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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百三十六話 エヴァVS狼

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 エヴァと狼の一騎打ちが始まりを告げられ、両者は激しい殴り合いを繰り広げる。狼の拳はパワーがデカいが、逆にスピードが前の姿より落ちている。エヴァはそれを次々と回避しながら的確に当てていくが、狼の身体は頑丈で大したダメージは与えられていないのだ。
 まさに互角の展開と言えるが、この攻防がどうなるかに注目だ。

「こいつめ!さっさと倒れろ!」
「おっと!」

 狼は強烈な鉤爪を振るいながら襲い掛かるが、エヴァはバックステップで回避してしまう。爪はチューブトップを掠っただけだが、今の一撃で穴が空いてしまった。胸の谷間が少し見えてしまっただけだが、下手をすれば切り裂かれて胸が見えてしまっただろう。

(なんて鉤爪なの……掠っただけでチューブトップが切り裂かれるなんて……油断はできないみたいね)

 エヴァは冷や汗を流しながらも狼に視線を移し、拳にオーラを纏い始める。狼の頑丈な身体に対し、強烈な拳でどう繰り出すかだ。

「それなら強烈な一撃で!狙いは……そこ!」
「ぐほっ!」

 エヴァは強烈な一撃を狼の心臓部分に叩き込み、強烈な衝撃を与える。すると狼の身体がフラフラとなってしまうが、根性で持ち堪える事が出来た。しかし、心臓部分にダメージを受けたとなると、何処まで耐え切れるかがカギとなるだろう。

(こいつ、心臓部分に思いっきりやりやがった!これまで色んな奴と戦ったが、こんな敵は初めてだ。今までとは油断できないみたいだが、認めざるを得ないかもな!)

 狼は心の中でエヴァが手強い相手だと認識し、拳を強く握りしめながら戦闘態勢に入る。同時に真っ直ぐな右ストレートを放ち、エヴァの胸部分に当てたのだ。

「がはっ!」
「エヴァちゃん!」

 エヴァは強烈な一撃を喰らってしまい、後ろに勢いよく吹き飛ばされてしまう。すると倫子が彼女の後ろに立ち、彼女を受け止めようとしていた。身長差やパンチの勢いもある為、受け止めるにしても自殺行為と言えるだろう。

「ぐっ!」

 しかし倫子は見事エヴァを受け止め、後退しながらもなんとか踏み留まる事ができた。彼女が受け止めに向かわなかったら、地面を転がって大ダメージを受けただろう。

「ありがとう、倫子。あなたがいなかったら、戦闘不能になりそうだったわ」
「気にしないで。それよりも怪我はどう?」
「ええ。胸の痛みが残っているけど、こんなところで諦めないわ!やられたら倍にして返すんだから!」
「よっし!その意気が大事だからね!」

 エヴァは倫子に感謝の言葉を述べた後、すぐに前進しながら狼の方へ向かう。彼女は諦めの悪い性格である為、やられたら倍にして返す主義である。

「ほう。今の一撃を耐え切るとはな。だが、何発でも当てて倒すのみだ!覚悟しろ!」

 狼の猛攻は止まらず、鈎爪を振るいながらエヴァに襲い掛かる。彼女は次々と回避するが、チューブトップが掠られて胸の谷間が見えてしまった。後一撃喰らってしまったら、破れて胸が全て見えてしまうだろう。

「まずいわ!後一撃喰らったら、エヴァの胸が丸見えになり、大変な事になるわ!」
「エヴァちゃんの胸が見られたら、彼女は恥ずかしがって戦意喪失してしまう。こうなると阻止するしか方法は無いみたいやね」
「ええ。被害が及ぶ前に終わらせましょう!」

 ヒカリはこの状況に危機感を募り、倫子や日和も冷や汗を流してしまう。このままだとエヴァの胸が丸見えとなり、大パニックになるのは確定。更にモック達が見たら大興奮するだけでなく、鼻血を出して倒れる者も出てくるだろう。
 しかし無情にも狼の爪がエヴァに襲い掛かり、彼女はカウンター狙いの態勢に入った。

