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第五章 ハルバータの姫君
第百四十七話 ボウリング場での一時
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波紋の事件から数日後、都内にあるボウリング場では零夜と三上などの会社仲間がボウリングを楽しんでいた。どうやら部署内によるレクリエーション企画で行われていて、零夜も参加する事になったのだ。
(今日はプロレスの練習は休みだからな。たまには羽根を伸ばすのもありかも)
零夜は心からそう思いながら、ボーリングの球を構えて指定されたレーンに向かう。ここのボーリングレーンは二フロアで五十レーンずつあるので、多くの人達が楽しんでいるのだ。
零夜はすぐにボーリングの球を投げ、レーンにあるピンを八本倒した。残りあと二本である。
「スペアになりそうだな」
零夜はすぐに戻ってきたボーリングの球を受け取り、そのまま二投目も二ピンを倒してスペアになった。基本的にはこんなところだ。
「やれやれ。問題なく終わる事ができたな」
「お疲れさん!」
零夜がベンチに座ろうとしたその時、隣のレーンでストライクの表示が出る。誰かがストライクを出したのだろう。
「おい、誰かがストライク出したぞ!」
「一体誰が……」
零夜が隣のレーンに視線を移した途端、知っている顔が目に映った。それはミミがいるダンスグループで、彼女達もボーリングに来ていたのだ。
「よっし!こんなところね!」
ストライクを決めたミミはガッツポーズを取り、ココア達は拍手をしていた。因みにミミはボーリングのプロレベルで、多くのスコアを叩き出した事もあるのだ。
(なんだミミ姉か……そう言えばボーリング得意だったもんな……)
零夜が安堵のため息をついて椅子に座ろうとした直後、離れたレーンでは三連続ストライクという記録を叩き出していた。しかもそのレーンでは接戦となっていて、どちらが勝ってもおかしくないのだ。
「今度は離れた場所でストライク三連続だ!」
「一体誰が……」
零夜と三上はそのレーンに向かった途端、なんとアミリスがストライクを連発していたのだ。初めてにしてストライクとはあり得ないぐらいだろう。
おまけにエヴァ達も参加している為、まさにブレイブペガサスの戦士達が全員集合となっているのだ。
(アミリス!?まさか彼奴等まで参加していたとは……いくら何でもここで集まるなんて有り得ないだろ!)
零夜が心の中で頭を抱えそうになる中、三上はアミリス達の姿に興味を持ち始める。エルフやワーウルフ、獣人族や人魚などの様々な種族がいる為、興味が沸くのも無理ないだろう。
「今の人達は凄く可愛いし、中には美しい人もいるもんだな……この世界にも異世界種族が来るとは驚いたな……」
「そ、そうだな……」
三上の興味津々に零夜が苦笑いする中、次はキララがやる事に。初心者である彼女が何処までやれるかが見物だが、すぐに投げようとする。
「それっ!」
キララが投げたボーリングの球は、全てのピンを倒してしまった。初心者ながらここまでするのは、アミリスと彼女しかいないだろう。
「おお!あの猫耳少女もやるじゃないか!可愛くてルックスも良いし!」
「そうか?まあ、可愛いのは確かだが……」
三上はキララにも興味を示すが、零夜は内心冷や汗を流しながらも同意する。これ以上詮索すれば、バレてしまうのも時間の問題。関わらない内に元の場所に戻るしかないだろう。
「ともかく!俺達もさっさとレーンに戻るぞ!それに次はお前の番じゃないのか?」
「そうだった!急げ!」
零夜からの指摘に、三上は慌てながら自身のレーンに戻る。その光景に零夜は安堵しながらも同様に動き出した。身内にバレてしまったら、騒動は確定だろう。
(危なかった。一時はどうなるかと思ったぜ……それにしても彼奴等がボーリングが上手いとは……俺もまだまだかも知れないな……)
零夜がため息をついた途端、ボーリングの球が飛んできて彼の背中に直撃した。いくら何でもあり得ない展開なのだが、ボーリングの球に激突すればかなり痛い。
「あがっ!」
零夜は背中を押さえながら蹲ってしまい、ボーリングの球は床に転がる。すると投げた張本人であるエヴァと倫子が駆け付け、すぐにボウリングの球を回収してきた。
