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第四章 エルフの森の怪物騒動

第百十一話 最強のライバルの降臨

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 風子の姿に誰もが息を呑んでいて、中には冷や汗まで流している者もいた。彼女が実力のある女侍だと知った以上、そうなるのも無理はない。

「地球ブロックは私達だけかと思ったのに、まさかもう一組いるなんて……」
「しかも、月華の女侍の異名を持つなんて驚いたわ」
「ええ……それに……零夜様の働いている会社の社長令嬢だとは知りませんでした……」 

 アミリス達がざわつきながら風子の姿に動揺する中、彼女は冷静な表情で皆に視線を移していた。

「そう固くなるな。いきなり驚かせてしまった事はすまなかった。ここは肩の力を抜いて楽になってくれ」

 風子の親切なアドバイスを受けたアミリス達は、言われた通りに肩の力を抜き始める。すると、リラックス効果で緊張感が無くなり、気持ちも落ち着いてきたのだ。

「ありがとう……助かったわ」
「気にするな。さて、今回私がここに来たのは、我々の仲間集めだけではない。貴殿達の実力を確かめに来たのは勿論、アークスレイヤーのアジトの事を話す事だ。奴等については私達も警戒しているからな」

 風子は真剣な表情でここに来た理由を説明し、其の場にいる全員が納得をする。確かに彼女達の実力も知らなければ、この先の戦いにおいての改善や強化方法なども得られない。何よりライバルを知る事もできるので、まさに一石二鳥だ。

「そうだったのですね。でも、勝負方法はどうします?」

 風子の説明に納得するが、肝心の勝負方法はどうなるかだ。零夜達は百人ぐらいのメンバーが多くいて、風子の方はポーラ、アナ、メイリーを含めて四人しかいない。いくらなんでも無理があるのは確定だ。

「それなら選ばれし戦士達による宿命の戦い。バトルオブスレイヤーで決着を着けよう」
「「「バトルオブスレイヤー?」」」

 風子が決着方法の内容を提案するが、倫子達は首を傾げていた。その様な戦い方はあまり知らず、聞いた事がないからだ。

「じゃあ、口で言うよりは説明した方がいいみたいだな」

 風子は自身のバングルからウインドウを開き、バトルオブスレイヤーのステージを構築し始める。
 画面には多くのエリアがあり、雪、闇、平原、マグマなど様々な種類があるのだ。

「じゃあ、これにしよう」

 風子が武道場のエリアを選択した途端、零夜達の前に虹色の箱が姿を現す。しかもその箱は光を帯びていて、キラキラと光り輝いていた。

「バトルオブスレイヤーではこの箱の中に入ってゲームを行う。さっ、行くぞ!」

 風子が箱に手を直接触れた途端、全員の足元に魔法陣が展開する。同時に彼女達はその場から転移し、箱の中のステージへと向かい出した。



 零夜達は転移されたと同時に辺りを見回すと、ここは武道場となっていた。どうやら転移は成功したが、ステージにいるのは彼、ミミ、ヒカリ、倫子、アミリス、エヴァ、ソニア、ジャンヌとなっている。因みにルリカ、キララ、ジェニー、ヒヨリ、コーネリア、マーリン、杏、マリー、トラマツ、ノースマン、メディア、リリアなどは観客席にいて、試合を観戦する事になっているのだ。

「ここがバトルオブスレイヤーの舞台……そこは武道場の様だな……」

 零夜がキョロキョロと辺りを見回しながら、ステージの全景を眺めていた。他の皆も同様に辺りを見回す中、突然ウインドウが姿を現す。画面上には風子が映っているだけでなく、ポーラ、アナ、メイリーの他に四人の女性達も映っていた。
 茶色のロングヘアをしたメイド女性、赤いボブヘアで袖無しつなぎ服を着ているドワーフ、巫女服の白い九尾の狐族、更には青いロングヘアの女海賊もいたのだ。

