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第三章 花咲くロベリア革命

第百三話 革命の元凶の元へ

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 ファンキーズが倒れたと同時に戦いは終わったが、まだ問題は残っている。
 それは……住民達がまだOバックを履いているままであり、零夜達はその様子に冷や汗を流していた。油断は禁物と言えるし、下手をしたらとんでもない展開になるのは確定だ。

「まだ奴等が残っているな。油断ならないぜ……」
「ええ……そうなると本格的に倒さないと駄目みたいね。気を付けないと!」

 ミミの宣言に全員が頷き、一斉に住民達に立ち向かおうとしたその時だった。


「あれ?俺達何を……うわっ!なんだこりゃ!」
「「「へ!?」」」


 なんと住民達は一斉に目を覚まし、自身の状態に気付き始める。どうやら彼等はファンキーズからの催眠効果により、Oバックまで平然に履く事が出来たのだ。催眠が解かれた今、恥ずかしさで赤面してしまうのも無理はない。彼等は恥ずかしさで赤面しつつ、その場から移動しようとしたその時だった。


「そこまでだ!」
「そ、その声は……」


 全員が声のした方を見ると、なんとシュヴァリア率いるレジスタンスが姿を現し、彼等は住民達に銃を向けて脅している。ファンキーズやロベスピエールが倒れたとなると、どうする事も出来ないだろう。

「これ以上抵抗するのなら発砲する!ロベスピエールが倒れた今、このコンコルドは我々レジスタンスが占拠した!」

 シュヴァリアの宣言に住民達は驚きを隠せずにいたが、彼等は今の状況を見て全員が手を挙げる。
 ロベスピエールは既に失神して倒れていて、ファンキーズについても戦闘不能の状態となっている。住民達は命を大事にする事を考え、こうするしか方法はなかったのだ。

「シュヴァリアさん!来てくれたのですね!」

 零夜は笑みを浮かべながらシュヴァリアの方を向き、彼は笑顔で返しながら頷く。

「ああ。君達のお陰でこの戦いは終わりを告げられた。本当に感謝する!」

 シュヴァリアの感謝の礼に零夜達は笑顔で応える中、兵士達はロベスピエールとファンキーズの三人、更には議員達も捕まえ、住民達も項垂れながらその場から移動する。
 それと同時にジャコバンズとロベスピエールとの戦いは終わりを告げられ、レジスタンスの勝利に終わったのだ。

「ようやく……終わったのか……」
「うん……でも、立てないかも……」

 零夜達は疲れと同時に地面に膝をついてしまい、そのまま苦笑いをしてしまう。その様子を見たマリーは彼の元へ近付き、ゆっくりと彼を抱き締め始める。

「お疲れ様。あまり無理しなくていいから、ゆっくり休みなさい」
「マリーさん……すみません……」
「良いのよ……今日は私の胸の中で眠りなさい。よしよし」

 マリーの胸の温もりによって、零夜はその身を預けながらゆっくりと寝てしまう。その様子にミミ、ルリカが嫉妬で頬を膨らましてしまい、エヴァは我慢できずに彼の頭にガブリと噛みついてしまった。

「あだーっ!離してくれ~!」
「嫌だー!」

 零夜はエヴァに噛み付かれた痛みに悲鳴を上げながらジャンプしてしまい、走りながら振り解こうとするがなかなか離してくれなかった。

「まあ、これもいつもの事だろうな……」
「俺もそう思った」

 この光景にトラマツ、ノースマンが唖然とする中、突然コーネリアがある事を思い出して立ち上がった。

「こんなところで立ち止まっている場合じゃないわ!まだロベリアのアジトが残っているわよ!」

 コーネリアの叫びに零夜達は一斉にハッと気付き始め、エヴァも噛みつくのを止めて彼女の方に視線を移す。

「革命の支援者であるロベリアのアジトがまだ残っている以上、油断はならないみたいね」
「ええ!だからこそ、ここで立ち止まる理由にはいかないの!皆、すぐに準備を始めましょう!」

 エヴァの推測とコーネリアの宣言に全員が頷き、痛む体を抑えながら次々と立ち上がる。
 零夜は自力でエヴァに噛みつかれた傷を治し始め、ミミ達はストレッチをしながら準備体操を行う。更にトラマツとノースマンは、ロベリア支部のアジトを既に特定していた。

「アジトはロベリアから二km先にあるグラントルーズにある。そこのボスの名前はアビスだ」
「美しき物を愛する男で、植物の使い手だ。奴のつるのムチは強烈なので要注意と言えるだろう」

 トラマツとノースマンの説明に、零夜達は真剣な表情で推測し始める。
 アビスが植物を使えるのなら、炎の能力が鍵となる。しかし、弱点属性ばかりで攻撃しても、そう簡単に倒す事は不可能である。
 この事に関しては零夜達も熟知していて、与えられた場所や能力をどう使うかがカギとなるだろう。

「了解!今はグラントルーズに急ぐぞ!この革命に加担した元凶を倒す為にも!」
「「「おう!」」」

 零夜の宣言にルリカ達も真剣な表情で応え、彼等は急いでグラントルーズへ向かい出した。ロベリア支部にいるアビスを倒し、アークスレイヤーの好き勝手にはさせない事を……



「何!?ロベリアの革命が終わっただと!?」

 ロベリア支部基地にある庭園では、部下からの報告にアビスは驚きを隠せずにいた。まさか革命が早く終わるのは予想外としか言えないだろう。

「ロベスピエール様がレジスタンスによって捕まり、派遣されたベルザル達も消滅。倒したのは選ばれし戦士達との事です!」

 部下からの報告をアビスは真摯に受け止めながら、今後の事を考える。
 零夜達はすぐにこちらに向かおうとしていて、自分達を倒そうとしている。しかもその中にマリーがいるのなら、彼女まで倒さなくてはならない。まさに正念場だというべきだろう。

「恐らく奴等はこの私を倒そうとしている。すぐに迎撃態勢を用意しろ!」
「分かりました。我々もすぐに迎え撃ちます!」

 部下は零夜達を倒す為に急いでその場から移動し、一人になったアビスは怒りの表情で拳を強く握りしめる。
 自身の計画をぶち壊しにした零夜達を憎むのは無理なく、身体から怒りのオーラも溢れていた。

「まさか私の計画をぶち壊す輩がいるとはな……実に美しくない結末だ……」

 アビスは怒りでワナワナと震え、計画をぶち壊した零夜を心底憎んでいた。しかし彼はすぐに落ち着きを取り戻し、冷静な表情となって前を向く。

「だが、彼等がここに来るのは確定済だ。奴等を必ず始末し、私の美しきストーリーを繰り広げないとな……」

 アビスは冷静な表情をしながらも、零夜達を倒す事を心から決意。それと同時に戦いの舞台は、ロベリア国内からロベリア支部基地へと移り変わるのであった。
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