上 下
100 / 270
第三章 花咲くロベリア革命

第九十八話 コンコルドでの激闘

しおりを挟む
「バカな!ほとんどが選ばれし戦士達によってやられただと!?」

 ロベリアの首都コンコルドにある会議場では、零夜達によって四つの主要都市が陥落してしまう事態に誰もが驚きを隠せずにいた。
 昨日と今日で四つの主要都市が早めに陥落陥落するのはあり得ないし、誰もがパニックになるのも無理ない。

「はい!それによってアークスレイヤーの支援は打ち切りとなり、こうなると最後の砦である変態三兄弟に頼むしかありません!」

 部下からの説明にロベスピエールは納得するが、変態三兄弟と聞くとがっくりと項垂れてしまう。
 彼等三人はとんでもない変態と言われていて、ジャコバンズどころか革命軍の恥だと言われているのだ。

「なんであいつ等がジャコバンズのリーダーなのか分からない。もう少しまともな奴はいないのか……」

 ロベスピエールはガックリと項垂れてしまい、この様子に議員達も同情するしかなかった。頼りになる存在がこの変態だけとなり、むしろ勘弁して欲しい気持ちが強いのも無理なかった。



 ルブランを解放した零夜達は、倫子達と無事に合流。そのままコンコルドに到着し、ロベスピエールのいる議会場へと向かっている。

「議会場まではもう少し!けど、油断は禁物よ!」
「ええ!ジャコバンズの奴等もいるし、革命推進派の住民達もいるからね……」

 マリーのアドバイスに全員が頷きながら応えるが、コーネリアは真剣な表情をしながら周囲を見回していた。

「近くにはコンコルド広場があるし、そこには最後の敵もいるからね……ん?あれは……」

 アミリスが目の前を見ると、なんとギロチンが置いてある処刑台が置かれていた。しかもその場所はコンコルド広場で、住民達も待ち構えていたのだ。

「ギロチンのある処刑台……どうやらここの住民達はイカれているわね……」

 キララ達が目の前の光景に冷や汗を流す中、住民達が彼等の方を向いて罵声を言い始める。目は血眼となって狂気を纏い、近付いたら巻き込まれるイメージが印象付けられるのも無理はない。

「マリー・アントワネットだ!今度こそ処刑しろ!」
「「「殺せ!殺せ!殺せ!」」」

 住民達の酷い罵声を聞いたマリーは悲しそうな目をしていて、ジャンヌは優しく彼女を支え始める。革命とはいえそこまで発展するのは、異常な展開としか言えないのだ。
 しかし零夜は冷静に住民達に視線を移し、そのまま盛大に息を大きく吸い込む。

「黙れ!勝手に決めつけるな!」

 零夜の怒りの叫びと同時に、住民達は突然叫ぶのを止めてしまう。そのまま彼はマリーの隣に移動し、住民達をギロリと睨みつける。背中からは怒りのオーラが溢れていて、ミミ達は思わず息を呑んでしまう。

「彼女はこの国の為に働いていたんだ。だが、ロベスピエールがとんでもない革命を犯したせいで今に至る。それに支持をしたお前等も愚か者だ!」
「零夜……」

 零夜の怒りの叫びに、マリーは嬉しさのあまり目に涙を浮かべてしまう。
 零夜は仲間思いである為、どんな困難でも守り切る覚悟がある。更に仲間を馬鹿にしたり傷付こうとする者は、容赦なく襲い掛かる性格も持っているのだ。
 ミミ達も零夜の優しさと怒りに同情しながら頷き、笑みを浮かべていた。
 
「愚か者だと!?それはお前等の方だ!」
「やっちまえ!」
 
 しかし。住民達の怒りはますますヒートアップしてしまい、そのまま零夜達に襲い掛かる。何を言っても無駄である事には間違いない。

「悪に加担をしているお前等は間違っている……こうなりゃ、奥の手だ!」

 零夜はすぐに跳躍したと同時に、拳に力を込めながら地面に向けて急降下。そのまま地面に拳を叩き込んだ途端、地面から強烈な光が放たれた。

「最大奥義、自来也じらいや!」

 すると敵味方関係なく、周りにいる全員に光が襲い掛かる。同時にこのコンコルド広場で、強烈な大爆発が起きてしまった……



「いやー、建物は無事だが、住民達を多く倒してしまうとは……」

 トラマツとノースマンはバリアを張っていて、大爆発に巻き込まれず無事に過ごす事ができた。しかし、目の前の光景にポカンとしているのも無理はなく、むしろ唖然とするしかなかったのだ。
 コンコルドの建物は無事だが、住民達は一斉にズタボロに倒れて意識不明の重体に。倫子達はなんとか無事だが、爆発に巻き込まれて服に焦げ目の跡が付いていた。

「ウチ等まで殺す気か、アホンダラ!!」
「すいません……怒りで我を忘れてしまって……」
「やり過ぎにも程があるでしょ!」

 倫子達はギャーギャー言いながら零夜を叱っていて、彼は頭を下げながら反省していた。するとアミリスが敵の気配を察し、その場にいる全員に呼びかけ始める。

「来るわ!奴等が……」
「「「!?」」」

 アミリスの真剣な表情での声かけと同時に、全員が危機感を感じながら身構える。すると……スピーカーから突然の声が聞こえ始めた。

『レディース・アンド・ジェントルメン!ウェルカム・トゥ・コンコルド!』

 宣言と同時にスピーカーから歓声が響き渡り、その歓声を聞いた零夜、ヒカリ、ミミ、倫子の四人は思わず冷や汗を流してしまう。

「このパターン……」
「まさか……」

 スピーカーからの声に零夜達はガタガタ震えてしまい、エヴァ達は疑問に思いなから首を傾げてしまう。
 零夜達は元の世界で、マキシマムという変態集団の行為を間近で見ていた。その行為はまさにトラウマレベルと言われている為、零夜達が震えるのも無理はない。しかし、エヴァ達はその人達とは会った事がなく、むしろどんな人物か気になっていたのだ。

『おいおい。選ばれし戦士達よ。よくもここの住民達を攻撃してくれたな。その責任をどうしてくれるんだ?』
「アンタ等の革命が行き過ぎるからこの様になったんだよ!全員罪を償うべきだ!」

 スピーカーからの質問に零夜は反論し、それにエヴァ達も同意する。元はと言えば革命軍によってロベリアは滅茶苦茶となり、住民達まで今の様におかしくなった。その責任は彼等にある為、罪を償わなければならない。

『そうか……それなら徹底的に殺してやる。イッツタイム、イッツ……ヒート……ショータイム!」

 するといかがわしい音楽がスピーカーから流れてしまい、同時に零夜達は真剣な表情をしながら戦闘態勢に入ろうとする。
 すると向こう側から変態の格好をした三兄弟が姿を現す。ピンクのモヒカンでTバックパンツの男がバル、ファンキーな髪型で普通のレスラー姿のブル、そして角刈りでOバックの男がボルであり、彼等こそロベリアにおける変態三兄弟であるのだ。

「俺達はジャコバンズのリーダーである変態三兄弟『ファンキーズ』!てめぇ等の馬鹿なやり方はぶち壊すのみだ!」

 バルの怒りの宣言の後、そのままゴングが鳴り響く。同時にロベリア革命のラストバトルが始まろうとしていたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...