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番外編:魔王のまにまに
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◆本編後の二人が戯れているだけのお話
◆1話完結
******************
できるだけ大きく息を吸い込んだ後、僕は久しぶりに腹の底から声を出した。
「もおぉ――――!!魔王の馬鹿ぁあぁぁあぁぁッッ!!!」
その勢い任せに、両手で握りしめていた殴打武器を力の限り、振り下ろす。
直後、手応えのわりには異様なほど激烈な破壊音が耳を劈いた。
自分が武器を振るった瞬間から反射的に目を閉じてしまっていたことに気が付いたのは、ビリビリと痛みを訴える鼓膜に驚いてからだった。
それもそのはず、僕には元々武芸の才能なんてないんだ。
敵から目を逸らすなとか、息の根を止めたか確認しきる前に油断するなとか、頭では理解できていたとしても、体が追いつくはずないじゃないか。
だから、僕は恐る恐る目を開けるしかなくて――……薄目でちらりと確認した景色に、息を止めた。
ついで数歩ほど素早く後ずさりしてから、ようやくしっかりと目を見開いてみたのだけれど、やっぱりこの口からは情けない声しか出てこなかった。
「ひっ!……う、うわぁ……やだぁ……うぇぇ」
そこに広がっていたのは、数々の戦場を引きずり回されてきた僕でも涙目になってドン引きせざるを得ない、凄惨な景色だ。
僕がいる場所は深い深い森の中に点在する、開けた野原の一つ。
太陽の明るい陽射しが降り注ぐ緑の絨毯には、鮮血の血だまりが刻一刻と広がり、僕の足元へ迫る。
注視したくもないというのに周囲の草むらに転がる大小の肉片と、血でできた池の中央に存在するグチャッと潰れた何かが否応なく視界に入る。
濃い血の匂いが鼻をつくなか、僕はもう一度、再会を待ち焦がれている相手のことを心の限りに罵倒した。
「ほんっと……何してくれてんのさッあの魔王ッ!!なんで!?なんで僕の一撃でドラゴンが潰れちゃうわけ!?いつ!?ほんといつから!?んもおぉぉおおお!!!人の体を勝手にいじるなあの変態――!!!」
そのまま「ひぇ、ひえぇ」と小声で叫びながら生理的に無理のある元ドラゴン、現撲殺死体から更に距離をとった。
なぜ僕がこんなこと――そう、たった一人でドラゴンに殴打武器一本で挑むことになったのかというと、少し前の戦争が原因だ。
このザルツヴェストの領土を守るために、今は僕だけのお一人様国家が真正面から人間の軍隊と初めてぶつかり合ったのだ。
正直、死んだと思った瞬間もあったけど……まぁ僕を傷つけられる存在はいないという、誰かさんの言葉が証明されたことはよかったと思う。
ただね、僕自身の腕力、正確に言えば攻撃の意思を持った際の肉体強度の変化は、どう見てもやり過ぎじゃないかな。
「さすがに素手じゃないけど……戦場で拾って来たただの人間用のメイスで……ドラゴンが潰れちゃうなんて……僕をこんな怪力魔族にしなくてもよくない?」
人生で二度目の単独ドラゴン討伐という実験を無事終えたこともあり、肩から力が抜けきった僕はため息をつきながら、そう独り言ちた。
魔王と魔族たちが消えてから、もう十年……いや、まだ十年、かな。
何にせよ、十年目にして初めて知った自分の怪力さを受け止めるには、もう少しばかり時間が必要かもしれない。
「……どうりでベルちゃんを叩き起こす時に凄い音がするわけだよね。でもこれ、どうやって気を付けたらいいの?……もし、うっかりラグナまでぶちのめしたら……困るよ」
ドラゴンの返り血すらも吹き飛ばすほどの威力だったせいか、血痕一つない綺麗なままの手を握ったり開いたりしながら、僕はそう心配事を口にしていたのだけれど――。
