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28.魔なる物
しおりを挟む俺にとってこの世界というものは、ほぼ全て伝聞によって把握していただけだった。「ふーん、そうなんだ」と、どこか他人事に捉えていたのかもしれない。今までずっと、あの場所で、ただ大切に守られていただけだったから。
実際に目にするまで、亜人と呼ばれる獣人族の中に狼そっくりの顔をしている人間がいるなんて、思いもよらなかった。獣の特性を身体的特徴に持つ、と確かに教えてもらっていたのに。
魔力回路の損傷という状態だって、本当に危険な事だとあれだけロイやサリアスに言われていたけど、実感がなかった。
でもこの駐屯地で過ごすうち、俺が以前負った怪我がそれだとバレた瞬間、ウーウルさんに医療室のベッドに押し込められ、医療班トップだという人と知らせを聞いて駆け付けたマーリちゃんに、こんこんと諭される事になってしまった。
魔力回路に痛みが発生するという事は、体が体内魔力にも耐えられないほど限界を超えて傷んでいるというサインであり、そのままいつ死んでもおかしくないそうだ。普通、なら。
ロイの言葉を思い出すに、きっと俺は回復が早いおかげでそこまで重篤な状態ではないのだろう。ただ、そんなことを言えるはずもないので、彼らの言葉に大人しく頷いていたら
「シン君、お願いだから自分を大事にしてちょうだいな。」
そう言って、金色狼さんのこれまた金色の瞳からぼろりと涙が溢れて、ようやくこの優しい人たちをそこまで心配させたのだと気づいた。
そしてそれはきっと、誰よりも俺を見続けてくれたあの紫水晶も、同じだったのだと。
まぁその直後マーリちゃんに「項に咬み痕があるのも知らなかったなんて、本当に番に大切にしてもらってるの?無理矢理咬まれたとか、知らないうちに既成事実つくられたとかじゃないの?」等々言い募られ、顔が真っ赤になるのが自分でわかりながらも、合意の上です!好きな人なんです!と主張することになったが。
俺が暴走してロイを襲った日以降、確かにそこに噛みつかれる事が度々あったのは記憶している。大抵そうされる頃には俺の意識は半分以上とんでいるし、最初の時と違い手加減してくれているのかあまり痛みも感じなかったから、ロイがその行為を気に入ったのなら好きにしてもらっていいや、と特に何も言わなかったんだ。
それに、俺の体は回復力が異様に高いらしいから、どうせすぐ消えると思っていたし、ここで指摘されるまでもう当然、消えたものとばかり思い込んでいた。
それが獣人社会の間では実質既婚者です、と結婚指輪並の主張になるとは知らなかったんだけど。いや正確に言えば、敢えて教えられていなかったんだけど。
その意味をウーウルさんに教えられた時は慌てたけど、落ち着いてみれば、言葉以上に俺への執着を語る証が遺されていたことが、とても嬉しかった。
どんどん薄くなる傷跡を日に何度も指先で確かめて、嬉しいとしかろくに言葉にできない、でもそれ以上に胸に灯るこの気持ちを、どう言えばロイに伝えられるのか。
安静を言いつけられて内職もできなくなった俺は、ベッドに寝転がりながらそんな事ばかり考えていた。頭、お花畑だったんだ。
初めて、家族以外で俺に愛していると言ってくれた人を、俺も大好きだと想える。そんな幸運に結局は酔いしれていた。
だから、簡単に忘れていられたんだ。
この世界は、ウルスタリアは、人と魔物が生存競争を繰り広げている。そう確かに、俺は教えてもらっていたのに。
『第二防衛ライン突破ァアッ!!もうもたねぇぞッ!!』
「街からの回答は?」
『先頭の突破力高ぇのを足止めしろ!!地撃魔法撃てッ!!』
「そう、ならやはり増援は無理ね。そのまま街の防備を固めるよう、応えておいて。」
『もうやって・・ぐぁあッ!』
「隊長!このままじゃ三班が孤立するッス!!」
『三班下がらせろ!七班!右翼回り込んで横っ腹突っ切れ!!後続だけでも先頭集団と分断させろ!!』
「ウルの言う通りでいいわ。第一から第五部隊まで正門に集中、結界に突貫してきたところを迎え撃って。」
指令室と呼ばれている広く無機質な部屋に怒声にも似た喧騒が響く中、奥の最も大きな壁面に幾つもの映像を映し出す魔法陣が躍っている。
床に置かれたクッションの上に座っている俺の位置からは、多くの人の影になって滅多にその映像は見えないが、ちらりと漏れ見える範囲でも呆然としてしまう。
魔法による光が瞬き、土煙が上がり、簡単に人が吹き飛び、赤く染まり、動かなくなる。
なにこれ?映画?
