ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

文字の大きさ
上 下
221 / 277
第七章 おとぎの世界の大冒険

第二百十九話 ようこそ、おとぎの世界へ

しおりを挟む
 零夜達がおとぎの世界を救う決意をした翌日、彼等はその世界に転移到着していた。ファンタジーの世界だが、様々な名作作品の建物や景色が多くある。流石はおとぎの世界と言うべきだ。

「ここがおとぎの世界か……凄い所だな……」

 零夜はキョロキョロ辺りを見回しながら、目の前の景色に心を奪われていた。昔絵本で見ていた名作が、現実の世界である事に驚くのも無理ない。その証拠にミミ達もソワソワしながら、目の前の景色に興奮していた。

「そんな事よりも早く仲間に会いに行こう!皆、待っているんだから!」
「そうだったな。案内を頼む!」
「任せて!こっちだよ!」

 ウサギは零夜達を連れて桃太郎達の元に向かう中、アミリスが足を止めて敵の気配を察する。ここでも敵の気配が察しているとなると、油断は禁物と言えるだろう。

「敵が来るわ!この人数は……数百!」
「数百か。確かおとぎの世界の敵は……」

 トラマツが言い切ろうとしていたその時、茂みの中からトレント、ゴブリン、サイクロプス、オーガ、インプ、ハーピー族、オーク、ガーゴイル、が姿を現した。数は多く、今までのモンスターよりは手強いと言えるだろう。

「手強い奴等ばっかりね。サイクロプスもいるみたい」
「どれも凶暴ばかりで下手したらやられてしまう……気を引き締めないとね!」

 エヴァとコーネリアの意見に皆も同意する中、零夜は真剣な表情で敵の大群に視線を移していた。すぐにこの状況を察したと同時に、ヒカリに視線を移し始める。
 
「ヒカリさん、モンスター達の召喚を!少しでも戦力は必要です!」
「了解!皆、出てきて!」

 零夜からの指示にヒカリは頷き、バングルから次々とスピリットを放出する。そのまま彼女のモンスター達が一斉召喚し、ミノタウロスを筆頭に戦闘態勢に入り始める。
 メンバーはミノタウロス、スライム三匹、ラビットナイト、ファルコス、ブラックボア、カーバンクル、ジャックライダー、トレント、パンダファイター、バット、リトルドラゴン、リトルペガサス。更にペンギンナイト、イエティ、ホワイトベアーの群れだ。彼等は心強い為、戦力としても十分に活躍できるだろう。

「更にトレントにはこれを付けないと。ちょっとごめんね?」
「ん?」

 ヒカリはオーバーオールの胸ポケットから人形を取り出し、トレントの身体にくっつけた。すると彼の身体が光り出して変化し始め、新たな姿に変化したのだ。

「成功!ウッドゴーレムになった!」

 ヒカリはトレントの姿が進化した事に喜んでいて、目の前には進化した姿であるウッドゴーレムの姿が映っていた。その姿はまさにゴーレムの姿其の物だが、木をメインとした特殊岩石となっている。其の為、水や火、風などの属性攻撃に耐え切る事ができるのだ。

「これがウッドゴーレム……動きやすくなったし、力が湧いてきた!」

 ウッドゴーレムは自身の姿に驚きを隠せずにいる中、直ぐに気を切り替えて敵に視線を移す。ヒカリの手助けで自身が進化した以上、その恩を返す為に動くしかないだろう。

「ここで一気に攻める!アースブレイカー!」

 ウッドゴーレムは地面に拳を叩いたと同時に、強烈な振動で地面から岩を出現させた。同時にモンスター達は次々と地面からの岩攻撃を喰らってしまい、金貨と素材になってしまった。

「まさか多くを倒すとは……俺達も後に続くぞ!」
「「「おう!」」」

 ウッドゴーレムの活躍の影響はとても強く、ミノタウロス達も負けじと敵に向かって駆け出し始めた。連携攻撃と強烈な威力でモンスターの数を減らしていき、半数を倒す事に成功したのだ。

「まさか皆がここまで頑張るなんて……私達も手助けしましょう!選ばれし戦士として立ち向かわないと!」
「そうだな。ブレイブペガサス、戦闘開始だ!」
「「「了解!」」」
 
 ヒカリの提案にトラマツも頷き、彼の合図で零夜達も敵に向かって駆け出す。彼等の連携攻撃とトラマツの指示によるコンビネーションも炸裂し、敵はあっという間に五分の一に減らされてしまったのだ。

