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第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百三十三話 思わぬ遭遇

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 コーネリア達は魔法の森の中に入っていて、魔女の家を探していた。そこでは様々な生き物達がいるだけでなく、魔法によって喋る木もある。まさに幻想の世界その物だ。

「この先に魔女の家があるけど、どんなところなのかな?」
「多分、お菓子の家である事は間違いないけど……」

 ジェニーの質問に対し、コーネリアは真剣な表情で考え始める。物語の中では、魔女の家がお菓子でできている確率が高い。しかし、そうではない場合もあるので、あまり期待しない方が良いと言ってもいいぐらいだろう。

「まあ、魔女の家に辿り着くまでの辛抱だ。それがどんなのかはハッキリとこの目で見定めておかないとな!」
「そうだな。たとえどんな家であろうとも、魔女を倒す事に変わりはない。その家がお菓子でできているなら、ルリカ達にもあげておかないとな」

 ソニアと杏ははっきりとその家を見定める一方、それがお菓子の家なら皆にあげるとの事。ルリカ達は甘い物が好きなので、お菓子の家に行きたい人が多いのも無理はない。それを考えた結果、彼女達の為にお菓子の家を持ち帰ろうとしているのだ。

「そうね。私達だけいい思いする理由にはいかないし……ん?」

 コーネリアが苦笑いしながらその意見に賛同したその時、目の前にドワーフ達が歩いているのを見つける。しかもその大きさはとても小さく、まさに小人其の物であった。

「あの人達って……白雪姫に出てくる……」
「七人の小人達ですね。白雪姫がいなくなってから、彼等は落ち込んでいるみたいです」

 ジェニーの言う通り、小人達はズーンと落ち込んでいるのが明らか。白雪姫はカボチャ男爵に洗脳されてしまい、彼女がいなくなってから落ち込んでいるのだ。特に若い小人であるベイルは白雪姫の事が好きなので、退屈座りで落ち込んでいる。

「この様子だと話しかけるのは困難だな……」
「ああ……彼等から話を聞きたいが、このまま落ち込んでいるとなると話しづらいし……」

 ソニアと杏も難しい表情をしながら、これからどうするか考え始める。ドワーフ達なら魔女の事について何か知っているかと思うが、今の状態となると話しづらいのも無理はないのだ。
 すると上空で会話が響き渡るが、怒鳴り声の様で言い争っていた。何かトラブルがあったのだろう。

「なんだ?」
「上空で一体何が……あっ!」

 コーネリアが指差す方をよく見ると、カボチャ男爵と魔女が上空で言い争いをしていた。カボチャ男爵はスーツ姿で、頭がカボチャとなっている。魔女は普通で年齢はおばあさんぐらい。更に白髪なのが特徴だ。

「お前な!永遠の命を手に入れるのは分かるが、白雪姫を寄越せだと?いくら何でも理不尽過ぎるのは勿論、美しい女性から若さを奪い取るな!」

 カボチャ男爵の怒鳴り声に対し、魔女は顔を横に向けながら話を聞いてなかった。自身に都合が悪い事は話を聞かないタイプで、たちが悪いのは当然と言える。

「私はね!永遠の命と若さが欲しいのだよ!お前の言う事なんか聞くもんか!さっさと白雪姫を寄越せ!」

 魔女の我儘に対し、カボチャ男爵の怒りはヒートアップしていく。自身の部下なのにこんな我儘な性格は見た事無く、カボチャ男爵で無くても誰もが怒るのも当然である。

「言いたい放題言いやがって!俺の魔術で終わらせてやる!」

 カボチャ男爵は両手に波動弾を生成し始め、そのまま魔女に狙いを定める。ここで自身が動かなければ、魔女の思い通りになると危機感を感じているのだろう。

「デビルキャノン!」
「なんの!」

 闇の波動弾が両手から放たれ、真っ直ぐな方向で魔女に襲い掛かる。しかし彼女は回避したと同時に、右の人差し指から紫の光線を放ってきた。カボチャ男爵も回避するが、光線は木に激突して爆発を起こしてしまった。

