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第三章 花咲くロベリア革命

第百四話 アビスとの戦い

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 零夜達はロベリアでの革命を終わらせたと同時に、目的地であるグラントルーズへと向かっていた。その基地はロベリアからそう遠くないので、零夜達は空を飛びながら移動している。

「ロベスピエールとアークスレイヤーの関わりがあったのは確実だが、ロベリア支部以外にもその様な事があるかも知れないな」
「ええ。少なくとも他の世界でもその様な事があるし、何れにしても一筋縄では行かないからね」

 零夜とマリーの真剣な推測に、ミミ達も真剣な表情で頷く。そのまま前方にロベリア支部基地の姿が見え、零夜達はその外観に目を奪われていた。

「あれがロベリア支部のアジトか。奴隷達もここにいるとなると、必ず救出しないと!」

 コーネリアは真剣な表情で奴隷がこのアジトにいると推測し、それにアミリス達も頷きながら同意する。
 そこで二手に分かれて行動する事を決断。役割分担はこうなっている。

・アビス討伐:零夜、ミミ、倫子、ジャンヌ、マリー、ルリカ、キララ、日和
・奴隷救出:コーネリア、ヒカリ、ジェニー、エヴァ、アミリス、マーリン、ソニア、杏、トラマツ、ノースマン

 全員がそれぞれの役割を取り掛かる中、トラマツが零夜に近付いてきた。どうやらこれから戦うアビスの事で、伝えなければいけない事があるだろう。
  
「アビスは植物を操る事が出来るが、他にも仕掛けを用意している可能性がある。気をつけてくれ!」
「大丈夫だ。必ず目的を果たしてみせる!」

 トラマツからの真剣なアドバイスに、零夜は真剣な表情で返しながら応える。そのまま彼等は二手に分かれながら行動し始め、それぞれの役割を果たしに向かい出した。



 零夜達は基地内の中に突入し、兵士達を倒しながら突き進んでいく。いくら兵士達が数が多くて挑んでも、零夜達を相手にするのは荷が重すぎたのだろう。

「アビスのいる部屋は屋上にある空中庭園。そこに彼は必ずいるわ!」
「なら、その場所に向かうしかないみたいやね。すぐに急ぐで!」

 マリーの説明に倫子は頷き、彼女の指示で全員が屋上へと向かい出す。その数分後には全員が屋上に到着し、零夜は強く扉を開けたのだ。
 
「見つけたぜ!アビス!」

 零夜が強く叫んだ直後、その前方にはアビスが待ち構えていた。彼等が来る事は事前に予測していて、自ら立ち向かう事を決断していたのだ。

「貴様等だな。私の計画をぶち壊したのは……お陰で折角のストーリーが美しくない結末となってしまった」
「あなたが革命の元凶なのね……アビス!」

 マリーが怒りで叫びながらアビスを睨みつけ、彼はスーツの懐から一本の薔薇を取り出す。そのまま彼は冷静さを保ちつつ、皆に対して自己紹介を始めた。

「その通りだ。私の名はアビス。このロベリア支部の長であり、革命を起こした元凶だ。因みにロベスピエールを召喚したのもこの私だよ」
「「「ええっ!?」」」

 アビスの自己紹介を加えた突然の宣言に、零夜達は信じられない表情で驚きを隠せずにいた。まさかアークスレイヤーが偉人を召喚していたのは、誰もが想定外と感じているだろう。
 すると零夜が、気になる事をアビスに質問してきた。

「アークスレイヤーが偉人を召喚できるのは想定外だったが、他の基地でも偉人を召喚しているのか?」
「その通りだ。だが……君達はここで死ぬ運命となる。私の革命をぶち壊しにした報いを……晴らさせて貰うぞ!」

 アビスは怒りの宣言と同時に、レイピアを両方の手元に召喚して戦闘態勢に入る。彼は二刀流のフェンシングスタイルで戦い、徹底的に攻撃を仕掛けてくるだろう。

「相手はフェンシングスタイル。ここは私が向かうわ!」
「マリーさんが立ち向かうのですか!?」

 マリーがサーベルを構えながら、真剣な表情でアビスに立ち向かう。この展開に日和は勿論、倫子達も驚きを隠せずにいたのは無理なかった。

「ええ。私の国を滅茶苦茶にした報いは必ず取らせないとね。これは私のけじめなの!」

 マリーの真剣な表情での決意を聞いた零夜は、すぐに真剣な表情で彼女に視線を移す。
 どうやら彼女はロベリアを滅茶苦茶にされた怒りを灯していて、それを零夜は心から分かっているのだ。

「なら、この件はマリーに任せる。だが、必ず勝ってくれ!」
「大丈夫!」

 零夜からの熱いエール、にマリーは笑顔でウインクしながら応える。そのまま彼女はサーベルと盾を構えながら、アビスとの戦いに向かい出す。

「さあ、始めるわよ!」
 
 マリーの合図と同時に、彼女とアビスの因縁の戦いが始まりを告げられた。二人は同時に火の玉の様に飛び出し、それぞれの剣をぶつけ合い始める。
 アビスのレイピアとマリーのサーベルがぶつかるたびに火花が散らされ、激しい接戦と化しているのだ。

「いきなり激戦となるなんて……マリーさん、そんなに彼を許さないのでしょうか……」

 この様子にジャンヌは真剣な表情をしつつ、冷や汗を流しながらこの戦いを見ていた。
 普段のマリーならこんな戦いはしない筈だが、今の彼女は怒りを上乗せしながらアビスを倒そうとしているのだ。

「自身の国をここまで酷くさせてしまい、家族まで失ってしまった……その罪を犯してしまった奴を……絶対に許さないと思っているわね」

 日和がこの戦いを真剣な表情で推測する中、ジャンヌは自身が参戦していた百年戦争の事を思い出す。
 それは当時のイングランドが王位継承と言いながらフランスを侵略していた為、フランスは自らの国を滅茶苦茶にされて怒ってしまい、そこから百年戦争に繋がったのだ。
 現在行われているマリーとアビスの戦いも、百年戦争と同じ展開となっている。時代は違えど、この因縁は変わらないのだろう。

(恐らくマリーさんは自らの国に迷惑を掛けた事を許さない為、自らこの戦いに乗り込んだのかも知れない……でも、アビスは何かを隠している……その予感が当たらなければ良いけど……)

 ジャンヌが心の中で理解と不安を隠せない中、ミミ、倫子、ルリカ、キララ、日和は戦いそっちのけで花壇に咲いている花を見ていた。

「あっ、このマリーゴールド、咲いているのですね」
「ここの気候って少し変わっているわね。一年中咲いているみたい」

 倫子が色とりどりの花を見ながら感想を述べたその時、零夜はすぐに真剣な表情で危機感を感じる。

「気を付けてください!ここの花壇……人食い植物が生息しています!」

 零夜が叫んだその時、花壇の奥から茨が飛び出したと同時に人食い植物が姿を現す。色は紫色で花弁には目と口が付属している。この姿はまさに化け物としか言いようがなかったのだった。
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