「凄い!これがブレイブペガサスの実力……!」
「彼奴等の本気はまだまだこれからだけどな。まあ、戦いを見れば分かるさ」

 ウサギは零夜達の活躍に目を奪われていて、その様子を見たノースマンはウインクしながら応える。すると増援となる敵が姿を現し、その数は千ぐらいだ。

「増援が来たが、なんか数が多くないか!?」
「ご尤もだが……なんでジャックランタンだらけなんだ?おとぎの世界と言えども、多過ぎるだろ……」

 ソニアと杏は冷や汗を流しながら敵に視線を移すが、何故か来たのはジャックランタンだらけとなっていた。まさかの光景に唖然とするのも無理ないが、戦いの最中に気を緩ませるとやられてしまうだろう。

「無駄口は厳禁だ!一気に倒すぞ!」
「そうだな!アタイとした事が情けないぜ。やるからには倒すのみだ!」

 零夜の合図にソニアは真剣な表情で頷き、目の前にいる敵を次々と斬り裂き倒す。しかし倒しても倒してもどんどん増援が出てくるので、キリがない状態だ。

「増援がいる為、キリがないわ!恐らく元凶が何処かにいるはずよ!」
「それなら私が行くわ!千里眼発動!」

 マーリンからの報告を聞いたアミリスは、千里眼を発動させて敵の位置を探し出す。敵は何処かに隠れているが、アミリスの千里眼なら一発で見抜けるのだ。

「敵は確か……いたわ!木の陰よ!」

 アミリスが指差す方を見ると、大きな一本の木が立っているのが見える。するとその後ろから元凶のノームが姿を現すが、人間サイズの大きさとなっていた。

「アンタが増援の元凶ね!」
「バレてしまったか!カボチャ男爵様からの命令で、お前達を足止めしていたんだよ!お前等が桃太郎と合流すれば、こっちとしてもピンチになるからな!」

 ノームはあくどい笑みを浮かべながら、零夜達に説明する。このまま零夜達と桃太郎達が合流すれば、苦戦になる事は確定と言えるだろう。
 
「そういう事か!だったらまとめて倒してやる!この最大奥義で!」

 零夜はすぐに跳躍したと同時に、拳に力を込めながら地面に向けて急降下。そのまま地面に拳を叩き込もうとしているのだ。

「この奥義……」
「嫌な予感が……」
「早く逃げないと!」
「また喰らいたくない!」

 ミミ達が冷や汗を流しながら逃げようとした途端、零夜は拳で地面を叩いてしまう。すると地面から強烈な光が放たれ、そのまま全員を巻き込んでしまった。

「最大奥義、自来也じらいや!」

 零夜の宣言と同時に大爆発が発生し、モンスター達は一斉に素材と金貨になってしまった。更にノームも金貨となってしまい、敵は全滅してしまったのだ。

「まさか敵を全部倒すとは……恐るべき力を持つ男だな」

 ウサギは驚きの表情で零夜を見つめていて、まさに最強のヒーローの様に思えていた。因みにウサギはトラマツの特殊バリアにより、彼とノースマンと共に攻撃を喰らわずに済んでいたのだ。

「零夜、取り敢えずお疲れ様。けど……これから先は地獄を見るぞ」
「へ?それって……」

 トラマツからの指示に零夜が後ろをよく見ると……なんとミミ達が怒りの表情でこちらに接近してきた。しかも彼女達は爆発に巻き込まれてしまい、ボロボロの状態となっていたのだ。

「零夜……またやってくれたわね」
「覚悟はできているかゴラ」
「しまった……ア゙ア゙ァァァァァァァァァ!!」

 零夜はミミ達に囲まれたと同時に、強烈なお仕置きを喰らってしまった。その断末魔は辺り一面に響き渡り、トラマツ達はガタガタ震えながら見つめるしか無かったのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

魔術師セナリアンの憂いごと

野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。 偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。 シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。 現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。 ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。 公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。 魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。 厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

行くゼ! 音弧野高校声優部

涼紀龍太朗
ライト文芸
 流介と太一の通う私立音弧野高校は勝利と男気を志向するという、時代を三周程遅れたマッチョな男子校。  そんな音弧野高で声優部を作ろうとする流介だったが、基本的にはスポーツ以外の部活は認められていない。しかし流介は、校長に声優部発足を直談判した!  同じ一年生にしてフィギュアスケートの国民的スター・氷堂を巻き込みつつ、果たして太一と流介は声優部を作ることができるのか否か?!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

処理中です...