上 下
129 / 277
第四章 エルフの森の怪物騒動

第百二十七話 最強技の取得

しおりを挟む
 翌朝、エルフの森の中にある広場では、ライカがエヴァ達にこれまでの事を説明していた。その内容に彼女達は驚きを隠せず、ざわついてしまうのも無理なかった。

「そんな事があったなんて……」
「全て事実だ。更にアルバータドラゴンが基地から脱走したとなると、すぐにこの場所に来る可能性があるだろう。」

 ライカの真剣な推測に零夜達は真剣な表情をしていて、油断大敵だという事を実感する。アルバータドラゴンが脱走したとなると、今からでも襲い掛かる可能性があり得る。そうなると激しい戦いになるのは避けられないのだ。

「あっ、お祖父ちゃん」
「全員揃っているな。始めるぞ!」

 するとエムールが姿を現し、零夜達は彼等に視線を移す。それと同時に伝授される技の説明が始まり、エムールからの話を真剣な表情で聞き始める。

「良いか?今回伝授する技は、八人での合体技であるエイト・スレイヤーじゃ。その技を上手く活用できるかはお主等次第となる」

 エムールからの説明に、零夜は納得の表情をしながら頷く。
 内容はこうなっている。一人が敵を打ち上げたと同時に、六人が次々と連続でダメージを与える。そのまま最後の一人が敵を真っ二つに切り裂き、着地したと同時に消滅。どんな敵でも倒せる確率が高いが、成功するには連携がカギとなるのだ。

「では、早速始めるぞ!」

 エムールは魔術でモンスターを召喚し、零夜達は円陣を組んで作戦を話し合う。それ程この技は一つのミスが命取りとなる為、事前に計画を立てる必要があるのだ。

「エヴァが上空に打ち上げ、アミリス、ヒカリさん、ソニア、倫子さん、ミミ姉、ジャンヌがダメージを与え、そして俺が真っ二つに切り裂く!」
「分かったわ!早速始めましょう!」

 エヴァはモンスターに接近し、そのまま軽々と両手で持ち上げる。

「せーの!」

 そのまま上空へと投げ飛ばし、アミリス達が一斉に空を飛び始めた。

「喰らいなさい!ガトリングアロー!」

 アミリスは宙を浮かんでいるモンスターに狙いを定め、弓矢の連続射撃で次々とダメージを与える。

「一気に決めるわ!断罪一閃!」

 ヒカリは断罪の剣と光の盾を構え、強烈な斬撃をモンスターに炸裂させる。今の一撃は悪の心を持つ者に効果は抜群で、大型モンスターでも大ダメージは確定だ。

炎竜爪撃えんりゅうそうげき!」

 ソニアは空を飛びながら炎の三叉型カタールである「ラハブ」を構え、炎の斬撃でダメージを与えていく。

「これはおまけだ!炎魔脚えんまきゃく!」

 更にソニアは左足に炎を纏いつつ、モンスターに強烈なキックを繰り出した。今の一撃は火傷レベルではすまないだけでなく、全身に引火させる事が可能なのだ。
 当然モンスターは全身に引火してしまい、あっという間に火達磨になる。それを見たミミはリングブレードを変化させ、水属性の新たなリングブレードである「水虎」になったのだ。

「喰らいなさい!水神演舞すいじんえんぶ!」

 ミミの水の剣舞斬撃が見事決まり、その一撃で火も消えて鎮火してしまった。しかし、与えたダメージはかなり大きく、モンスターの耐久力も減っているのだ。

「参ります!ホーリーストライク!」

 ジャンヌは光属性のトライデントランスである「ルミエーレ」を強く構え、強烈な突き攻撃でモンスターにダメージを与える。更に光の電撃も炸裂し、追い討ちをかけたと同時に間合いを取った。 
 ラストは零夜が村雨を構えながら跳躍し、刀身にオーラを込めて振り下ろし始める。

「最後は俺だ!快刀乱麻かいとうらんま!」

 そのまま村雨を振り下ろしながらモンスターを一刀両断し、零夜は地面に着地して刀を鞘に収める。同時にモンスターも消滅して塵となった。

「今のはスピードが遅かったな。もう少し速度を早めるぞ!」
「「「おう!」」」

 零夜は今の攻撃に納得できず、もう少し攻撃のスピードを上げる事を宣言。それにミミ達も掛け声を上げながら付き合う事を決断した直後、ルリカ達パートナーメンバーが駆け寄ってきた。

「私達も協力します!人数が多い程威力も増しますし、ここはユニゾンレイドを放てば楽にできるのでは無いでしょうか?」
「「「ユニゾンレイド?」」」

 ルリカが協力する事を決断し、ユニゾンレイドという魔術を提案。しかし、零夜率いる地球組は、疑問の表情で分からなくなるのも無理なかった。

「ユニゾンレイドというのは、複数の人数で合体魔術を放つ事。私達パートナーチームは事前に練習し、見事取得したわ」
「へ!?本当なのか!?」

 マーリンの説明に零夜達は納得するが、彼女達が事前に取得していた事に驚きを隠せずにいたのだ。
 マーリン達もただパートナーを支えるだけでなく、自らの力で立ち向かう強い意志を持っている。このまま成長すれば化けるだけでなく、戦力としては欠かせないだろう。

「ええ。私達が敵に対してユニゾンレイドをした直後、エヴァさんがそのまま敵を投げ飛ばしてください」
「後は先程やった通りと同じ展開ね。じゃあ、それで行きましょう!」

 ルリカの説明にエヴァ達は納得の表情で頷き、彼女はエムールに対してモンスターの追加を依頼する。

「エムールさん、追加お願いします!」
「よし!成功するまで何度もやるぞ!」

 エヴァの合図と同時に、エムールは再びモンスターを召喚。そのままルリカ達パートナーメンバーはモンスターを囲み始め、それぞれの魔術を駆使して合体攻撃を決め始める。

「「「ユニゾンレイド!」」」

 ルリカ達の合体魔術が発動され、彼女達の手から強烈な光線が発射される。そのままモンスターにダメージを与えた直後、エヴァが駆け出したと同時に合体攻撃が再び始まりを告げられたのだ。

「皆、精一杯頑張っているみたいね」
「ああ。最初はどうなるのか不安だったが、今では協力し合いながら戦っている」
「それだけ成長したという事だな」

 この様子を美津代は感心しながら見ていて、トラマツやノースマンも零夜達の成長を実感していた。
 選ばれし戦士としてのサポートを担当する様になってから、数ヶ月が経過している。今ではレベルや技の種類も増えただけでなく、連携や団結力も向上しているのだ。

「なるほど……こりゃもしかすると……一日足らずで完璧にマスターできるかも知れんのう……」

 エムールも零夜達の動きに感心しながら、最速でできるんじゃないかと予測する。
 この技は普通だったら長い期間を掛けていて、僅か一週間ぐらいで完成をする。しかし、零夜達は最初から見事な連携を見せていて、ほぼ完成に近い動きをしていた。この様子だと完全に取得するのも時間の問題である。

「よし!まだまだ行くぞ!エムールさん、次をお願いします!」
「任せろ!」

 零夜の掛け声にエムールは真剣な表情で頷き、次のモンスターを召喚した。彼等ならアルバータドラゴンやベルセルクを倒す事を信じながら……
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、 帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。 性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、 お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。 (こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)

処理中です...