「いつつ……なんでこうなるの!?」
「ごめんなさい。この子、初心者なので……あっ、零夜君!」
「いいっ!?エヴァ!?倫子さん!?」
零夜はエヴァと倫子の姿に驚きを隠せず、それを皮切りにルリカ達も反応して彼の元に駆け寄ってくる。まさかの事故でバレてしまうのも無理なかったのだろう。
「まさか零夜様も来ているなんて……」
「それよりも怪我の方は大丈夫なの?」
「なんとか……うっ!今の一撃で……」
零夜は立ち上がろうとするが、腰に痛みが走って再び蹲ってしまう。エヴァとルリカが治癒を開始し、この様子に美津代達は苦笑いをする。
「本当に災難ね。ボーリングの球を背中ぶつけてしまい、皆にバレるなんて」
「バレるどころか災難ですけど!こんな展開になるのは初めてですよ!」
美津代は苦笑いしながらこの状況を見ているが、零夜は悲痛な叫びをしていた。そりゃあんな災害を受けていたら、そうなるのも無理ないだろう。
更に最悪な展開は続き、騒ぎを聞いていたミミも零夜に気付く。彼が治癒されている事に気付き、急いで駆け寄ってきたのだ。
「あっ、零夜!あなたも来ていたの!?」
「ミミ姉まで!もう最悪だ……」
これで全員集合。零夜はがっくりと項垂れながら涙を流していた。せっかくの楽しいボーリングが一転し、最悪と涙のボーリングになってしまった。まさかこんなところで全員集合する羽目になるとは思わなかっただろう。
更にミミのダンス仲間も駆け付けてきて、じっと零夜を見つめている。
「ひょっとして、この人がミミの幼馴染なの?」
「幼馴染だけどね。プロレスラー目指して頑張っているけど、デビュー戦も決まったみたい!」
「「「ええーっ!?」」」
ミミの説明にココア達が驚きを隠せない中、零夜の治療が終わって彼はすぐに立ち上がった。短時間で完治したとなると、ルリカとエヴァの治癒能力がとても高いと感じているだろう。
「二週間後の戦いですけどね。さてと、そろそろ俺の番だから戻らせてもらいます」
零夜が自身のレーンに戻ろうとしたその時、三上がこちらに駆け寄ってきた。どうやら戻るのが遅い零夜を心配していたのだろう。
「東、そろそろ……へ!?」
「あ……バレてしまったか……」
三上はエヴァ達が零夜と知り合っている事にポカンとしてしまい、零夜はガックリと項垂れてしまう。それにミミ達は目を合わせながらキョトンとするしかなかった。
(今日はプロレスの練習は休みだからな。たまには羽根を伸ばすのもありかも)
零夜は心からそう思いながら、ボーリングの球を構えて指定されたレーンに向かう。ここのボーリングレーンは二フロアで五十レーンずつあるので、多くの人達が楽しんでいるのだ。
零夜はすぐにボーリングの球を投げ、レーンにあるピンを八本倒した。残りあと二本である。
「スペアになりそうだな」
零夜はすぐに戻ってきたボーリングの球を受け取り、そのまま二投目も二ピンを倒してスペアになった。基本的にはこんなところだ。
「やれやれ。問題なく終わる事ができたな」
「お疲れさん!」
零夜がベンチに座ろうとしたその時、隣のレーンでストライクの表示が出る。誰かがストライクを出したのだろう。
「おい、誰かがストライク出したぞ!」
「一体誰が……」
零夜が隣のレーンに視線を移した途端、知っている顔が目に映った。それはミミがいるダンスグループで、彼女達もボーリングに来ていたのだ。
「よっし!こんなところね!」
ストライクを決めたミミはガッツポーズを取り、ココア達は拍手をしていた。因みにミミはボーリングのプロレベルで、多くのスコアを叩き出した事もあるのだ。
(なんだミミ姉か……そう言えばボーリング得意だったもんな……)
零夜が安堵のため息をついて椅子に座ろうとした直後、離れたレーンでは三連続ストライクという記録を叩き出していた。しかもそのレーンでは接戦となっていて、どちらが勝ってもおかしくないのだ。
「今度は離れた場所でストライク三連続だ!」
「一体誰が……」
零夜と三上はそのレーンに向かった途端、なんとアミリスがストライクを連発していたのだ。初めてにしてストライクとはあり得ないぐらいだろう。
おまけにエヴァ達も参加している為、まさにブレイブペガサスの戦士達が全員集合となっているのだ。
(アミリス!?まさか彼奴等まで参加していたとは……いくら何でもここで集まるなんて有り得ないだろ!)