『あぁ~~~~~……愛いッ!!』
頭の中に突如響いた懐かしい声音に、え?と顔を上げた瞬間、視界が真っ白に染まった。
そして次に僕がパチパチと目を瞬いた世界では、他でもない僕の魔王がその精悍さと美麗さが同居する顔をデレッと歪めて寝転がっているではないか。
それも、僕と同じベッドへ横になって、僕のすぐ傍で。
「……ん?え?…………あ、夢か……」
仄かに薄暗い周囲は、まだ天蓋カーテンが降ろされているせいだろう。
僕の体内時計によれば普段の起床時間よりも遅い時刻だとは思うけれど、寝過ごした焦りよりも夢見の悪さに少しだけ心臓の音が早くなる。
僕が守り続けた魔族の国・ザルツヴェストへ、真なる魔王とその眷族たちを再び迎えることができて、今日で一か月程だろうか。
一応はゆっくりと過ごさせてもらっているとはいえ、賑やかで幸せな毎日は、相変わらず時折現実感がない。
だから、ずっと独りで過ごしていた頃の夢を見るのかもしれない。
こうして僕の魔王が――伴侶であると誓約してくれた存在が傍にいてくれるのに、夢の中では当然のように僕は独りで、それが当たり前なんだもの。
片肘をついて横になっているラグナが、締まりのない笑みで僕を見下ろしている現実の方こそが夢だと言われても、多分僕は納得できてしまう。
そしてこの夢から覚めた後はきっと、「いい夢を見られたなぁ……ラグナに話すネタ追加っと」とでも笑いながら呟いて、胸を占めようとする切なさみたいなものを上手く誤魔化すんだ。
寝起きでぼんやりとした頭のまま、そう感傷的な気分に浸っていたのだけれど……僕の大好きな伴侶に、そんな空気が通じるはずもなかった。
「くっふっふっふ……いったいどんな夢見かと覗いてみれば、夢の中でも余のことばかりではないか~!」
「……人の夢まで勝手に覗いてくるとか、さすが魔王だよね。でも僕のプライバシーも尊重して?」
「其方は本当に愛い。余も、いついかなる時であろうともユーリオを『愛している』と『約定』す」
「っ何をそんな気軽に約定してるのさ!?ラグナも寝ぼけてる!?」
「おぉ、これでも魂が少し癒えるとは愛い愛い!だが……ごく僅かとはいえ、眠っている間に進んだ傷みは気掛かりであるな……」
「――っ」
常にマイペースなラグナの言葉に、朝っぱらからブンブンと振り回されている自覚はある。
でも、ツッコミ所満載の会話の途中に突然ふと真剣な表情をされて、その淡く灯る瑠璃色の双眸でひたと真摯に見つめられてしまうと、余計な口なんてきけなくなってしまう。
そこに、言葉以上に僕を想ってくれる伴侶の真意が惜しげもなく露わにされている……ような気がするからかもしれない、多分きっと。
そうこうしている間に、あ、と思った時には、僕の体は横向きに寝転がっているラグナの腕の中へ簡単に囲われていた。
「ユーリオ、愛している」
低く柔らかく穏やかに響く声音が、そんな言葉を紡ぎ――。
額の上へ、僕の髪越しに触れる唇の感触と共に、寝間着の裾からそっと入り込んだ大きな手に、背中を触れられて――。
「ぁ…ふぁ…っん」
途端に体をぽわっと包み込んでくれる穏やかな熱と、昨夜もしつこい程に与えられた快楽の余韻に、思わず鼻から甘ったるい息が抜けていく。
それが恥ずかしくないかと言えば、僕だって当然気恥ずかしい。
でも、
「ん、ラグナ……もっと……」
黒色をした薄い寝間着一枚で包まれた逞しい大きな体に抱き締められて、その温もりを実感できる『今』に、少しは素直に甘えてみたくもなる。
「愛いな?愛い愛い愛い愛いのだが愛いが過ぎないか?愛おしいと愛いの極致をユーリオと呼ぶべしと世界に定めねばならんな?うむ急ぐか」
「そこの魔王ちょっと静かにして。いい加減空気も読んで」
