ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

文字の大きさ
上 下
114 / 277
第四章 エルフの森の怪物騒動

第百十二話 零夜VS風子

しおりを挟む
 零夜と風子の戦いは、最初から白熱の展開となっていた。忍者刀と日本刀がぶつかり合って火花を散らし、激しい接戦を繰り広げている。リーダー同士の戦いは熱戦となっているとしか言えないだろう。

「やはりそう簡単にはいかないか!なら、こいつで!」

 零夜は忍者刀を村雨に変化させ、そのまま刀身に水のオーラを纏い始める。攻撃力の倍増は勿論、与えるダメージも一撃必殺の威力にまで増している。この一撃を喰らったらひとたまりもないだろう。
 しかし、風子は笑みを浮かべていて、強者と出会った喜びを感じているのだ。

「考えたな。では……私も変化させよう!」

 風子の日本刀も変化し始め、絡繰機械の刀へと変化した。刀身には歯車の絵が刻まれていて、刀鍔は歯車の形をしている。すると刀鍔の歯車が回転し、刀身の長さが縮み始めて忍者刀の長さになった。

「その刀は……」
絡繰刀からくりがたなだ。行くぞ!」

 風子は素早く駆け出したと同時に、猛攻を仕掛けながら零夜を追い詰めていく。しかし彼も負けじと攻撃を弾き返し、刀の先が彼女の服を切り裂いたのだ。

(掠めたか……そう簡単にはいかないみたいだ……)

 零夜は素早く風子から間合いを取り、そのまま真剣な表情をしながら武器を苦無に切り替える。そのまま彼は苦無の乱れ投げで彼女に投げ飛ばすが、尽く避けられてしまう。

「今だ!」

 すかさず零夜が忍者刀を構えて風子に接近し、斬り裂きダメージを彼女に炸裂する事に成功した。

「おーっと!先手を取ったのは零夜選手だ!」
「当たりました!」
「凄い……!」

 ラビリンの実況が響き渡り、観客席にいるルリカ達が驚きを隠せずに興奮してしまう。その様子を見たメディアは頷きながら笑顔を見せていた。

「零夜の素早い切り返しが上手くいったみたいね。後は彼がこの戦いをどう組み立てるのか楽しみだわ」

 メディアが零夜の行動を感心したその時、ヴァルキリーズのメンバー脱落が表示された。どうやら女海賊のアルビダがジャンヌにやられたみたいだ。

「ここでアルビダがやられてしまいました!ヴァルキリーズは残り七人!」
「ジャンヌ!やったわね!」

 メディアがジャンヌの行動にグッドサインをしている中、別のところでも戦いが繰り広げられていた。


 
 エヴァはドワーフ族のセリアと殴り合いの対決を行い、激しい戦いを繰り広げられていた。パワー対決となるこの戦いは、どれだけの持久力が試されるかになる。しかし、セリアもエヴァと同じく怪力の為、一歩も引かない展開になるだろう。