そんな現実逃避したって、夢が覚めるわけじゃない。でも、そう思わずにはいられない。
この駐屯地で十日目の朝を迎える、その直前に建物中に鳴り響いた警報ベルのような音に叩き起こされた俺は、なんだなんだと身を起こしたところで部屋に飛び込んできたウーウルさんに荷物よろしく肩に担がれ、この部屋に連れてこられた。
顔だけは見知っている名前も知らない獣人の軍人さんたちが、どこからかクッションとシーツを持ってきてくれ、いつの間にか部屋の隅に俺の居場所が作られる。それと時を同じくして、部屋に姿を見せたマーリちゃんと入れ替わるように、そのままウーウルさんはどこかに消えてしまった。
そしてすぐに室内には緊迫した空気が張り詰め、多くの軍人さんが慌ただしく部屋の中と外を行き交う中、魔法通信で映し出される映像と音声に、なんとなく事態を察した。
「編成はクレイオンに任せるわ。足は用意できた?」
「大丈夫っス!補給隊で足の速いヤツを上から3頭回したっス!」
「裏門周辺クリア。いつでもいけますよ、たいちょ!」
「了解。さてシン君、待たせたわね。行くわよ。」
映像を映し出す壁面の前に広がる、造り付けの長細い楕円形の机。その中央に陣取り、矢継ぎ早に指示を与えていた金色の狼さんが俺の方を振り返り、突然そう口にした。いつもと何ら変わりない、可憐で、いっそ愉し気にも思える声音で。
「?行くって、どこに……なんか、大変な状況なんじゃ……」
「たいちょー、シンちゃん送って行ってやってください。その方が安心するだろうし、たいちょの傍が一番安全っしょ。」
「……そうね、もう出来ることは大体やったし……通信魔法のリンクだけは途絶しないように気を付けてて、すぐ戻るわ。
クレイオンに第一指揮権一時委譲、よろしくね?」
了解、と誰かが応える声が耳に届く中、俺の元まで足早にやってきたマーリちゃんに膝を掬うようにして抱き上げられた。ごく自然に、当たり前のような行動に、咄嗟にろくな言葉も出てこない。
「マーリちゃっ……!」
「移動しながら話すわね、今魔物の襲撃を受けているのだけど、これが結構な大群でね。」
金色のもふもふした胸毛の心地良さを、こんな時でなければきっと堪能していただろう。でも、見上げた先の瞳には、獰猛とも思える爛々とした光が灯っていた。
マーリちゃんの服装もいつもと違っている。黒い革製のようなロングコートにズボン、その手足の先を覆う手甲と脚甲が鈍く刃のように輝いている。
「っ、でもここ軍の駐屯地なんですよね?ここにいるのが安全、なんじゃ……」
ふ、と緩んだ獣の口元がどこか優しく感じたのは、なぜだろう。
「この駐屯地はね、歴史に残ってるだけで四度も壊滅してるの。魔物にやられてね。」
その言葉に、抱き上げられたまま固まった俺にマーリちゃんは足を止めることなく教えてくれた。
この駐屯地は、昔から街に向かう魔物を食い止めるために、わざと森の中に孤立して造られていること。
魔物が必ず人口密集地へと向かう本能を利用して、まずは駐屯地を魔物に襲わせ、そこで可能な限り討伐し、数を減らす。それで魔物を押し返せればよし、出来なくとも駐屯地を喰いつくした魔物が街へと進路を取る頃には、街は完全な防衛体制をとることができる。
だから過去四度、駐屯地は壊滅しても、一度も街に被害が出たことはない。全て、街の防衛線で魔物を殺し尽くす事が出来たから。
「といっても、定期的に魔物の討伐も繰り返してるからそんな事態、本当は早々ない事なんだけどね。ここ数年は、なぜか危うい状況が激増してるの。いたずらに心配させたくなかったから、黙っちゃってたわ。ごめんなさいね?」
まるで悪戯がバレたように、小さくウィンクして小首を傾げるマーリちゃんに、俺はただ黙って首を振ることしかできない。そんなの、マーリちゃんのただの優しさじゃないか。最初から俺に知らされたところで、ただ心配事が増えて、余計不安になるだけだったはずだ。
「ここは地形を利用しててね、魔物がまず襲うのは正門側になってるの。裏門まで囲まれるまで、まだまだ猶予がある。だから今のうちに、シン君を街まで逃がすから。足の速い騎獣と、腕の立つ部下をつけるから安心して。
ごめんなさいね、もっと早く事態を察知出来ていれれば、もっと安全に逃がしてあげられたのに。」
そう何度も謝るマーリちゃんに、上手く頭が回らない俺は何も言えなかった。
俺だけ、ここから逃がしてもらえる?魔物が襲ってきてて、大変な状況なのに?壊滅、ってそこにいた人たちはどうなったんだ?魔物は、なぜ人を襲う?襲って、どうする?
