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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百四十話 魔女へのお仕置き

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 魔女は魔力が無くなってしまい、更には多くの敵に囲まれてしまった。ピンチになったのは明確だが、ここからどう反撃するかがカギだ。

「おのれ!どいつもこいつも!こうなったらまとめて叩きのめしてくれるわ!」

 魔女は怒りの形相をしながら、腕を振り回してエヴァ達に襲い掛かる。しかし歳を取り過ぎているせいか、動きはとても遅い。更に腕に疲れが出てしまい、魔女は途中で動きを止めてしまったのだ。やはり魔女でも歳には勝てないのだろう。

「くそっ!歳を取っているおかげで力が出ない……やはり若さを奪った方が良かったのか?」
「今がチャンス!」

 魔女が息を荒げながら悔しそうな表情をしたその時、エヴァが軽々と彼女を持ち上げてしまう。そのままお仕置きマシンがある家に狙いを定め、モックが待ってましたとばかりに扉を開けたのだ。

「そーれっ!」
「うわァァァァァァァァ‼」

 エヴァに勢いよく投げ飛ばされた魔女は、お仕置きマシンのある家に入ってしまう。魔女はそのままクレーンアームによって捕まってしまい、宙吊りの状態にされてしまった。この様な態勢はまさに屈辱的その物。恥ずかしさで顔を赤くしてしまうのは当然であろう。

「こんな事をしてタダで済むと思っているのかい!この私を誰だと思っている!」

 魔女が怒りでエヴァ達に叫ぶが、彼女達の耳には届いていなかった。敵に情けは無用なので、この様なお仕置きは適任と言えるだろう。
 すると光線銃を構えたハンドアームが姿を現し、魔女に対して光線を放ったのだ。

「うわっ!」

 光線を喰らった魔女は思わず叫んでしまったが、あまり大したダメージはなかった。魔女がキョトンとしていたその時、マックはニヤニヤ笑いながら彼女に視線を向けていた。

「今の攻撃は魔力封じの光線銃だ。まあ、魔力が全て枯渇していても効果ないけどな」
「じゃあ、私は魔術が使えないとの事かい⁉」
「その通りだ!ここからがお仕置きのエスカレート!恨むのなら自分の愚かさを恨みな!」

 マックの叫びと同時に、ムックがレバーを強く引く。すると別のハンドアームが姿を現し、リズムよく魔女のお尻を叩き始めた。

「いだっ!痛い!」
「アハハハハ!これは笑っちゃう!」
「お腹痛くなってきた!キャハハ!」

 魔女は尻を叩かれながら悲鳴を上げまくり、この光景にエヴァ達は腹を抱えながら笑ってしまう。中には涙目になっている者もいれば、地面に拳を叩いている者もいた。あの魔女がこんな無様な目に遭っているのは見物であり、笑わずにはいられないのだ。

「受けてくれたみたいだな。けど、これで終わりじゃないぜ!」
「その通り!ここは俺に任せろ!」
 
 ムックが別のレバーを引くと、今度は別のアームが飛び出して魔女の防止を奪い取る。更に太鼓のバチまで姿を現し、魔女の頭をリズミカルに叩きまくった。しかもお祭りの風景を思い出すリズムである為、ヒカリ達日本人は懐かしさのあまり聞き惚れているのだ。

「いい演奏!お祭りに行きたくなる気分!」
「そうね。一週間後には池袋で満月祭があるし、私達もプロレスラーとして出るけどね」
「私も出演しますし、やるからには楽しみましょう!」
「ええ!秋祭りだから普段着のままでもいいけどね」

 ヒカリ達は戦いを放っていて、一週間後に行われるお祭りの事を話し合い始めた。それにコーネリアが彼女達に近付き、ハリセンで彼女達を叩いた。

「いつっ!」
「あのね!今は戦闘中でしょ!まだ魔女が生きているじゃない!」
「ご、ごめん……」
「ついお祭りの話をしていた……」

 コーネリアからの説教に対し、倫子達はしょぼんとしながら謝罪する。最年少に怒られるのは屈辱的であるが、これに関しては倫子達が悪い。エヴァ達はこの光景に苦笑いをする中、お仕置きは次の段階に進もうとしているのだ。

「おのれ!この私をバカにしているのか!私を誰だと思っている!」
「やれやれ。まだ煩いみたいだな!それじゃ、次に進むぞ!」

 ムックはスイッチを押した直後、今度はボクシンググローブ付属のアームが姿を現す。そのまま魔女をボコスカ殴り始め、あっという間に魔女はヘロヘロになってしまう。顔は腫れあがってしまい、左目は半分塞がっている。まさに化け物にしか見えないと言えるだろう。

