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第八章 激闘!トーナメントバトル

第二百六十一話 シャイニングナイツVSワンダーヒーローズ(前編)

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 後楽園ホール内では第四試合を終え、いよいよ一回戦第二試合が始まろうとしていた。シャイニングナイツとワンダーヒーローズによるプロレスバトルはどうなるかだが、裸の王様が出るとなると予測不能の展開となるだろう。

「お待たせしました!これより一回戦第二試合を行います!シャイニングナイツとワンダーヒーローズの戦い、開幕です!」

 ラビリンのアナウンスと同時に歓声が響き渡り、オーケストラの入場曲が響き渡る。しかもその音楽はドヴォルザークのアメリカだ。
 すると青コーナーの入場口からシンデレラ、桃太郎、裸の王様の三人が姿を現す。ワンダーヒーローズはこの三人で挑むみたいだ。

「青コーナー!ワンダーヒーローズ、ライダープリンセス!シンデレラ!」
「ハーイ!」 

 シンデレラは袖無しのミニスカドレスがプロレスコスであり、笑顔を見せながら観客の期待に応えていた。

「鬼を倒す流浪人。桃太郎!」
「お供達との絆で敵を倒す!行くぞ!」

 桃太郎は刀を構えながらポーズを取り、真剣な表情で戦闘態勢に入っている。その様子だと戦う覚悟は既にできている様だ。

「キングレスラー!裸の王様!」
「私の筋肉は世界一!ふん!ふん!」

 裸の王様はマッスルポーズで肉体美を見せ、真剣な表情をしながら戦闘態勢に入る。自身が好きなプロレスだからこそ、負ける理由にはいかないのだろう。
 すると別の音楽が鳴り響き、こちらもオーケストラの曲が響き渡り始めた。赤コーナーの入場口からバルク、メイリン、ヒューゴの三人が入場し、観客席から黄色い声が響き渡る。ヒューゴは女性の間でとても人気なので、地球にもファンクラブができたのは言うまでもない。

「赤コーナー!シャイニングナイツ、シルバーフライヤー!バルク!」
「宜しくっす!」 

 バルクは拳を上げながら観客達の声援に応え、こちらも黄色い声が上がり始める。彼の服装は黒のショートスパッツというシンプルスタイルだ。

「カンフーガール。メイリン!」
「ニーハオ!」

 メイリンは中国語の挨拶で笑顔で応え、男性の観客席から歓声が響き渡る。彼女は中国の袖無し武術道着だが、ズボンはショートになっている。

「光の騎士。ヒューゴ!」
「必ず勝利を掴み取る!」

 青のショートスパッツ姿のヒューゴは拳を前に突き出しながら宣言し、ファンからの黄色い声が再び響き渡る。それにセコンドの紬は面白くないと、風船の様に頬を膨らましていた。

「すっかり嫉妬しているわね……」
「そりゃ、あんな光景を見たらそうだと思うぜ。にしても、ヒューゴに多くのファンがいるとは驚いたな……」

 クロエは紬の様子に苦笑いしていて、タカゾウも同意する。しかし、ヒューゴのファンの多さには認めるしかないが、紬からすれば複雑なのは当然と言えるだろう。

「ここで負けたらトーナメントは終わりを告げられる。だからこそ、負ける理由にはいかないからね」
「ええ。やるからには勝ちに行くっす!」
「私も戦う覚悟はできているわ。必ず目の前の敵を倒して先に進まないと!」

 赤コーナーサイドでは、ヒューゴの決意にバルクとメイリンも同意する。チームワークが抜群であるこのチームだからこそ、どんな困難でも乗り越える事ができたのだ。

「我々もここで負ける理由にはいかない。おとぎの世界の者達は、我々が勝つ事を信じておる」
「だからこそこの勝負は、それぞれの世界の期待を背負う戦いとなるからな」
「私達もここで負ける理由にはいかないからね。やるからには勝ちに行くから!」