「凄い威力だ……これが魔女の魔術とは……」
「甘く見ていると痛い目に遭いそうだぜ……」
 
 あまりの威力に誰もが冷や汗を流す中、コーネリアは冷静な表情で魔女に視線を移していた。彼女は魔術系統に関しては全ての属性を勉強している為、今の魔術に関しても問題なく冷静でいられるのだ。

(なるほどね。これが魔女の魔術か……私的には問題ないみたい)

 コーネリアが心の中で察したと同時に、カボチャ男爵と魔女による魔術合戦はヒートアップしてきた。光線や波動弾などが飛び交っていて、お互い一歩も引かずに立ち向かっている。今の彼等に近付けば、返り討ちにされるのは当然と言えるだろう。

「このままだと私達まで巻き込まれます!早くそこから逃げましょう!」
「そうだな。彼奴等を倒したいが、何されるか分からないからな……」

 ジェニーは慌てながらも、皆に逃げようと提案する。それにソニアは不本意ながらも承諾し、彼女達は急いでその場から離れ始めた。すると、魔女がジェニー達に視線を移していて、彼女達の姿を見てニヤリと笑っていた。

「おっと!逃がす理由にはいかないよ!」

 魔女は指から光線を放ち、コーネリア達に向かって襲い掛かってきた。そのまま光線はまっすぐ彼女達の元へ向かっていて、今でも始末しようと勢いよく速度を上げ始めた。

「バレたのなら……こっちだって考えがあるわ!ミラーバリア!」
「何!?」 

 コーネリアは両手を前に押し出し、彼女達を覆い囲む様にバリアを展開する。すると光線はバリアによって弾き返されてしまい、そのまま魔女に直撃してしまった。

「ぐわああああああ!」

 魔女は光線を喰らって大ダメージを受けてしまい、そのまま地面に墜落してしまう。しかし持ち前の根性で立ち上がり、ギロリとコーネリアを睨みつけていた。
 魔女は自分の魔法がコーネリアのバリアによって弾かれてしまい、自身に当てられた事を怒っているに違いない。コーネリアも臨戦態勢に入り、魔女を倒そうとしているのだ。

「この私に魔術を当てるとは……死ぬ覚悟はできているだろうね?」

 魔女は怒りの表情でコーネリアを睨みつけるが、彼女もそれに怯まずにジリジリと接近しようとしている。本来は魔女の家に辿り着いて探そうとしたが、標的を思わぬところで見つけてしまった。こうなってしまった以上、魔女との戦いは避けられないと言えるだろう。

(まさか選ばれし戦士が来てくれるとはな。魔女の始末はあいつ等に任せるとするか!)

 カボチャ男爵は思わぬ横槍に驚きを隠せずにいたが、心の中で魔女の始末をコーネリア達に任せる事に。自身は城の中でくつろぐ為、その場から空を飛びながら去ってしまった。

「カボチャ男爵は逃げられたみたいですね。けど、その役目はジャンヌさん達が引き継ぐと思います!」
「そうだな!アタイ等は目の前にいる敵を倒すのみ!やるからにはマジで行かせてもらうぜ!」
「アタシも本気で行かせてもらうよ!魔女の悪巧みは終わらせないとな!」

 ジェニー、ソニア、杏も魔女に対して真剣な表情をしつつ、一斉に戦闘態勢に入る。魔女の企みを知っただけでなく、白雪姫の危機を救うためにも立ち向かうしかないのだ。

「まとめて戦うつもりだな。小娘共、覚悟しろ!」

 魔女はコーネリア達に対して宣戦布告を行い、風が強く吹き始める。それを物陰で見ていたドワーフ達は、驚きの表情で彼女達を見つめていた。

「ドリトン先生。彼女達はもしや……」
「うむ。我等の希望の光であるブレイブペガサスだ。この戦いは見逃す理由にはいかない。お前達も彼女の勇姿をよく見ておくのだ」

 ドワーフのリーダーであるドリトンは、六人の仲間達に対して忠告をしながらコーネリア達を指差す。それに彼等は真剣な表情で、彼女達の戦いを見始めたのだった。
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