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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百十九話 エルフの森への到着

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 零夜達がクラルーラの洞穴を抜けた途端、そこは林の中となっていた。この先にエルフの森がある様で、目印となる看板も建てられている。

「この先がエルフの森よ。皆、付いてきて」

 アミリスの合図と同時に、全員が彼女達に付いていく。すると、近くに変わった果物の木が生えていた。見た目はりんごだが、色は黒かった。

「なんだありゃ?」

 零夜は黒いりんごが気になるが、それを見たマーリンはその果物の正体を察する。

「あのりんごはブラックアップル。爆弾りんごと言われているわ」
「「「爆弾りんご!?」」」

 マーリンの説明に零夜達地球組は驚きを隠せずにいたが、風子は冷静な表情でブラックアップルの木を見ていた。

「武器として使っているけど、あまりにも高威力で死ぬ可能性もあり得るわ」
「危険な武器じゃねーか!こんな植物植えるな!」

 風子の質問にマーリンは横を向きながら答えてしまい、零夜がツッコミを入れてしまう。こんなりんごが現代世界に存在したら、大パニックは確定。更には自然形態もとんでもない事になるだろう。
 おまけに武器として使われたら大パニックになるのは確定で、その被害額は想像もつかないぐらいだ。

「無駄話はそこまでにして、先に進みましょう」

 ジャンヌの合図に全員が頷き、彼女達はそのままエルフの森へと再び歩み始めた。



 それから数分後、零夜達はエルフの森に到着した。 
 そこは木の家があちこちに多く建てられていて、エルフ達が沢山住んでいる。更に小鳥のさえずりが聞こえていて、穏やかな風も吹いていた。

「ここがエルフの森……凄いところね」
「うん。森の中に多く家があるからね」

 ヒカリとミミは目の前の光景を見ながら、辺りをゆっくりと見回している。そんな中、エルフ達がアミリスに視線を移し、驚きの表情をしていたのだ。

「おお、アミリス!帰ってきたのか!」
「待ちくたびれたぜ!それに仲間も連れてきたのか!」
「ええ!皆、只今!」

 アミリスが笑顔で応えたその時、エルフ達が次々と駆け付けて彼女を取り囲み始める。どうやら彼女が帰ってきた事で嬉しさを爆発させていたのだろう。
 アミリスは仲間達に囲まれながら笑みを浮かべていて、駆け寄ってきた子供達は抱き寄せて頭を撫でていた。

「アミリス、凄い人気だな……」
「故郷への凱旋だからね。こうなるのも無理ないよ」
「彼女も嬉しそうな表情をしているしね」

 この光景をトラマツ達が微笑みながら見つめる中、長老が彼等に視線を移す。彼は金髪でお爺さんぐらいだが、まだまだ元気そうで平然と歩いていた。

「お前さん達がアミリスの仲間なのか」
「そうですが……」

 長老からの質問に零夜が代表しながら答え、アミリスが長老の隣に移動する。

「彼の名前はエムール。私のお祖父ちゃんでこの森の長老様なの!」
「「「ええっ!?」」」

 アミリスがエムールを紹介し、その内容に零夜達は一斉に驚いてしまう。驚いてなかったのはマーリン、ソニア、杏の三人で、彼女達は以前にも会った事があるのだ。

「じゃあ、アミリスは長老様の孫娘なのか!敬語で言った方が良いのかな?」
「いや、そう言うのは良いからね」

 サンペイの推測にアミリスはツッコミを入れ、その様子に美津代達は苦笑いをしていた。まあ、長老様の孫娘に関しては驚くのも無理ないが、普通に接して欲しいのはアミリスの願いでもあるのだ。

「お主等が選ばれし戦士達という事は聞いておる。しかも、ホムラとロベリアを解放させたのは見事であり、うちの孫娘と仲良くしてくれた事には感謝する」
「我々は違うが……」

