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第二章 グランからの修行

崩壊のゴブレット村

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 ファンク達は急いでグルグルの森を抜け出し、ゴブレット村に向かっていた。
「早く急がないとゴブレット村が大変な事になるわ!」
「まさか足止めされていたなんて想定外だったわね……」
 瞳は焦りを隠せず、アリアは悔しそうな表情をする。まさかの足止め作戦を喰らってしまうとは想定外だっただろう。
「急がないと間に合わないわ!」
「足が痛くても走らないとね」
「私達も頑張りますが、もっと早く行ける方法はないのでしょうか?」
 アミ、フローラも懸命に走り、椿が呟いたその時、エリンが手を叩いて召喚獣を呼び出そうとする。
「お願い!ペガサス!」
 エリンはペガサスを召喚し、八匹に増えたと同時に彼女達の前に降り立つ。
「さあ、早く乗って!」
 エリンの合図で皆はペガサスに乗り、そのまま空を飛んでゴブレット村へ向かった。
「それなら早く用意してよ!」
「そうだよ!間に合ったかも知れないじゃん!」
「すみません。ですが、グルグルの森は迷いやすいので、ペガサスに乗ると動きづらくなるのです」
「そうね。これで間に合うと良いんだけど……」
 シェリアとマリスがエリンに文句を言う中、瞳は不安な表情をしながらゴブレット村の事を心配していた。

     ※

 ゴブレット村に辿り着いたファンク達は辺りを見回すと、驚きの光景を目にする。
「こ、これは一体……」
「嘘でしょ……」
 なんと多くの村人達の遺体が転がっていて、地面は血で染まっていた。
「皆が殺されていたなんて……じゃあ、保育園の皆は……」
 瞳は急いで保育園の方に向かうと、驚きの光景を目にしてしまい、ヘナヘナと座り込んでしまう。
「そ、そんな……皆が……」
 なんと園児達も全員殺されていて、生首が転がっているだけでなく、バラバラの死体もあったのだ。
「酷過ぎる……」
「こんな展開になるなんて……」
「皆が亡くなるなんて……あり得ないよ……」
 瞳は涙を流してしまい、ファンクは信じられない表情をしてしまう。
「一体誰がこんな事を!」
 アミが叫んだその時、グリーザが彼等の前に姿を現す。
「遅かったみたいだな」
「お前は何者だ!」
「俺の名はグリーザ。アルドラ火山にいる魔族の者だ!」
 グリーザの自己紹介に、アミはすぐにある事を思い出す。
「じゃあ、火山の異変もあなた達の仕業なの!?」
「そうだ!我等魔界軍の発展の為にはどんな犠牲を払ってでも遂行する。因みにこの村は邪魔だったから皆殺しにさせてもらった!」
 グリーザの宣言に瞳はワナワナと震え、目から涙を流しながら怒りの表情をする。
「許さない……!村の皆を殺すなんて……!」
「抵抗するのなら容赦はしない!」
 グリーザは翼を広げたと同時に、そのままファンク達との戦いに挑み始める。
「奴は手強い!油断するな!」
「「「了解!」」」
 ファンクのアドバイスにアミ達は頷き、そのまま戦いが始まった。
「一気に攻めろ!油断するな!」
 ファンクの合図でアミ達が一斉攻撃をする中、グリーザは回避したと同時に彼女達に接近してきた。
「こいつを喰らえ!デスバラード!」
 強烈な闇の波動がアミ達に襲い掛かるが、彼女達は跳躍して回避し、攻撃を当ててくる。
「バレットショット!」
 アミの弾丸がグリーザに襲い掛かるが、彼は回避してしまったその時だった。

「そこ!」
「ぐっ!」

 なんと瞳が如意棒を伸ばし、グリーザの顔面に直撃。彼はそのままダウンを喫したが、すぐに起き上がった。
「なるほど。どうやら少しは楽しめるな。続きは火山で行おう」
 グリーザはそのまま空を飛びながら去ってしまい、残ったのはファンク達だけとなった。
「俺達が早く来ればこんな事にはならなかったな……」
 ファンクは殺された村人達を見ながらそう呟き、アミ達も同意する。
「うん……足止めされてなければこんな事にはならなかったのに……」
「そうね。今は彼等の為にお墓を建てましょう」
 瞳の提案に全員が頷き、ファンクたちは一丸となってお墓作りに取り掛かる。

     ※

 ファンク達は村の外れに広い土地を見つけ、そこに村人達の名前を刻んだ石碑を建て始める。
 そして、墓を建てた後に一つ一つのお墓に花を添え、心を込めて手を合わせて祈り始めた。
「皆、安らかに眠ってください。私達は必ず貴方達の敵を討ちます」
 瞳がそう誓った後、彼女達はお墓を後にした。

     ※

 広場に戻ったファンク達は、グリーザ率いる魔族を倒す為に火山に向かおうと作戦会議を始める。
「目標については決まったが、あの魔族はかなり手強かったな」
「ええ。少なくとも本気を出していないし、ここからが本格的になるわね」
「今の私達の実力で通じるかどうかだけど、勇者と同じ使命を果たさなくてはならないわね」
 シェリアの真剣な推測にファンクはバリウスの事を思い浮かべる。
「そう言えばあいつも勇者をしているが、今頃何をしているんだ?」
「さあね。恐らく魔王を倒す為に修練を重ねているんじゃない?」
「その可能性もあり得ると思うわね。私達も急がないと!」
 アミ達が駆け出そうとしたその時だった。

「お主等、焦りは禁物じゃぞ」
「「「!?」」」

 ふと老人の声が聞こえ、ファンク達は思わず足を止めてしまう。いきなり声がしたと思い、辺りを見回すと……誰もいなかった。
「誰?今の声……」
「さあ……」
 フローラ達が疑問に感じる中、一人の老人が姿を現す。魔法使いのローブを着ていて、手には杖を持っているのだ。
「あっ!お祖父ちゃん!?」
「久しぶりじゃのう、シェリア」
 シェリアはその正体がすぐに分かり、驚きを隠せずにいた。孫娘の様子に老人はニコニコと笑って返した。
「シェリア……お祖父ちゃんって……」
「ええ。この人は私のお祖父ちゃんのグラン!史上最強の現役魔道士よ!」
「「「ええーーーーっ!?」」」
 シェリアが自身の祖父であるグランを紹介し、ファンク達は一斉に驚くのも無理なかった。
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