 青コーナーサイドでも、王様達は一致団結してこの試合に勝つ決意を固めている。おとぎの世界の皆の期待を裏切らない為にも、この初戦を突破するのは必須となっているのだ。
 そのまま両コーナーから先発となる戦士が出始める。シャイニングナイツからはメイリン、ワンダーヒーローズからはシンデレラだ。

「まずは女性同士での戦い。今、ゴングが鳴らされました!」
「やるからには勝たせてもらうわ!」
「こっちだって負けられないから!」

 ラビリンの実況と同時にゴングが鳴り始め、メイリンとシンデレラはすぐにロックアップを始める。メイリンが素早くシンデレラをリングロープに押し出すが、すぐに間合いを取って鶴の舞のポーズに入った。

「ハイーッ!」
「出ました!鶴の舞!メイリンのトレードマークのポーズです!」

 メイリンのアピールに観客達から拍手が起こり、それを見たシンデレラはズカズカと彼女に近付く。先にアピールされた事がとても悔しく、そうなるのも無理ないのだ。

「目立ち過ぎよ!」
「ぐほっ!」

 シンデレラの強烈な回し蹴りが、メイリンの腹に直撃する。これはかなり痛いのは当然で、上半身が前に倒れてしまうのも無理ない。

「これで終わると思ったら大間違いよ!」

 更にシンデレラはメイリンの背後に回り、軽々と両手で彼女の身体を持ち上げた。まさかシンデレラが怪力だとは誰も気付かず、場内は騒然としてしまった。

「そのまま……叩きつけろ!」
「ぐほっ!」

 そのままメイリンをリングマットにうつ伏せに勢いよく叩きつけ、彼女の顔面に大ダメージを与える。背中ならまだしも、顔面だと激痛が走るのは耐え切れないだろう。

「痛い……」

 メイリンは顔を抑えながら涙目になるが、すぐに切り替えたと同時に立ち上がり始める。この様な仕打ちをされた以上、黙っている理由にはいかない。むしろその表情は怒りで満ち溢れているのだ。

「よくもやってくれたわね……倍にして返してあげるわ!」
「こっちも本気出して行くわよ!」

 メイリンとシンデレラは勢いよく飛び出し、拳と蹴りの激しい殴り合いを繰り広げ始めた。プロレスどころか総合格闘技の展開となっていて、観客達は次第に興奮し始める。

「これは凄い戦いとなった!チームの美女対決は殴り合いの展開に!これは激戦となるが、先にダウンを取るのはどちらなのか!?」

 ラビリンの実況に観客の興奮度は最大限となり、歓声が場内に響き渡る。観客はプロレスの試合でこんな熱い試合は見たことが無いのは勿論だが、むしろこの展開を続けて欲しいと願っているのだ。

「くっ!」
「攻撃が外れた!今がチャンス!」
 
 するとメイリンのパンチが空振りした途端、シンデレラは隙を逃さず彼女の手首を掴む。そのままニヤリと笑い、メイリンを背負投げで勢いよく投げ飛ばしたのだ。

「なんの!」
「ぐふっ!」

 しかしメイリンは両足で着地したと同時に、ミドルキックでシンデレラの腹を強く蹴る。同時にメイリンはシンデレラから間合いを取ったと同時に、自身のコーナーポストに戻り始める。

「ここは私も休まないとね……身体のあちこちが痛いし……」

 シンデレラも自身が受けたダメージを気にし始め、我慢しながらコーナーポストへと戻っていく。そのまま二人は仲間にタッチしたと同時に、リングの外に降りてゆっくり休み始めた。

「やっと出番か……さて、俺も本気を出して戦うッス!」
「こちらも負ける理由にはいかないのでね。行くぞ、シルバーウルフの戦士よ!」
 
 現在リング上にはバルクと桃太郎が対峙していて、今でも勢いよく飛び出そうとしている。戦いは更なる展開へと誘うが、果たしてどうなるのか……
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