「そこだ!ウルフスラッシュ!」
「油断大敵よ!ウルフスマッシャー!」

 狼の爪はチューブトップを掠ってしまい、エヴァの服はそのまま切り裂かれてしまった。しかし、彼女のパンチは狼の顔面に当たり、彼は勢いよく飛ばされてしまった。

「がはっ!」

 狼はそのまま地面を転がり、仰向けに倒れてしまう。いくら身体を鍛えていても、弱点は必ず存在してしまうのだ。

「やはりあなたは頭が弱点みたいね……ん?チューブトップが……」

 何とかダウンを奪う事ができたエヴァだが、彼女のチューブトップが使い物にならなくなり、胸の谷間が完全に見えていた。すると彼女の背後に日和が移動し、チューブトップを新しいのに交換した。日和の高速の早業によって、胸が誰も見られずに済む事が出来たのだ。

「はい!これで大丈夫。新しいのに交換した後、古いのは処分したから!」
「ありがとう、助かったわ!」

 日和の笑顔にエヴァがお礼を言った直後、狼が起き上がって戦闘態勢に入ろうとしていた。弱点を突かれてしまったのは仕方がないが、魔女に拾われた恩を返す為にも負けられないのだ。

「まだだ!まだやれるぞ!俺は此処で倒れない!」
「こんなに打撃を喰らっても、まだ倒れないとはね。魔女との出会いがあなたを変えたのかしら?」

 エヴァからの質問に対し、狼は真剣な表情でコクリと頷く。魔女との出会いがあったからこそ、今の彼がここに居るのだ。
 
「そうだ!俺は皆からの嫌われ者で、次々と子豚や山羊にやられていた……その時に魔女と出会い、俺は変わる事が出来たんだ!だから……俺はここで負ける理由にはいかないんだよ!」

 狼は自らを奮い立たせながら、全ての力を振り絞り始める。弱点が頭だと言う事が判明されてしまっても、諦めない気持ちはまだ残っているのだ。
 狼はかつて悪役であり、子豚や山羊達からやられていた。皆からの嫌われ者で落ち込んでいたその時、魔女との出会いが彼を変えさせてくれた。彼女の元で修行して強くなった狼は、その恩を返す為に戦う事を決断。彼女の野望を達成する為なら、どんな悪行でもやりこなしていくのだ。

「魔女の為なら何でもするか……私もこの世界を救う義務は勿論、愛する人の為にも必ず生きて帰るのみ!あなたの悪行、終わらせてあげるわ!」

 エヴァは狼の話に納得した後、彼女はとどめを刺そうとスピードを上げて接近する。すかさず狼が攻撃を仕掛けようとするが、逆に先手となるハイキックを喰らってよろけてしまう。

「ぐほっ!」
「これで済むと思ったら大間違いよ!この技であなたを終わらせてあげるわ!」

 更にエヴァの攻撃は止まらず、狼の体を上下逆さまに抱え上げて固定。その状態から跳躍したと同時に、相手の頭部を地面に激突させようとしていたのだ。

「これでも喰らいなさい!デッドドライバー!」
「がはっ!」

 エヴァのデッドドライバーによって、狼は脳天に頭を直撃。かなりの大ダメージで脳全体が振動してしまった。おまけに地面に当たった物だから、少しぐらいの跳躍でも脳内出血は確定。まさに殺人技と言えるだろう。
 狼はそのまま仰向けにバタンと倒れてしまい、戦闘不能に。よってこの勝負はエヴァが勝利したのだ。

「こ、この俺が……こんなところで負けるとは……ごめんな……魔女さん……」

 狼は涙を流しながら魔女に謝罪し、そのまま光の粒となって消滅。跡には素材と金貨が残り、エヴァはそれを全て回収した。

「なんとか狼は倒したわ。けど、他に敵もいるから油断ならないけどね」
「えっ?それってどういう事ですか?」

 エヴァの真剣な表情にモックが疑問に感じたその時、倫子はすぐに敵の気配を察してナイフを召喚する。因みにナイフは盗賊ナイフだが、斬れ味抜群の高威力を誇っているのだ。

「そこ!」

 倫子が空に向かってナイフを投げると、そこには空を飛んでいる魔女がいた。魔女は魔術でバリアを展開し、ナイフ攻撃を防ぐ事に成功。ナイフはすぐに光の粒となってしまい、そのまま消滅してしまった。

「まさか私がここに来るのを分かっているとはね」
「アンタを見た時、必ずここに来ると思ったんや。魔女さん!」

 倫子達と魔女は火花を散らしながら睨みつけ、モック達三匹の子豚は驚きを隠せずにいた。
 魔女が倫子達のところに来たのは想定外だが、新たな戦いが起ころうとしていたのだった。
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