零夜が心の中で頭を抱えそうになる中、三上はアミリス達の姿に興味を持ち始める。エルフやワーウルフ、獣人族や人魚などの様々な種族がいる為、興味が沸くのも無理ないだろう。
「今の人達は凄く可愛いし、中には美しい人もいるもんだな……この世界にも異世界種族が来るとは驚いたな……」
「そ、そうだな……」
三上の興味津々に零夜が苦笑いする中、次はキララがやる事に。初心者である彼女が何処までやれるかが見物だが、すぐに投げようとする。
「それっ!」
キララが投げたボーリングの球は、全てのピンを倒してしまった。初心者ながらここまでするのは、アミリスと彼女しかいないだろう。
「おお!あの猫耳少女もやるじゃないか!可愛くてルックスも良いし!」
「そうか?まあ、可愛いのは確かだが……」
三上はキララにも興味を示すが、零夜は内心冷や汗を流しながらも同意する。これ以上詮索すれば、バレてしまうのも時間の問題。関わらない内に元の場所に戻るしかないだろう。
「ともかく!俺達もさっさとレーンに戻るぞ!それに次はお前の番じゃないのか?」
「そうだった!急げ!」
零夜からの指摘に、三上は慌てながら自身のレーンに戻る。その光景に零夜は安堵しながらも同様に動き出した。身内にバレてしまったら、騒動は確定だろう。
(危なかった。一時はどうなるかと思ったぜ……それにしても彼奴等がボーリングが上手いとは……俺もまだまだかも知れないな……)
零夜がため息をついた途端、ボーリングの球が飛んできて彼の背中に直撃した。いくら何でもあり得ない展開なのだが、ボーリングの球に激突すればかなり痛い。
「あがっ!」
零夜は背中を押さえながら蹲ってしまい、ボーリングの球は床に転がる。すると投げた張本人であるエヴァと倫子が駆け付け、すぐにボウリングの球を回収してきた。
「いつつ……なんでこうなるの!?」
「ごめんなさい。この子、初心者なので……あっ、零夜君!」
「いいっ!?エヴァ!?倫子さん!?」
零夜はエヴァと倫子の姿に驚きを隠せず、それを皮切りにルリカ達も反応して彼の元に駆け寄ってくる。まさかの事故でバレてしまうのも無理なかったのだろう。
「まさか零夜様も来ているなんて……」
「それよりも怪我の方は大丈夫なの?」
「なんとか……うっ!今の一撃で……」
零夜は立ち上がろうとするが、腰に痛みが走って再び蹲ってしまう。エヴァとルリカが治癒を開始し、この様子に美津代達は苦笑いをする。
「本当に災難ね。ボーリングの球を背中ぶつけてしまい、皆にバレるなんて」
「バレるどころか災難ですけど!こんな展開になるのは初めてですよ!」
美津代は苦笑いしながらこの状況を見ているが、零夜は悲痛な叫びをしていた。そりゃあんな災害を受けていたら、そうなるのも無理ないだろう。
更に最悪な展開は続き、騒ぎを聞いていたミミも零夜に気付く。彼が治癒されている事に気付き、急いで駆け寄ってきたのだ。
「あっ、零夜!あなたも来ていたの!?」
「ミミ姉まで!もう最悪だ……」
これで全員集合。零夜はがっくりと項垂れながら涙を流していた。せっかくの楽しいボーリングが一転し、最悪と涙のボーリングになってしまった。まさかこんなところで全員集合する羽目になるとは思わなかっただろう。
更にミミのダンス仲間も駆け付けてきて、じっと零夜を見つめている。
「ひょっとして、この人がミミの幼馴染なの?」
「幼馴染だけどね。プロレスラー目指して頑張っているけど、デビュー戦も決まったみたい!」
「「「ええーっ!?」」」
ミミの説明にココア達が驚きを隠せない中、零夜の治療が終わって彼はすぐに立ち上がった。短時間で完治したとなると、ルリカとエヴァの治癒能力がとても高いと感じているだろう。
「二週間後の戦いですけどね。さてと、そろそろ俺の番だから戻らせてもらいます」
零夜が自身のレーンに戻ろうとしたその時、三上がこちらに駆け寄ってきた。どうやら戻るのが遅い零夜を心配していたのだろう。
「東、そろそろ……へ!?」
「あ……バレてしまったか……」
三上はエヴァ達が零夜と知り合っている事にポカンとしてしまい、零夜はガックリと項垂れてしまう。それにミミ達は目を合わせながらキョトンとするしかなかった。
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