ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百四十八話 お城の中の救出作戦

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 カボチャ男爵は真の姿であるゴーストパンプキンに姿を変えていた頃、零夜達はミミ達と共に王様の城へと潜入していた。カボチャ男爵が城を飛び出しているのを聞いた以上、洗脳されているシンデレラ達を助けようと考えていたのだ。

「城の中はジャックランタン達が多くいるからな。まずはそいつ等を殲滅しておく必要がある」
「そうね。ここはチームごとに分かれて行動する必要があるわ。四天王討伐と同じ班でやるわよ!」

 零夜とミミの説明に誰もが一斉にコクリと頷き、そのまま四手に分かれて行動し始める。一塊で行動してしまったら騒動が起こるだけでなく、敵に見つかって騒ぎになってしまう。そうならない為にも分散した方が得策と言えるのだ。

「私達も向かいましょうか」
「そうだな。白雪姫達を助けるだけでなく、カボチャ男爵の弱点を探しておかないと!」

 零夜の宣言にルリカも笑顔で応え、彼等は白雪姫達を助ける為に動き出す。同時に救出作戦も開始を告げられたのだ。

 ※

「この部屋は……違うか」

 零夜とルリカは扉を一つずつ開けながら、白雪姫達がいないか確認してみる。何処を探してみても彼女達の姿は見当たらず、今ので三部屋めだ。
 するとルリカが真剣な表情で考える中、ある可能性を思いついた。

「恐らく大広間にいる可能性があり得ます。彼女達はそこで食事の準備をしたり、掃除をしているかも知れないので」

 ルリカは真剣な表情をしながら自身の考えを推測し、それを聞いた零夜も真剣な表情で考え始める。白雪姫達はカボチャ男爵によって洗脳されている為、この様な行動は当然の事である可能性が高いだろう。
 
「となると、そこに行くしかないだろうな。すぐに大広間に行くぞ!」
「はい!」

 零夜はルリカの考えを承認し、彼女と共に大広間へと向かい出す。そこに行けば白雪姫達が見つかると信じながら駆け出したその時、ルリカがいきなり匂いを嗅ぎ取り始めた。
 この様子だと何か危険な予感を感じていて、真剣な表情をしているのが確かな証拠だ。

「零夜様。ジャックランタンの気配がします!恐らく私達がいる事に気付いていたのでしょう」
「となると……戦うしか方法はないみたいだな!」

 零夜はすぐに忍者刀を両手に構えた直後、ジャックランタン達が姿を現す。その数は五十ぐらいだが、このくらいで逃げる零夜ではないのだ。

「攻めるなら今!村雨で勝負だ!」

 零夜は二本の忍者刀を村雨に変えたと同時に、素早い斬撃を駆使しながらジャックランタンを斬り裂いていく。彼等に対して反撃する暇も与えず、次々と素早く攻め込んでいるのだ。

「残りあと僅かです!」
「よし!このまま押し切るぞ!」

 零夜は更に斬撃のスピードを上げ、残りの敵を一掃する事に成功。敵がいなくなったのを確認したと同時に、忍者刀を元に戻して鞘の中に納めたのだ。
 因みに素材と金貨についてはルリカが素早く回収していて、粒子化してバングルに納めているのだ。

「これでよし。後は大広間に急ぐとしよう」
「そうですね。ジャンヌさん達もカボチャ男爵と戦っていますし、私達も急いで任務を終わらせましょう!」

 零夜とルリカは此処には用がない事を自覚し、彼等はそのまま大広間へと向かい出す。白雪姫達が洗脳されているとしたら、彼女達は大広間にいる可能性が高い。その事を真剣に考えながら、彼等はスピードを上げて駆け出したのだった。

 ※

 零夜とルリカが大広間に辿り着くと、そこの扉は既に開けられていた。どうやら何者かによって開かれているに違いないが、彼等は警戒心を強めながら扉の先をじっと見始める。

(白雪姫達はいるのか気になるが、見つけたら……あっ、心配なかったか)

 零夜は心の中で白雪姫達を心配していたが、その様子に思わず苦笑いをしていた。なんとエヴァ達が先に大広間に突入していて、白雪姫達の洗脳を治していたのだ。
 実は零夜達がジャックランタンと戦っている頃、エヴァ達は既に大広間に辿り着いていた。そのままカボチャ男爵に洗脳されている白雪姫を見つけ出したと同時に、ヒーリングなどの治癒魔法で洗脳を解除しているのだ。

「あっ、零夜!来ていたんだ!」
「白雪姫達が心配だったから様子を見に来たけど……必要無かったかもな……」

 エヴァは手を振りながら零夜に声をかけ、彼は苦笑いしながらもルリカと共に駆け寄ってくる。まさかエヴァ達が先に来るとは想定外だったが、白雪姫達を見つけただけでも良しとしようと判断したのだ。

「洗脳についてはそろそろ解放されるわ。ミミ達にも連絡しておいたから!」
「そうか。後はカボチャ男爵の弱点を探すだけだな。彼の秘密が暴く事ができれば良いが……」

 零夜が真剣な表情をしながらどうするか考えたその時、シンデレラの洗脳が解けて彼等に視線を合わせてきた。どうやら何か言いたげの様だ。

「それなら知っているわ。奴は倒されると真の姿に変化するの。カボチャの化け物であるゴーストパンプキンに!」
「「「ゴーストパンプキン!?」」」

 シンデレラからの説明に零夜達は驚きを隠せず、カボチャ男爵にもう一つの姿がある事を初めて知った。ジャンヌはそれを知らずに戦っているとなると、ピンチになるのは当然と言えるだろう。

「じゃあ、カボチャ男爵が真の姿を見せた途端、ジャンヌ達が戦ったら負けるという事なのか!?」
「そう言う事になるわけね。けど、その弱点なら私は知っているわ!」

 シンデレラは零夜の質問に冷静に応えた後、すぐにとある道具を取り出す。それは包丁であるが、光のオーラが纏っている特殊包丁なのだ。

「その包丁は?」
「野菜や果物系などの敵に対し、有効な包丁「クッキングカット」よ!この包丁を使えばゴーストパンプキンは簡単に倒せるわ!」
「じゃあ、これをジャンヌに渡せば勝てるという事ね!」

 シンデレラの説明にエヴァが納得した直後、何処からか爆発音が聞こえる。この様子だと戦いは既に始まっていて、カボチャ男爵も真の姿を披露してくるだろう。

「戦いは始まっているわね。準備はいい?」
「ああ。手遅れになる前に急ぐのみだ!すぐに向かうぞ!」

 シンデレラの質問に対し、零夜は真剣な表情をしながら決意を固める。その直後にミミ達も一斉に駆け付け、これでメンバーが全員集まったのだ。

「これで全員揃ったみたいだな。というより、話は聞いているのか?」
「ええ。こっそり聞いていたからね。ちゃんとメモしてあるから」

 ミミは笑顔で話の内容を書いたメモを見せ、それに零夜はズッコケてしまう。話を聞きながらメモを取った事はいいが、できれば駆け付けてから聞いて欲しかったのだろう。

「まあいい。時間も惜しいからさっさと急ぐぞ!」
(そこは良いのね……)

 零夜の合図にシンデレラは心から苦笑いしてしまい、彼等はそのままジャンヌ達の元へ駆け出し始めた。ゴーストパンプキンの猛攻によって、ジャンヌ達が全滅してしまうのを阻止する為にも……
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