ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百二十八話 エイト・スレイヤーの取得

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 零夜達はエイト・スレイヤーを完璧にこなす為、何回も連携攻撃を繰り出している。更にルリカ達のサポートもある為、完成させる気持ちが更に強くなっているのだ。

「今、五回目じゃ!まだやる気か?」
「はい!お願いします!」

 零夜の宣言にエムールは強く頷き、すぐにモンスターを召喚する。その様子を風子達が真剣な表情で見ていた。

「だいぶコツが掴めてきたな。あと一回で成功するだろう」
「本当ですか?」

 風子の真剣な予測に、夢子達は疑問の表情で一斉に彼女に視線を移す。
 エイト・スレイヤーは完全に取得するのは時間が掛かる為、最低でも一週間は掛かる。しかし、僅か一日で成功するのはあり得ないと言えるし、その確率は低いと言えるだろう。
 夢子達は絶対一日で成功しないと予測するが、風子は零夜達が成功する事を信じていた。

「彼等を信じろ。必ず成功する!」

 風子が夢子に呼びかけた直後、零夜が村雨を構えながらモンスターを一刀両断で斬り裂いた。それはまさに忍者の如く見事な姿であり、英雄として相応しいと言えるだろう。
 そのまま零夜が地面に着地したと同時に、モンスターは消滅。その様子を見たエムールは拍手をしていた。

「お見事!今ので技を完全に取得したぞ!」
「「「ありがとうございます!」」」

 零夜達はエムールに褒められて一礼し、エイト・スレイヤーを取得した事を喜んで抱き合い始める。僅か数十分で成功したのは前例がなく、珍しい事としか言えないだろう。

「皆、お疲れ様!」
「お見事だったぜ!」
「美津代さん、サンペイ!」

 更に美津代とサンペイも零夜達の元に駆け付け、彼等が技を無事に取得した事を喜んでいた。同時に指を鳴らし、クーラーボックスを次々と召喚。中を開けると特製ドリンクが入っている容器が用意されていたのだ。

「さっ、これを飲んで体力を回復してね」
「ありがとうございます!」

 零夜達はドリンクを次々と美津代から受け取り、そのままゆっくりと飲み始める。それ程きつい訓練であった事には間違いないが、見事成し遂げる事ができたのだ。

「凄いです……まさか成功するなんて……」
「これがブレイブペガサスの実力なのじゃな……」
(成功したか……これは負けられないな……)

 零夜達の姿に夢子達は冷や汗を流していて、彼等の実力の素晴らしさを認めるしかなかった。風子に至っては負けられない思いが強くなり、自身も負けられないと心の底から燃え上がっているのだ。

「まさかここまで成功するとは見事じゃな。僅か二十分で取得するとは……今までなら二日以上は掛かっておったぞ」
「そうなんだ……でも、上手くできて良かったかもね」

 エムールがエイト・スレイヤーの取得日数を説明し、その内容にアミリスは納得しながら苦笑いをしていた。まさか一時間以内に早めに取得できるとは思わなかっただろう。

「更にこの技は仲間との絆、攻撃の威力、そして素早さの三つが揃わなければできない。しかし、お主達は全て取得してこの技を覚える事ができた。この技があれば、アルバータドラゴンやベルセルクも倒す事は可能じゃよ」

 最後にエムールが皆に対してアドバイスを送り、零夜達は笑顔の表情になる。アルバータドラゴンやベルセルクを倒せるエイト・スレイヤーを取得した以上、鬼に金棒で対策はバッチリだ。
  
「貴重な技を教えて貰ってありがとうございます!この技を駆使し、アルバータドラゴン、ベルセルクを必ず倒します!」 
「頼んだぞ、ブレイブペガサス!」
「「「はっ!」」」

 零夜が代表して宣言し、エムールからのエールに彼等は敬礼しながら応えた。これで零夜達の最強の技の取得は、無事に終了する事が出来たのだ。

「次はプリンセスヴァルキリーズじゃな。来てくれ」

 エムールに呼ばれた風子達は彼の前に移動し、礼儀正しく一礼する。それと同時に彼女達の技取得が始まりを告げられたのだ。

「では、お願いします」
「うむ。では、始めるぞ!」

 エムールは新たなモンスターを召喚し、風子達は連携の内容をどうするか話し合う。同時に零夜達はゆっくり身体を休める為、用意された部屋に移動し始めた。



「ふう……ようやく疲れが癒えてきたかな……」

 零夜達は用意された部屋に移動した後、タオルで身体を拭きながらゆっくり休んでいた。しかも、同室なので目のやり場には困るのも無理なく、零夜は目を合わせずに後ろを向いていたのだ。

「零夜。大丈夫だからこっちを向きなさいよ」
「いや、流石に……」

 エヴァの呼びかけに零夜は断固拒否している中、ルリカが彼に接近してじっと視線を移し合わせる。彼女は既に服を着ているから大丈夫だが、視線を合わせられるとドキッとしてしまうのは仕方がない事だ。

「零夜様。私の顔をよく見てください」
「ルリカ!?」

 ルリカの接近に零夜が驚いたその時、ミミ、エヴァ、美津代の三人も接近してきた。ルリカばかりいい展開させる訳にはいかないと、嫉妬心を出しながら今の行動に出ていたのだ。

「抜け駆けするな!」
「私だってやりたいのに!」
「私も!」
「おい、落ち着け!」

 四人がギャーギャー言い争う展開に、倫子達は苦笑いしてしまう。零夜の恋のバトルは日常茶飯事となっていて、彼女達はこの光景にすっかり慣れてしまったのだ。

「まあ、なんというか……これがいつもの私達かもね」
「まあ、その方が良いと思うぜ」
「そうなのか……?」

 倫子とサンペイの苦笑いに皆も頷く中、ライカは唖然としながらルリカ達の言い争いを見ていた。初めて見る人にとっては唖然としてしまうのも無理なく、ただポカンとするしかないだろう。

「まあ、取り敢えずは落ち着いたし、風子達はどうなったのか見てみよう」
「そうだな……」

 トラマツとノースマンが風子達の様子を見に行こうとしたその時、彼女達が部屋に入ってきた。その様子だと汗一つかかず、冷静な表情をしていた。

「もう終わったのか?」
「ああ。一回で成功した!私達も技を取得する事が出来た」
「「「一回!?」」」

 風子の笑みの報告に、零夜達は一斉に驚いてしまった。まさか一発で最強の技を取得するのは予想外であるが、汗一つかいていないのはその事だと納得していた。

「いくらなんでも規格外過ぎるでしょ……」
「まあ、私達も成長しているし、風子さんの指示がなければ成功しなかったわ」
「私もです。良いリーダーに巡り会えて良かったです!」

 ミミが唖然とした表情で呆然としていて、アナとメイリーが笑顔で応える。すると、フリードが慌てながら駆け付けてきて、呼吸を整えながら前を向く。

「フリード、どうしたの?」
「大変だ!アルバータドラゴンが……こちらに向かってくるぞ!」
「「「ええっ!?」」」

 フリードからの突然の報告に誰もが驚いてしまい、同時にアルバータドラゴンとの戦いも始まりを告げようとしていたのだった。
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