「よし!そろそろいいぞ!鍋のセットを頼む!」
「任せろ!指定した場所に置いておくぜ!」

 モックの合図でコバルト達が動き出し、石の薬入りの鍋を運び始める。彼等が所定の位置に移動し始めると同時に、魔女を掴んでいるクレーンアームも動き出す。クレーンは上昇しながら鍋の真下に移動し、コバルト達は確認したと同時に避難し始める。

「今だ!落としてくれ!」
「了解!」

 ムックがスイッチを押した途端、クレーンは魔女を離してしまう。そのまま魔女は何もできないまま落下していき、鍋の中に勢いよく入ってしまったのだ。

「やったのか⁉」
「いや、まだよ!この程度で魔女が死ぬとは思えないわ!」

 ソニアが魔女を倒したと確信する中、ヒカリがそれを否定。すると鍋の中から魔女が姿を現しながら出てきて、そのままヨロヨロと歩き出す。それはまるで全身薬に包まれた化け物で、顔までも薬に濡れていて見えなくなっているのだ。
 魔女はそのまま木々の中に移動し、そのまま戦う構えに入る。同時に身体が固まって動かなくなり、完全に石となったのだ。

「魔女が動かなくなったぞ!倒すなら今じゃ!」
「任せて!チャンスはこの瞬間しかない以上、この技で終わらせるわ!」

 コーネリアは集中しながら魔術を唱え始め、大きい鉄球を召喚する。鉄球の大きさは大きな岩ぐらいであり、魔女の真上に浮かんでいた。直撃したら死んでしまうのは当然と言えるだろう。

「秘儀!鉄球落下!」

 コーネリアが両手を挙げながら振り下ろしたと同時に、魔女の脳天に鉄球を直撃する。すると石となった魔女の身体に罅が入り、そのままガラガラと音を立てて崩れてしまった。そして鉄球が消えたと同時に、跡に残ったのは石でできている瓦礫だけとなったのだ。

「瓦礫となって崩れちゃったけど、終わったのかな?」
「さあ……」

 倫子と日和は魔女が死んでいるのか疑問に感じたその時、瓦礫が砂の様に塵となっていく。そして瓦礫が全て消えたと同時に、金貨と魔女の帽子が姿を現した。これで魔女は完全に死んでしまい、コーネリアは魔女の帽子を拾い上げた。

「魔女は死亡確認。私達の勝利よ!」

 コーネリアはウインクしながら笑顔で応え、それに皆は笑い合いながら喜んでいた。自分達の力で魔女を倒した事がとても嬉しく、喜びを我慢できないのは当然であるのだ。
 その様子にドリトンはうんうんと頷きながら笑顔を見せていて、そのままコーネリアに近付く。そして彼女の持っている帽子に視線を移していた。

「その帽子はお前さんのじゃ。魔女を倒した証として、大切にするんじゃぞ」
「ええ。ありがたく受け取るわ」

 ドリトンの笑顔にコーネリアも笑顔で返し、そのまま魔女の帽子を被り始める。彼女はその帽子をすっかり気に入っているが、後はマントさえあれば完璧に魔女その物だ。

「おーい!皆、無事か!」
「この声……零夜ね!」

 全員が声のした方を見ると、零夜とルリカの二人が駆けつけてきた。ケイコとマツコは奴隷達を王様の元に案内させているので、別々に分かれて行動しているのだ。

「その様子だと、狼と魔女は倒したそうだな。こっちも鬼達を全員倒したぜ」
「相手にならなかったし、私達もここで止まらないからね」
「そうなの。それを聞いて安心したし、後はミミ達のいる鎧騎士のみ。急いで彼女達の元に向かわないと!」

 コーネリアは零夜達が鬼退治をした事を確認した後、ミミ達のいるエリアへ向かう事を決断。それに零夜達も同意し、彼女と共に行動する事に。するとヒカリが足を止めてしまい、ある事を思い出していた。

「ヒカリさん、どうしたのですか?何か忘れ物があったんじゃ……」
「ええ。ドリトンから聞いたけど、魔女の家はお菓子だったみたい。彼女の家に行ってお菓子を回収しちゃいましょう!」
「いいわね!早速行きましょう!」
「おい、ちょっと待て!戦いは終わってないぞ!戻れェェェェェェ‼」

 ヒカリの提案にエヴァ達も同意し、零夜の叫びも聞かずに魔女の家へと駆け出していく。これにドリトン達は笑い合うのも無理なく、零夜はヒカリ達の行動に呆れながらため息をつくしかなかった。
 何はともあれ魔女も撃破し、残る四天王は鎧騎士のみ。カボチャ男爵の元に行くのも、時間の問題であるだろう。
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