東郷は思うと富嶽に敬礼して会議室を出て行く。
一人になった富嶽は天井を見つめながらこれから起る一寸先の闇に立ち向かっていこうと決意したのである。
マイクを切った富嶽は東郷に各分隊長を三十分以内に大会議室に集めるように指示を出す。
東郷は敬礼をして富嶽の命令を復唱する。
富嶽はそのままCICルーム内にあるメインPCの所に行きPCを起動させる。
起動したPCの画面にMENUが表示されると富嶽はマウスでクリックする。
そのメニューの一覧表から“巡洋駆逐艦 雪風”の項目をクリックすると画面いっぱいに沢山の情報がモニターに表示される。
富嶽は改めてモニターを見つめながらこの艦の性能に息を呑むのである。
基準排水量:12,000トン
全長 :200メートル
最大幅 :20メートル
喫水 :6.6メートル
機関 :熱核融合式核融合炉タービン四基四軸
速力 :45ノット
最大速力 :65ノット
航続距離 :最大速力及び無補給で三〇年
主要兵装 :二〇センチ二連装砲塔二基四門(電磁加速砲”レールガン”)
:令和三式六一センチ水素魚雷発射管四門二基
防御装置 :光学迷彩シールド・完全ステルスシールド
乗員 :345名(男性331名・女性14名)
「核融合炉に電磁加速砲、それと水素魚雷……にレーダーにも一切表示されない完全ステルスに直視では一切見えない光学シールド……正にチートだな。我が日本という国は何という凄い物を生み出したんだ」
富嶽は画面に表示されている雪風の詳細を読みながら感嘆の声をあげる。
「本当に凄いですね……我が国の底地からは。しかし、こんな凄い物を作り上げた朝霧会長はただの人ではないんでしょうね? 初めてお会いしたとき、背筋がゾクっとしましたからね?」
いつの間にか東郷が後にいてモニターを眺めていた。
「そうだな、何でもこの船はM資金で造られたと言うがそれでも全体の数%だと言っていたが……謎だらけだ」
富嶽が画面を見ながら東郷の言葉の後を繋げる。
「艦長、各分隊長が会議室に集合しましたので御報告致します」
通信士の言葉に富嶽は頷くとPCモニターから眼を離してPCを閉じる。
そして、CICルームにいる乗員達に、引き続き最終チェックを怠らないように命令して出ていく。
◇
艦橋下の大会議室に五人の仕官が集合していて各自、椅子に座っている。
富嶽が会議室に入室すると椅子に座っていた全員が起立・直立不動の状態で富嶽を迎える。
「皆、最終準備中に申し訳ないが各分隊の現状と乗員の士気等を知りたいのでこうして集まって貰った」
富嶽の言葉に五人の分隊長は大きな声で返事する。
「では、各分隊長から現在の状況を明瞭簡潔に教えてくれ! 先ずは第一分隊長からだ」
富嶽の言葉に先ず右端に座っていた人物が立つと報告する。
「第一分隊長の榊原祐二です、現在、電磁加速砲”レールガン”の最終チェックですが全てオールクリアです。水素魚雷を八〇発積み込み終了しています。射撃管制レーダー、ソナー、探照灯、錨、短艇、クレーンの操作も問題なく動いています、いつでも戦闘態勢に移行できます」
「第二分隊長の杉本保昭です、船務科・航海科を担当しています。CIC(戦闘情報中枢)の運用及びレーダーや無線通信等の電子機器の操作、整備作業は終了しています。航空管制員・艦内の電気象士 気象員の配置も既に終えています。光学シールドにステルスシールドも完全に作動します」
「第三分隊長の橋山秀志です、機関科を担当しています。核融合炉は順調に稼働しています。そのエネルギーで
発電機、油圧、空調の管理及び火災や浸水に対してのダメージコントロールの防御も担います。後、応急長 応急士 電気員、応急工作員、潜水士、艦上救難員の配置も完了しています」
「第四分隊長の内田一美です、補給衛生科担当です。先ずは食料と水ですが水は海水濾過装置のお陰で無尽蔵に美味い水を飲み放題です。食料も真空圧縮パックのお陰で一日三食デザート付きで五年分を積み込み完了です。勿論毎週金曜日にはカレーが出てくるので安心して下さい。後、衛生関係ですが内科・外科衛生士 歯科衛生士、看護師、准看護師も充実しています。以上です」
「第五分隊長の羽柴信長です、飛行科担当です。各種ドローンの積み込み完了しています。性能チェックも終えており結果は非常に満足な仕上げです。哨戒ヘリコプターの整備も完了しており各種整備員も配置完了です」
各分隊長の報告に満足した富嶽は頷くと簡単な訓令を言い解散を命じる。
富嶽の言葉に各分隊長は席を立ち上がって会議室を出て行く。
それを見送った富嶽はそのまま椅子に座ると東郷にも勧める。
東郷が椅子に座ったのを見計らって富嶽はこの船の乗員について喋り始める。
「この船の半分は自衛隊出身だが残りの半分は民間出身で前職も多々ある多職籍の集まりだね……それに人材の選出も朝霧会長が直々に選んだわけだが何故かこの俺が艦長の任を任せられたけど俺は元々、警備会社のしがない何処にでも居る一警備員だったんだけどあの方と出会って何故か気に入られていつのまにか退職手続きが成されていたんだ。狐に化かされた気分だった」
富嶽の言葉に東郷は苦笑いしていたが当の自分はある組織から密命を帯びて乗り込んでいるのだが富嶽にも言わないでおこうと思ったが初対面から僅か二日で正体が見破られてしまったのである。
「各分隊長は自衛隊出身ではありませんがその道のプロですので艦長は大まかな命令にとどめて現場の事は彼達に任せて権限を強化しないといけませんね?」
東郷の問いに富嶽は、既にその件は各分隊長に伝えているので何の心配もないし彼達もとても張り切っていたから全然心配していないということを喋る。
「さて……と、世界情勢を改めて確認する必要があるから私は部屋に戻るけど東郷はどうする?」
「私も長老に色々と報告しないとうけませんのでこれで失礼します、明日の出航……うまくいきますよね?」
富嶽はにっこりと微笑むと軽く頷く。
全く安心する笑顔だなと東郷は思うと富嶽に敬礼して会議室を出て行く。
一人になった富嶽は天井を見つめながらこれから起る一寸先の闇に立ち向かっていこうと決意したのである。
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