「倒れなさいよ……!」
「負けられない!」

 二人は取っ組み合いながら力比べをし始め、今後も激しい戦いが予測される。どちらのパワーが強いのかがカギとなるが、いい試合になる事は間違いないだろう。



 ソニアと倫子はタッグを組み、ポーラと九尾の天狐のタッグと戦っていた。連携がカギとなるこの戦いは、隙をどの様に掴み取るかがポイントだ。

「妾の妖術を甘く見るな!秘技ひぎ紅蓮炎舞ぐれんえんぶ!」

 天狐は舞いながら炎を次々と発動させ、そのまま倫子に向けて放ってきた。しかし彼女は次々と華麗な動きで回避し、ウィザードガントレットから水の波動を繰り出し始める。

「アクアストーム!」

 水の波動が竜巻へと変化し、そのまま天狐に襲い掛かる。彼女は竜巻に巻き込まれて水の大ダメージを受けてしまい、そのままバタンキューとうつ伏せに倒れてしまった。

「天狐、やられる!ヴァルキリーズ、ピンチが続いています!」
「うう……」

 天狐はそのまま敗者ゾーンへ転移されてしまい、ヴァルキリーズは残り六人となってしまった。

「やってくれるわね!」

 ポーラが剣を構えて跳躍し、空中回転しながら倫子に襲い掛かる。ところがソニアが前に出て、彼女の攻撃をカタールで弾き返してしまった。

「倫子!お前は零夜の援護に向かえ!敵陣突入はジャンヌがどうにかしてくれる!」
「了解!すぐに向かうで!」

 倫子は零夜の元へと向かいつつ、ソニアはポーラに視線を移して真剣な表情をする。目の前を敵は倒して置かなければ、先には進めないからだ。

「ここからは一騎打ちだ!準備はいいか?」
「言われなくてもそのつもりよ!」

 両者は睨み合いながら同時に飛び出し、そのまま激しい一騎打ちを繰り広げ始めた。



 零夜と風子の戦いはまだ続いていて、一歩も引かない互角の展開となっていた。お互いの武器がぶつかり合う展開となるが、二人はそのまま武器を鞘に収めてしまった。

「どうやらこれは……殴り合いしかないですね!」
「そうだな。じゃあ……本格的にやるぞ!」

 零夜は日本拳法の構えを取り、風子は空手の構えを取る。一触即発の状態となる中、両者は同時に飛び出してしまった。

「ここで同時に飛び出した!殴り合いの行方はどうなるのか!?」

 ラビリンの実況に観客席が興奮度マックスとなったその時だった。


「そこまでだ!」
「「「!?」」」


 なんと突然の声に全員が思わず声のした方を見る。そこには一人の男が姿を現し、ギロリとした目をしていた。
 零夜と風子は戦闘を解除し、すぐに男に視線を移す。彼の姿は骸骨で、ボディースーツを着用していた。

「貴様は何者だ!」
「俺の名はアークスレイヤーアルフェリア支部所属、スカルキッド!ボスであるヒューラー様からの命令で、お前等を始末しに来た!覚悟しろ!」
「乱入者か……ふっ!」
「ごへら!」

 スカルキッドはナイフを構えながら零夜達に襲い掛かるが、風子が跳躍したと同時にスカルキッドの顔面に蹴りを入れたのだ。

「おーっと!突如現れた乱入者により、試合はノーコンテストに!しかし、風子選手の蹴りで乱入者はダメージを受けてしまった!」

 ラビリンの実況が興奮ながらに響き渡る中、風子は日本刀を鞘から引き抜いた。同時に刀身にオーラを放たれたと同時に変形し、雷の刀である獅子雷神ししらいじんへと変化したのだ。
 その刀は獅子のオーラを纏っていて、最大威力を誇る伝説の剣と言われているのだ。

「試合の邪魔をする奴には容赦なく倒すのみだ!獅子奮迅ししふんじん!」
「ガハッ!こ、これ程まで強かったとは……畜生……」

 風子の斬撃がスカルキッドを斬り裂き、彼はそのまま血を吐いて消滅してしまった。彼女の実力はこんな物ではなく、更なる進化が期待されるだろう。

(風子さんは強い……しかし、今のままでは追いつけないどころか、更に突き放されてしまう恐れもある……更に自身をレベルアップしなければ、彼女に追いつく事はできないだろうな……)

 零夜は自身の胸に手を当てながら、自身の無力さを嘆いていた。それを見た風子は彼に近付き、よしよしと頭を撫で始める。

「気持ちは分かる。トーナメントまで時間がある以上、ゆっくり考えた方が良い。今はアークスレイヤー討伐だ!すぐに作戦会議を開くぞ!」
「はい!」

 零夜は真剣な表情で応えた後、全員はその場から強制転移した。今回の試合はノーコンテストで終わったが、その続きは実現できるのか?それは……両チームがトーナメントに進まなければ分からないだろう。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移で無双したいっ!

朝食ダンゴ
ファンタジー
交通事故で命を落とした高校生・伊勢海人は、気が付くと一面が灰色の世界に立っていた。 目の前には絶世の美少女の女神。 異世界転生のテンプレ展開を喜ぶカイトであったが、転生時の特典・チートについて尋ねるカイトに対して、女神は「そんなものはない」と冷たく言い放つのだった。 気が付くと、人間と兵士と魔獣が入り乱れ、矢と魔法が飛び交う戦場のど真ん中にいた。 呆然と立ち尽くすカイトだったが、ひどい息苦しさを覚えてその場に倒れこんでしまう。 チート能力が無いのみならず、異世界の魔力の根源である「マナ」への耐性が全く持たないことから、空気すらカイトにとっては猛毒だったのだ。 かろうじて人間軍に助けられ、「マナ」を中和してくれる「耐魔のタリスマン」を渡されるカイトであったが、その素性の怪しさから投獄されてしまう。 当初は楽観的なカイトであったが、現実を知るにつれて徐々に絶望に染まっていくのだった。 果たしてカイトはこの世界を生き延び、そして何かを成し遂げることができるのだろうか。 異世界チート無双へのアンチテーゼ。 異世界に甘えるな。 自己を変革せよ。 チートなし。テンプレなし。 異世界転移の常識を覆す問題作。 ――この世界で生きる意味を、手に入れることができるか。 ※この作品は「ノベルアップ+」で先行配信しています。 ※あらすじは「かぴばーれ!」さまのレビューから拝借いたしました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

十人十色の強制ダンジョン攻略生活

ほんのり雪達磨
ファンタジー
クリアしなければ、死ぬこともできません。 妙な部屋で目が覚めた大量の人種を問わない人たちに、自称『運営』と名乗る何かは一方的にそう告げた。 難易度別に分けられたダンジョンと呼ぶ何かにランダムに配置されていて、クリア条件を達成しない限りリスポーンし続ける状態を強制されてしまった、らしい。 そんな理不尽に攫われて押し付けられた人たちの強制ダンジョン攻略生活。

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...