追放パンダの成り上がり〜勇者パーティーを追放されてパンダにされた弱小戦士が最強パンダを目指します〜

第三章 真の勇者、ここにあり！

バリウスとのラストバトル

　ファンクとバリウスの最後の戦いが幕を開け、二人の剣がぶつかり合う。まさに一進一退の攻防となっていて、アミ達はゴクリと息を呑んでしまう。

「激しい展開となっているわね……」
「ええ……ファンクさんを相手にバリウスが何処まで粘れるかですね……」

　二人の戦いにアリアと椿が息を呑む中、ボルスが彼女達に近付く。

「実はあいつ……ファンクに敗北を喫してから人が変わってしまったんだ……」
「人が変わった？何かあったの？」
「ああ……奴はファンクとシェリアを超える戦士を探していたが、どれも強くなく、ファンクやシェリアの代わりになる人材はいなかった。それ程二人を大切にしていなかった俺達が悪かったからな……」

　ボルスの俯きにアミは彼に視線を移す。

「今更後悔しても遅いけど、罪を償ってやり直した方が良いと思うわ。自身の為にもね」
「そうだな……」

　アミの指摘にボルスは承諾し、オットーも彼女達に近付く。

「俺もファンクの代わりに入ったが、酷い目に遭ってばっかりだ。俺はこんなパーティーを抜けて自身の新たな道を進むよ」
「オットーもその方が良いわ。さて、戦いの行方はどうなるかね」

　シェリアはすぐにバリウスとファンクの戦いに視線を移すと、バリウスは押されていて苦戦を強いられていた。
　逆にファンクは攻撃を次々と勇気の盾で弾き返し、勇者の剣で斬撃のダメージを与えた。

「何故だ……何故勇者の僕が……こんなパンダにやられるんだ……おかしいだろ……」

　ダメージを受けたバリウスは信じられない表情をしながら、ファンクを睨みつけ始める。

「先程言った通りお前は勇者ではないからだ。いい加減に現実をよく見ろ！」

　ファンクの叫びと同時にボルスとオットーも彼の方を向く。

「バリウス！もう止めろ！これ以上やっても無駄だ！お前は勇者ではない以上、ファンクには勝てっこない！」
「人間時には引き際も肝心だ。勇者はファンクに任せて、お前は罪を償うべきだ。そろそろ兵士達がここに来るから覚悟しとけよ」
「へ？いつの間に連絡したの!?」

　オットーの説明にフローラは驚きの表情をしながら彼の方を向く。

「俺はこう見えても兵士達とは知り合いだからな。それに、バリウスの件に関しても黙ってられないからな」
「お前、余計な事をするな！」

　オットーの余計なやり方にボルスがツッコミを入れてしまう。

「僕が……負ける……負けたくない……負けたくない……マケタクナイマケタクナイマケタクナイ！」

　バリウスは精神が崩壊してしまったと同時に、すぐに立ち上がる。更に身体から黒いオーラが出てしまった。

「あの黒いオーラは……ヤバい予感がするな……」

　ボルスは冷や汗を流しながらもこの状態を見つめ、アミ達も同様に冷や汗を流していた。