ふわふわとした心地良さを堪能しながら、小声で何かまくし立てている伴侶へ苦言を呈したところで、自然と目蓋も重くなってくる。
今日は僕が主体とならなければいけない予定は何もなかったはず、と頭の隅で確認を終えた僕は、そのまま自堕落な二度寝へと突入していった。
だから意識が途絶える寸前、とてもとても愉しげに囁かれた低い声音を理解するには、時間が足りなかったんだ。
「……えーっと、これから相手をするのは人間の五か国連合だから、準備に死力を尽くさなくちゃ――」
「うむ!ユーリオたん、いやユーリオの頑張りは余がしかと見届けよう!!」
「は!?え!?な、なんでラグナがここ、に……ってこれ夢!?僕の夢だよね!?また性懲りもなく昔の夢を見てる!?」
「言ったであろう?次からは夢の中であろうと其方を独りにはさせぬ、と。余はここで愛しいユーリオの愛い英姿を堪能させてもらおう。うむうむ、其方が語る話に耳を傾けるのもよいが、こうして追憶を共にするのもまた一興よ」
「え?……え?………嘘ぉお――!?」
「おっと、観客は多い方がユーリオも楽しかろう。次はウーギとサリオン辺りも呼び寄せてやるか……ふむ、これは極上の褒賞だな!」
この日から夢の中にまで出張してくるようになった魔王たちのせいで、僕の記憶は相当改竄されてしまったかもしれない。
望みを叶える未来だけを頼りに、ただ孤独を友として挑んだ千年近い年月が、ラグナと多くの仲間たちに見守られ熱い声援を受けながら過ごした時間で上書きされたようなものだもの。
勝手に過去すら塗り替えてしまう僕の魔王は、本当にもう強引で傲慢だよね。
でもこれが、あっけなく僕の全てを救って大切にしてくれる存在の愛し方だというのなら、一滴残らず享受してやる。
魔王たるラグナレノスに『伴侶』として愛されるのは、ユーリオという元人間の魔導士である僕、唯一人だけなのだから。
夢のようなこの幸福を手放す気は、僕にだってさらさらないもの。
◆1話完結
******************
できるだけ大きく息を吸い込んだ後、僕は久しぶりに腹の底から声を出した。
「もおぉ――――!!魔王の馬鹿ぁあぁぁあぁぁッッ!!!」
その勢い任せに、両手で握りしめていた殴打武器を力の限り、振り下ろす。
直後、手応えのわりには異様なほど激烈な破壊音が耳を劈いた。
自分が武器を振るった瞬間から反射的に目を閉じてしまっていたことに気が付いたのは、ビリビリと痛みを訴える鼓膜に驚いてからだった。
それもそのはず、僕には元々武芸の才能なんてないんだ。
敵から目を逸らすなとか、息の根を止めたか確認しきる前に油断するなとか、頭では理解できていたとしても、体が追いつくはずないじゃないか。
だから、僕は恐る恐る目を開けるしかなくて――……薄目でちらりと確認した景色に、息を止めた。
ついで数歩ほど素早く後ずさりしてから、ようやくしっかりと目を見開いてみたのだけれど、やっぱりこの口からは情けない声しか出てこなかった。
「ひっ!……う、うわぁ……やだぁ……うぇぇ」
そこに広がっていたのは、数々の戦場を引きずり回されてきた僕でも涙目になってドン引きせざるを得ない、凄惨な景色だ。
僕がいる場所は深い深い森の中に点在する、開けた野原の一つ。
太陽の明るい陽射しが降り注ぐ緑の絨毯には、鮮血の血だまりが刻一刻と広がり、僕の足元へ迫る。
注視したくもないというのに周囲の草むらに転がる大小の肉片と、血でできた池の中央に存在するグチャッと潰れた何かが否応なく視界に入る。
濃い血の匂いが鼻をつくなか、僕はもう一度、再会を待ち焦がれている相手のことを心の限りに罵倒した。