『全員揃っているな。ではルールを改めて説明する』

 風子からのルール説明に零夜達だけでなく、観客席にいるルリカ達も真剣な表情で聴き始める。これから起こる戦いは初めて戦うルールであり、話を聞き逃す理由にはいかないだろう。

『試合形式は八対八。戦士達はそれぞれの能力や武器などを使って戦い、相手陣地のフラッグを取るか全滅させれば試合終了。やられてしまった戦士は敗者ゾーンへと強制転移されるので、命の危険性が無いゲームだ』

 デスゲームでは無い事にヒカリ達は安堵し、観客席にいるルリカ達も同様にため息をつく。もしそれがデスゲームだとしたら、仲間を失うのはとても辛く、神々としても断固拒否するだろう。しかし、アークスレイヤーとしてはこのルールは絶対にやるかも知れないが。
 風子はルールの説明の続きを行い、ないようをまとめるとこうなるのだ。

・試合形式は八対八。
・戦士達はそれぞれの能力や武器などを使って戦う。
・相手陣地のフラッグを取るか全滅させれば試合終了。
・やられてしまった戦士は敗者ゾーンへと強制転移される
・時間無制限。
・ルール違反、不正行為は反則負けになる。
 
 これは選ばれし戦士としての自覚を試されるだけでなく、ルール違反をした者は厳しい罰が待っている。まさに厳重なる戦いと言っても良いだろう。
 
『説明は以上だ。始めるぞ!』

 風子の合図と同時にウインドウの画面が変わり、試合スタートまでのカウントダウンが始まる。その時間は十秒間であり、それまでどう作戦を練るのかが重要だ。

「陣地の守りに関してはミミ姉、ヒカリさん、アミリスさんがやってくれ。俺、エヴァ、ソニア、倫子さん、ジャンヌは攻めに向かう!」
「「「了解!」」」

 零夜の指示にミミ達が一斉に応え、観客席にいるトラマツ達がドキドキの表情をしていた。零夜達が選ばれし戦士としての真の実力を試すいい機会なのは勿論、彼等がどう戦いを繰り広げるのか楽しみにしているのだ。

「いよいよ始まるな……」
「ああ……お手並み拝見だな」
「皆、頑張って!」

 ブザーが鳴ったと同時に戦いが始まり、それぞれの戦士達が動き始める。同時にルリカ達も応援の準備に向かい出したその時だった。
 

「さあ、始まりました!零夜率いるブレイブペガサスと、風子率いるプリンセスヴァルキリーズの練習試合!これは見逃せない一戦になります!」
「「「おわっ!」」」


 なんと観客席にウサギの獣人女性が姿を現し、トラマツ達は突然驚いてしまう。いきなりその場で姿を現したら、誰だってビックリするに決まっているのは当然だ。
 因みにウサギの獣人女性はピンクのロングヘアにスポーツブラ、ジーンズを着用しているのだ。

「私は実況のラビリン!バトルオブスレイヤーの実況担当をしています!練習試合でもガンガン実況しますので宜しくお願いします!」
「「「よ、宜しく……」」」
 
 ラビリンの自己紹介にトラマツ達が苦笑いする中、零夜は冷静に進みながら敵陣へと進んでいた。勿論隠密スキルを駆使しながら、見つからない様に素早く移動しているのだ。

(このまま行けば必ず彼女が来るな……)

 零夜が真剣な表情で心の中で思いながら、敵の陣地へと向かっていた。すると……上空から風子が刀を構えながら奇襲するが、零夜は横移動での素早い動きで回避に成功した。

「やっぱり来ましたね。やるからには容赦しません!」

 零夜は忍者刀を構えながら戦闘態勢に入り、風子は真剣な表情をしながら彼に視線を移す。その目はまるで獲物を狙う様な目をしていて、鋭い眼光を放っていた。

「こちらも本気を出すとするか。言い忘れたが、キャプテンがやられたら試合が終わる仕組みとなっている。覚悟はできているか?」
「勿論です。参ります!」

 零夜と風子は同時に飛び出し、激しい戦いを繰り広げ始めたのだった。
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