 エムールからの褒め言葉と感謝に、風子は苦笑いしながら否定する。彼女達はホムラとロベリアの戦いには参加せず、別の場所で戦っていたのだ。それは何処なのかは分からないが。

「じゃあ、風子達は何処で戦っていたの?」

 アナが気になる事を風子に質問し、彼女はその事について説明し始める。

「確か零夜達がロベリアを解放させた頃だ。今からそれを話すとしよう」

 風子は今までの事を思い出しながら、これまでの事を話し始める。
 風子と夢子はリリアンヌと出会い、彼女と共にグラディアスに向かっていた。そこでセリア、天狐、アルビダと出会い、彼女達と共にアークスレイヤーのアジトを潰しに向かったそうだ。
 風子の真剣な説明に、アナ達は興味津々に話を聞き始める。更にトラマツに至っては彼女達の動向に興味を示していて、ウインドウを開きながら現在の状況を確認していた。

「まずはカルシュラスに赴き、五人の力で見事解放する事ができた。ボスであるシュマロは甘いお菓子を使った敵だったが、私にとっては問題なかったな」
「「「いいな……」」」

 風子は苦笑いしながら最初の戦いを振り返るが、ミミ達は羨ましそうな表情で頬を膨らましていた。
 シュマロの様なお菓子を出してくる敵は中々いないので、羨ましさを感じてしまうのも無理ないだろう。それに女性は甘い物には目がないので、同情するのも無理ないだろう。

「雷炎ではアスタールというボスがいて、この件に関しては天狐と夢子の連携で見事勝利した」
「夢子の魔術がなかったら、今の妾達はここにおらんかったからのう」

 風子の説明を聞いた天狐は、アスタールでの出来事を振り返りながら夢子を褒めていた。それを聞いた彼女は照れ臭そうに頬を掻き、セリアとアルビダは微笑んでいた。
 夢子の魔術はトップクラスの実力を持っている為、どんな敵でも一歩も引かない勇敢さも兼ね揃えているのだ。

「となると……グリードについてはヒューゴ達が倒しに向かっているから……後はアルフェリアを落とせば、グラディアスは本部だけだな」

 トラマツはウインドウのマップで現在の状況を確認し、納得の表情をしていた。
 カルキュラスと雷炎は風子達が陥落させ、零夜達はホムラとロベリアを解放させた。そしてヒューゴ達はグリードを解放する為に向かっていて、残るはアルフェリアのみとなっているのだ。

「だったらアルバータドラゴンを倒す事に集中しましょう!アルフェリア基地の壊滅はその後よ」
「美津代さんの言う通りだな。まずは奴の行方を探らないと!」

 零夜はすぐにアルバータドラゴンの行方を探し始めようとしたその時だった。


「なるほど……アンタ達が選ばれし戦士達か……噂には聞いているよ」
「その声……!」


 アミリスが声のした方に気付いた途端、木の上に座っているエルフの姿が見えた。狩人の姿をしていて、赤い帽子を被っている。

「フリード!」
「久し振りだな」

 フリードと呼ばれた男の姿にアミリスは驚きを隠せず、彼は木から飛び降りて彼女に近付いてきた。

「アミリスが選ばれし戦士としているのは聞いているし、俺としても良かったと思っている。だが、その中の一人である忍者がどうなのかなと感じているけどな」

 フリードの発言を聞いた零夜は思わず反応してしまったその時、ミミがガブリとフリードの頭に噛み付いた。しかも帽子は既に取られているのだ。

「いだーっ!」
「零夜を馬鹿にするのは許さないわよ!」
「ごめんなさーい!俺が悪かったですー!」

 ミミに噛み付かれたフリードは、走り回りながら謝罪をしてしまう。その光景にエムール達は唖然とするしかなく、彼は零夜の方に視線を移す。

「お主も大変じゃな」
「ウチの仲間がすいません……」

 エムールは零夜に対して憐れみの目を向け、彼は素直に謝罪をしたのだった。
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