「ほんっと……何してくれてんのさッあの魔王ッ!!なんで!?なんで僕の一撃でドラゴンが潰れちゃうわけ!?いつ!?ほんといつから!?んもおぉぉおおお!!!人の体を勝手にいじるなあの変態――!!!」
そのまま「ひぇ、ひえぇ」と小声で叫びながら生理的に無理のある元ドラゴン、現撲殺死体から更に距離をとった。
なぜ僕がこんなこと――そう、たった一人でドラゴンに殴打武器一本で挑むことになったのかというと、少し前の戦争が原因だ。
このザルツヴェストの領土を守るために、今は僕だけのお一人様国家が真正面から人間の軍隊と初めてぶつかり合ったのだ。
正直、死んだと思った瞬間もあったけど……まぁ僕を傷つけられる存在はいないという、誰かさんの言葉が証明されたことはよかったと思う。
ただね、僕自身の腕力、正確に言えば攻撃の意思を持った際の肉体強度の変化は、どう見てもやり過ぎじゃないかな。
「さすがに素手じゃないけど……戦場で拾って来たただの人間用のメイスで……ドラゴンが潰れちゃうなんて……僕をこんな怪力魔族にしなくてもよくない?」
人生で二度目の単独ドラゴン討伐という実験を無事終えたこともあり、肩から力が抜けきった僕はため息をつきながら、そう独り言ちた。
魔王と魔族たちが消えてから、もう十年……いや、まだ十年、かな。
何にせよ、十年目にして初めて知った自分の怪力さを受け止めるには、もう少しばかり時間が必要かもしれない。
「……どうりでベルちゃんを叩き起こす時に凄い音がするわけだよね。でもこれ、どうやって気を付けたらいいの?……もし、うっかりラグナまでぶちのめしたら……困るよ」
ドラゴンの返り血すらも吹き飛ばすほどの威力だったせいか、血痕一つない綺麗なままの手を握ったり開いたりしながら、僕はそう心配事を口にしていたのだけれど――。
『あぁ~~~~~……愛いッ!!』
頭の中に突如響いた懐かしい声音に、え?と顔を上げた瞬間、視界が真っ白に染まった。
そして次に僕がパチパチと目を瞬いた世界では、他でもない僕の魔王がその精悍さと美麗さが同居する顔をデレッと歪めて寝転がっているではないか。
それも、僕と同じベッドへ横になって、僕のすぐ傍で。
「……ん?え?…………あ、夢か……」
仄かに薄暗い周囲は、まだ天蓋カーテンが降ろされているせいだろう。
僕の体内時計によれば普段の起床時間よりも遅い時刻だとは思うけれど、寝過ごした焦りよりも夢見の悪さに少しだけ心臓の音が早くなる。
僕が守り続けた魔族の国・ザルツヴェストへ、真なる魔王とその眷族たちを再び迎えることができて、今日で一か月程だろうか。
一応はゆっくりと過ごさせてもらっているとはいえ、賑やかで幸せな毎日は、相変わらず時折現実感がない。
だから、ずっと独りで過ごしていた頃の夢を見るのかもしれない。
こうして僕の魔王が――伴侶であると誓約してくれた存在が傍にいてくれるのに、夢の中では当然のように僕は独りで、それが当たり前なんだもの。
片肘をついて横になっているラグナが、締まりのない笑みで僕を見下ろしている現実の方こそが夢だと言われても、多分僕は納得できてしまう。
そしてこの夢から覚めた後はきっと、「いい夢を見られたなぁ……ラグナに話すネタ追加っと」とでも笑いながら呟いて、胸を占めようとする切なさみたいなものを上手く誤魔化すんだ。
寝起きでぼんやりとした頭のまま、そう感傷的な気分に浸っていたのだけれど……僕の大好きな伴侶に、そんな空気が通じるはずもなかった。
「くっふっふっふ……いったいどんな夢見かと覗いてみれば、夢の中でも余のことばかりではないか~!」
「……人の夢まで勝手に覗いてくるとか、さすが魔王だよね。でも僕のプライバシーも尊重して?」
「其方は本当に愛い。余も、いついかなる時であろうともユーリオを『愛している』と『約定』す」
「っ何をそんな気軽に約定してるのさ!?ラグナも寝ぼけてる!?」