本で読んだから知ってるさ………………喰うんだよ。
知ってたのに、こんな、こんな出来事が実際にあるなんて、やっぱりどこかで信じていなかったんだ。この世界は、俺の生まれたあの世界とは、全然違うのに。
「っマーリちゃん、たちはっ……」
答えなんて解り切ってるのに、それでも聞かずにはいられなかった。
「アタシたちはね、ここを守ってここで戦うことが、誇りなのよ。だから、心配しないで?死ぬと決まってるわけじゃないしね。」
明日は雨かしら?と天気について話したのはいつだったか。その時と全く同じ声音で、同じ口調で語った狼さんに、俺はただきつく拳を握りこむことしか出来なかった。
そうして俺が走るよりも早く歩くマーリちゃんに抱えられ、ようやく建物の外へと通じる扉をくぐる。すれ違う軍人さんたちもまばらな中、石造りのプレハブ倉庫みたいな建物が幾つも立ち並ぶ、ちょっとした広場にダチョウのような生き物が三頭と、その脇に三人の獣人と思しき人たちがいた。
こんな状況でなければ、ダチョウっぽいけど爬虫類じみた生き物をじっくり観察しただろうけど、そんな時間も余裕も俺にはもうなかった。
「アヴァン、シール、ゾイ、この子のこと頼んだわよ?ウチにはもう知らせてあるから。」
「合点承知ですぜ、たいちょ!街に着いたらすぐ増援連れて戻ってきやすからね!」
「そーだぜ!オレらが戻るまで、気合入れて踏ん張っててくだせぇ!」
そんな会話が右から左に流れていく。
俺を連れて逃げてくれる屈強な、でも軽装姿の軍人さんたちが、次々にトカゲっぽいけどダチョウの謎な生き物の鞍に跨っていく。
その中の一人に近づいていくマーリちゃんを思わず止めてしまったのは、俺がただの甘ったれた子供だからだ。何もできないくせに、邪魔しかできないくせに、感情のままに口を開こうとする。
「マーリちゃん!俺っ……俺はっ……!」
「シン君、アタシの実家に着いたら、皇国から連絡が来るまで大人しくしといてね?いーい?絶対一人暮らししようとか考えちゃダメよ?それから――」
《魔導の頂点》なら、こんな状況簡単に覆せたのか?それとも、昔の俺はこんな状況でも、気にも留めずに言うのだろうか。
人も亜人もことごとく死ね、と。
力があるはずなのに、結局『今の俺』自身は、無力でしかないんだ。ロイに守られて、些細な言葉尻を気にして落ち込むだけの、自分の過去すらちゃんと受け入れられない、ただ流されてどこまでも逃げていくだけのあの頃と、同じ―――………
そんな俺の思考を止めたのはマーリちゃんの、そっと囁くように、俺にだけ聞こえるように零された、言葉だった。
「あなたの今までに感謝を、《魔導の頂点》」
見開いた俺の視界一杯に、穏やかに微笑む黄金の狼がいた。あぁ、朝陽が差して、こんなに綺麗な色に見えるのか。
そんな場違いな事をどこかで考えているうちに、先に騎乗している軍人さんへ俺の体が預けら――……
『隊長ッ!ウルがやられた!裏門に一頭ッ!!』
そう響いた切羽詰まった声の意味を、半分以上頭が理解しかけた次の瞬間、突然の轟音と衝撃の中で視界がぐるぐると回転していた。
それと同時に、あれだけ混乱していた頭が、奥の方から冷えていくのがわかった。
もうロイに、会えないかもしれない。自分でも驚くほど冷静に、そう静かに考えていた。
土煙が晴れた向こう、頑丈そうな倉庫をその足で空き缶のように圧し潰す、紅い鉱石のような躰をした蟷螂に似た生き物が、目の前にいたから。
大きさは、今まで見てきた中で何に一番近いだろうか。あぁ、あれだ。昔、動物園で柵越しに遠くから見た、象だ。
象並の大きさの蟷螂、ついでに鎌状になっている腕は四本。地についている足はぱっと見……六本か?
血とは似ても似つかないほど美しく、紅く煌めく躰が示すのは、その存在が人間の天敵であること。
即ち、魔物だ。
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