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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百十二話 零夜VS風子

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 零夜と風子の戦いは、最初から白熱の展開となっていた。忍者刀と日本刀がぶつかり合って火花を散らし、激しい接戦を繰り広げている。リーダー同士の戦いは熱戦となっているとしか言えないだろう。

「やはりそう簡単にはいかないか!なら、こいつで!」

 零夜は忍者刀を村雨に変化させ、そのまま刀身に水のオーラを纏い始める。攻撃力の倍増は勿論、与えるダメージも一撃必殺の威力にまで増している。この一撃を喰らったらひとたまりもないだろう。
 しかし、風子は笑みを浮かべていて、強者と出会った喜びを感じているのだ。

「考えたな。では……私も変化させよう!」

 風子の日本刀も変化し始め、絡繰機械の刀へと変化した。刀身には歯車の絵が刻まれていて、刀鍔は歯車の形をしている。すると刀鍔の歯車が回転し、刀身の長さが縮み始めて忍者刀の長さになった。

「その刀は……」
絡繰刀からくりがたなだ。行くぞ!」

 風子は素早く駆け出したと同時に、猛攻を仕掛けながら零夜を追い詰めていく。しかし彼も負けじと攻撃を弾き返し、刀の先が彼女の服を切り裂いたのだ。

(掠めたか……そう簡単にはいかないみたいだ……)

 零夜は素早く風子から間合いを取り、そのまま真剣な表情をしながら武器を苦無に切り替える。そのまま彼は苦無の乱れ投げで彼女に投げ飛ばすが、尽く避けられてしまう。

「今だ!」

 すかさず零夜が忍者刀を構えて風子に接近し、斬り裂きダメージを彼女に炸裂する事に成功した。

「おーっと!先手を取ったのは零夜選手だ!」
「当たりました!」
「凄い……!」

 ラビリンの実況が響き渡り、観客席にいるルリカ達が驚きを隠せずに興奮してしまう。その様子を見たメディアは頷きながら笑顔を見せていた。

「零夜の素早い切り返しが上手くいったみたいね。後は彼がこの戦いをどう組み立てるのか楽しみだわ」

 メディアが零夜の行動を感心したその時、ヴァルキリーズのメンバー脱落が表示された。どうやら女海賊のアルビダがジャンヌにやられたみたいだ。

「ここでアルビダがやられてしまいました!ヴァルキリーズは残り七人!」
「ジャンヌ!やったわね!」

 メディアがジャンヌの行動にグッドサインをしている中、別のところでも戦いが繰り広げられていた。


 
 エヴァはドワーフ族のセリアと殴り合いの対決を行い、激しい戦いを繰り広げられていた。パワー対決となるこの戦いは、どれだけの持久力が試されるかになる。しかし、セリアもエヴァと同じく怪力の為、一歩も引かない展開になるだろう。

