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第六章 山口観光騒動記

第百九十一話 動物園の猛獣使い

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 下松を後にした零夜達は、次のエリアである周南へ。電車で徳山駅に着いた彼等は、バスで徳山動物園に向かっていた。全員席に座っているが、他のお客が少なかったのが幸いだろう。

「動物園に行くの久しぶりね。ここの徳山動物園はどんなのがいるの?」
「ツキノワグマ、アムールトラ、ライオン、ニホンザル、アカゲザル、スリランカゾウがいるわ。あと、カピバラやプレーリードッグもいるみたい」

 ミミの説明を聞いた倫子達は、動物園に興味津々となる。カピバラなどの可愛い動物がいるのなら、是非寄らないと意味がない。更にエヴァ達にとっては地球の動物にも興味がある以上、見忘れる理由にはいかないだろう。

「私、プレーリードッグに興味があるから、そこを見に行きたいわ」
「私も行きたいところがある!」
「私も!」

 倫子、ヒカリ、美津代の三人が行きたいところがあると手を挙げた直後、エヴァ達も手を挙げながら行きたいところがあると伝え始めた。女性達は基本可愛い物が好きだが、中には強い動物に興味ある者もいるだろう。

「俺はどうするか分からないが、単独行動をするのだけは止めてくれよ。あくまでも皆で楽しむ事だから!」
「「「はーい!」」」

 零夜からの忠告に、ミミ達は返事をしながら応える。しっかり者のアミリスやマーリン、マリー、美津代がいるのでその心配はないだろう。
 するとバスはそのまま徳山動物園に辿り着こうとしていて、零夜達は降りる準備に取り掛かった。



 徳山動物園に着いた零夜達は、南口から入場して最初の場所に向かっていた。周りを見ると親子連れが多く、夏休みや休みの日はいつも賑やかな証拠であるのだ。
 まずは周南の里ふれあいゾーン。そこでは山林が多く豊かな自然がいまだ多く残る「周南市」をテーマとしたエリアだ。プレーリードッグやカイウサギ、テンジクネズミなどがいるので、馴染のある動物が多い。

「プレーリードッグ、可愛い……」
「地球にこんな動物がいるなんてね……」

 ヒカリ達はプレーリードッグに見惚れていて、アミリス達も興味津々に見ていた。彼女達の世界にはこの様な動物はあまりいない為、興味津々になるのは当然。それに零夜は苦笑いしながら見るしかなかった。

「そう言えば、エヴァ達の世界にはプレーリードッグみたいな動物はいないの?」
「うん。可愛いのはいるけどね……」 

 倫子はエヴァ達に対して質問するが、彼女達は首を横に振りながら否定。可愛いモンスターはいるみたいだが、凶暴な性格もいる為油断はできない。おまけにモンスターは進化する事もあるので、カッコいい姿に変化してしまうのだ。
 よって、地球にいる動物には可愛い系が多くいる為、思わず見惚れてしまっているのだ。

「でも、地球上では絶滅危惧動物や絶滅動物もいるんでしょ?誰か絶滅動物の復活スキルを持っていない?」

 エヴァが皆に対して質問するが、ヒカリの頭の中にある事が思い出された。それはレベルアップして手に入れたスキルの中に、モンスター達を復活させるスキルがあるのだ。

「確か私、モンスターや絶滅動物を復活させるスキルを持っているけど……」
「「「ええっ!?」」」

 ヒカリは真剣な表情で呟いた途端、それに零夜達は驚きを隠せずにいた。まさか歌のお姉さんであるヒカリが、絶滅動物やモンスターを復活させるスキルを持っているのは想定外だろう。

「まさかヒカリさんが復活のスキルを持つなんて……もしかするとメガラダピス、ステラーダイカイギュウ、リョコウバト、オオウミガラス、オオナマケモノ、エピオルニスなどを復活させる事が出来るかも知れません!」
「うえっ!?そんな動物がいるの!?」

 零夜は笑みを見せながら推測していて、それにヒカリは驚いてしまう。彼の口から出た動物は聞いた事の無い物ばかりで、いきなり言われても分からないのは無理もない。

「ええ。人間の手によって絶滅しましたからね……もしかすると……『うわ(きゃ)ああああああ!!』ん?」

 零夜が言い切ろうとしたその時、何処からか叫び声が響き渡る。動物園の何処かで何かあ騒動がったに違いないが、デビルキラーズの刺客である可能性が高いだろう。

「この悲鳴……刺客のようね。すぐに向かいましょう!」

 コーネリアの真剣な推測に全員が頷き、そのまま悲鳴の起きた場所へと急いで駆け出し始めた。デビルキラーズによる被害を少なくする為にも、自分達が動かなければ意味がないと心から決意していたのだ。



 悲鳴が起きた場所に辿り着くと、中央広場に一人の女性がスリランカゾウに乗りながら姿を現した。肩紐なしのボンテージとスカートを着用し、手には鞭を持ったロングヘアの女性だ。その彼女の周りには、多くの動物達がいる。皆、動物園の動物ばかりだが、絶滅動物までいたのだ。

「ようやく来たわね、選ばれし戦士達!」
「お前も刺客の一人か!」
「そう!私は猛獣使いのすみれ!デビルキラーズ仕事人の一人よ!」

 すみれが零夜達に対して自己紹介した直後、ウインドウが出現して彼女のプロフィールが映された。

猛獣使いのすみれ
猛獣やモンスターなどを操るだけでなく、絶滅動物などを復活させるテイマーファイター
更に痴女であると同時にS体質だが、本当はМである。

「最後の情報はいらないから!SとМなんて興味ないし、変態はお断りだから!」

 すみれのプロフィールにキララが赤面しながらツッコみ、ミミ達は顔を押さえながら同様に赤面してしまう。当然プロフィールに痴女である事が分かれば、赤面してしまうのも無理はない。ましてSとМという区別まで余計な物まで付いていれば、余計赤面してしまうのは当然だろう。

「しかし奴の本性がМだとすれば、化けの皮を剥がす必要があるかも知れないな……となると、先手必勝だな」
「零夜は黙って!余計な言葉で恥ずかしくなるから!」
「あい……」

 零夜は真剣な表情で推測するが、ミミからの指摘に彼は縮こまりながら反省してしまう。すぐに彼女達は戦闘態勢に入ったと同時に、すみれを鋭い表情で睨みつけ始めた。

「ともかく、あなたのやる事は許されない!動物達を返してもらうわ!」
「なら、私はあなた達を倒してあげるわ。地獄のショータイムの始まりよ!」

 ミミからの宣戦布告に対し、すみれは開脚しながら勝負宣言をする。同時に一部の客からヒューヒュー声が出ていて、彼女はウィンクしながら声援に応えていた。

「相手の刺客が変態でも、戦う事に変わりはない。ここは私達女性メンバーで行くわ!」
「分かった!あまり無理はしないでくれ!」
「大丈夫!」

 零夜からの指摘にミミはウインクしながら応え、彼女達はすみれとの戦いに挑み始める。同時に徳山動物園での戦いが、始まりを告げられたのだった。
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