「おぉ、これでも魂が少し癒えるとは愛い愛い!だが……ごく僅かとはいえ、眠っている間に進んだ傷みは気掛かりであるな……」
「――っ」
常にマイペースなラグナの言葉に、朝っぱらからブンブンと振り回されている自覚はある。
でも、ツッコミ所満載の会話の途中に突然ふと真剣な表情をされて、その淡く灯る瑠璃色の双眸でひたと真摯に見つめられてしまうと、余計な口なんてきけなくなってしまう。
そこに、言葉以上に僕を想ってくれる伴侶の真意が惜しげもなく露わにされている……ような気がするからかもしれない、多分きっと。
そうこうしている間に、あ、と思った時には、僕の体は横向きに寝転がっているラグナの腕の中へ簡単に囲われていた。
「ユーリオ、愛している」
低く柔らかく穏やかに響く声音が、そんな言葉を紡ぎ――。
額の上へ、僕の髪越しに触れる唇の感触と共に、寝間着の裾からそっと入り込んだ大きな手に、背中を触れられて――。
「ぁ…ふぁ…っん」
途端に体をぽわっと包み込んでくれる穏やかな熱と、昨夜もしつこい程に与えられた快楽の余韻に、思わず鼻から甘ったるい息が抜けていく。
それが恥ずかしくないかと言えば、僕だって当然気恥ずかしい。
でも、
「ん、ラグナ……もっと……」
黒色をした薄い寝間着一枚で包まれた逞しい大きな体に抱き締められて、その温もりを実感できる『今』に、少しは素直に甘えてみたくもなる。
「愛いな?愛い愛い愛い愛いのだが愛いが過ぎないか?愛おしいと愛いの極致をユーリオと呼ぶべしと世界に定めねばならんな?うむ急ぐか」
「そこの魔王ちょっと静かにして。いい加減空気も読んで」
ふわふわとした心地良さを堪能しながら、小声で何かまくし立てている伴侶へ苦言を呈したところで、自然と目蓋も重くなってくる。
今日は僕が主体とならなければいけない予定は何もなかったはず、と頭の隅で確認を終えた僕は、そのまま自堕落な二度寝へと突入していった。
だから意識が途絶える寸前、とてもとても愉しげに囁かれた低い声音を理解するには、時間が足りなかったんだ。
「……えーっと、これから相手をするのは人間の五か国連合だから、準備に死力を尽くさなくちゃ――」
「うむ!ユーリオたん、いやユーリオの頑張りは余がしかと見届けよう!!」
「は!?え!?な、なんでラグナがここ、に……ってこれ夢!?僕の夢だよね!?また性懲りもなく昔の夢を見てる!?」
「言ったであろう?次からは夢の中であろうと其方を独りにはさせぬ、と。余はここで愛しいユーリオの愛い英姿を堪能させてもらおう。うむうむ、其方が語る話に耳を傾けるのもよいが、こうして追憶を共にするのもまた一興よ」
「え?……え?………嘘ぉお――!?」
「おっと、観客は多い方がユーリオも楽しかろう。次はウーギとサリオン辺りも呼び寄せてやるか……ふむ、これは極上の褒賞だな!」
この日から夢の中にまで出張してくるようになった魔王たちのせいで、僕の記憶は相当改竄されてしまったかもしれない。
望みを叶える未来だけを頼りに、ただ孤独を友として挑んだ千年近い年月が、ラグナと多くの仲間たちに見守られ熱い声援を受けながら過ごした時間で上書きされたようなものだもの。
勝手に過去すら塗り替えてしまう僕の魔王は、本当にもう強引で傲慢だよね。
でもこれが、あっけなく僕の全てを救って大切にしてくれる存在の愛し方だというのなら、一滴残らず享受してやる。
魔王たるラグナレノスに『伴侶』として愛されるのは、ユーリオという元人間の魔導士である僕、唯一人だけなのだから。
夢のようなこの幸福を手放す気は、僕にだってさらさらないもの。
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