「倒れなさいよ……!」
「負けられない!」

 二人は取っ組み合いながら力比べをし始め、今後も激しい戦いが予測される。どちらのパワーが強いのかがカギとなるが、いい試合になる事は間違いないだろう。



 ソニアと倫子はタッグを組み、ポーラと九尾の天狐のタッグと戦っていた。連携がカギとなるこの戦いは、隙をどの様に掴み取るかがポイントだ。

「妾の妖術を甘く見るな!秘技ひぎ紅蓮炎舞ぐれんえんぶ!」

 天狐は舞いながら炎を次々と発動させ、そのまま倫子に向けて放ってきた。しかし彼女は次々と華麗な動きで回避し、ウィザードガントレットから水の波動を繰り出し始める。

「アクアストーム!」

 水の波動が竜巻へと変化し、そのまま天狐に襲い掛かる。彼女は竜巻に巻き込まれて水の大ダメージを受けてしまい、そのままバタンキューとうつ伏せに倒れてしまった。

「天狐、やられる!ヴァルキリーズ、ピンチが続いています!」
「うう……」

 天狐はそのまま敗者ゾーンへ転移されてしまい、ヴァルキリーズは残り六人となってしまった。

「やってくれるわね!」

 ポーラが剣を構えて跳躍し、空中回転しながら倫子に襲い掛かる。ところがソニアが前に出て、彼女の攻撃をカタールで弾き返してしまった。

「倫子!お前は零夜の援護に向かえ!敵陣突入はジャンヌがどうにかしてくれる!」
「了解!すぐに向かうで!」

 倫子は零夜の元へと向かいつつ、ソニアはポーラに視線を移して真剣な表情をする。目の前を敵は倒して置かなければ、先には進めないからだ。

「ここからは一騎打ちだ!準備はいいか?」
「言われなくてもそのつもりよ!」

 両者は睨み合いながら同時に飛び出し、そのまま激しい一騎打ちを繰り広げ始めた。



 零夜と風子の戦いはまだ続いていて、一歩も引かない互角の展開となっていた。お互いの武器がぶつかり合う展開となるが、二人はそのまま武器を鞘に収めてしまった。

「どうやらこれは……殴り合いしかないですね!」
「そうだな。じゃあ……本格的にやるぞ!」

 零夜は日本拳法の構えを取り、風子は空手の構えを取る。一触即発の状態となる中、両者は同時に飛び出してしまった。

「ここで同時に飛び出した!殴り合いの行方はどうなるのか!?」

 ラビリンの実況に観客席が興奮度マックスとなったその時だった。


「そこまでだ!」
「「「!?」」」


 なんと突然の声に全員が思わず声のした方を見る。そこには一人の男が姿を現し、ギロリとした目をしていた。
 零夜と風子は戦闘を解除し、すぐに男に視線を移す。彼の姿は骸骨で、ボディースーツを着用していた。

「貴様は何者だ!」
「俺の名はアークスレイヤーアルフェリア支部所属、スカルキッド!ボスであるヒューラー様からの命令で、お前等を始末しに来た!覚悟しろ!」
「乱入者か……ふっ!」
「ごへら!」

 スカルキッドはナイフを構えながら零夜達に襲い掛かるが、風子が跳躍したと同時にスカルキッドの顔面に蹴りを入れたのだ。

「おーっと!突如現れた乱入者により、試合はノーコンテストに!しかし、風子選手の蹴りで乱入者はダメージを受けてしまった!」

 ラビリンの実況が興奮ながらに響き渡る中、風子は日本刀を鞘から引き抜いた。同時に刀身にオーラを放たれたと同時に変形し、雷の刀である獅子雷神ししらいじんへと変化したのだ。
 その刀は獅子のオーラを纏っていて、最大威力を誇る伝説の剣と言われているのだ。

「試合の邪魔をする奴には容赦なく倒すのみだ!獅子奮迅ししふんじん!」
「ガハッ!こ、これ程まで強かったとは……畜生……」

 風子の斬撃がスカルキッドを斬り裂き、彼はそのまま血を吐いて消滅してしまった。彼女の実力はこんな物ではなく、更なる進化が期待されるだろう。

(風子さんは強い……しかし、今のままでは追いつけないどころか、更に突き放されてしまう恐れもある……更に自身をレベルアップしなければ、彼女に追いつく事はできないだろうな……)

 零夜は自身の胸に手を当てながら、自身の無力さを嘆いていた。それを見た風子は彼に近付き、よしよしと頭を撫で始める。

「気持ちは分かる。トーナメントまで時間がある以上、ゆっくり考えた方が良い。今はアークスレイヤー討伐だ!すぐに作戦会議を開くぞ!」
「はい!」

 零夜は真剣な表情で応えた後、全員はその場から強制転移した。今回の試合はノーコンテストで終わったが、その続きは実現できるのか?それは……両チームがトーナメントに進まなければ分からないだろう。
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