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第三章 花咲くロベリア革命

第八十五話 バブーフとの戦い

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 バブーフとの戦いが始まり、彼は炎の拳で零夜達に襲い掛かる。すぐにヒカリはシールドをアクアシールドに変え、カウンターガードで防ぐ事に成功した。

「がっ!」
 
 バブーフは弾き飛ばされて地面に背中を強打するが、すぐに立ち上がる。ヒカリの盾にも炎の焼け跡が残っていて、水も少し蒸発していた。それぐらい彼の威力は凄いとしか言えないだろう。

「この様子から見ると……今までよりは手強いみたいね」
「ええ。べムールよりは手強いと感じます」

 ヒカリとジェニーがバブーフの強さに冷や汗を流す中、彼女達の会話を聞いた彼はある事を思い出す。

「お前ら等がホムラ支部を倒した事は聞いている。だが、グラディアスにある支部の中では最弱と言われているからな」
「最弱……となると、このロベリア支部はホムラ支部よりも手強いという事ね……」

 バブーフの邪悪な笑みでの説明に、ミミが冷や汗を流すのも無理ない。ホムラ支部が一番下なら、ロベリアでの戦いは更に上のレベルとなる。まさにこの戦いは避けられぬ試練となるだろう。
 するとべムールは両手から炎を出し、再び零夜達に向けて放ってくる。

「炎が来るぞ、躱せ!」

 トラマツの合図で全員が回避した直後、炎は自在に動きまくってエヴァに襲い掛かる。

「エヴァ、危ない!」

 それを見た零夜は危機感を察しながら駆け出し、エヴァを真正面から抱き締める。しかし、背中に炎の攻撃を喰らってしまったのだ。

「ぐっ!」

 零夜は背中にダメージを受けながらも、両足を地面に着地させて踏ん張った。しかし、背中には焦げ目の跡が残されていて、エヴァは心配そうな表情で彼を見つめる。

「零夜、大丈夫?私をかばうなんて……」
「なんとかな……このぐらいは平気だ」

 エヴァが心配する中、零夜は苦笑いしながら自力で回復し始める。背中の焦げ目も消えてしまい、傷も完治したのだ。

「ほう。仲間を守る覚悟はあるみたいだな。もう一度行くぞ!」

 バブーフは零夜の行動を称賛しながらも、炎を再び口から吹こうとする。しかし、そうはさせまいとエヴァが駆け出して、彼の首に強烈なラリアットを炸裂させた。

「ぶほっ!」

 ラリアットを喰らったバブーフは背中を地面に激突させてしまい、エヴァが彼を見下しながら腕を鳴らし始める。どうやら愛する者を傷つけた罪は重く、かなり激怒しているのだ。

「アンタ、よくも零夜をやってくれたわね?倍返しに終わらせてあげるわ!」

 エヴァは怒りの表情でバブーフの首根っこを掴み、そのまま彼の腹に強烈な拳を当てる。その威力は岩を完全に破壊する威力で、一撃でノックアウトされてしまうのも無理ないだろう。
 更に追い打ちを掛ける様にバブーフを上空に投げ飛ばし、エヴァも跳躍して左足を限界まで上げ始める。

空中くうちゅう断罪脚だんざいきゃく!」

 そのままエヴァの左足の踵が、バブーフの後頭部に炸裂。彼はそのまま頭から地面に激突してしまい、前のめりに倒れてしまった。

「エヴァ、今の技は良かったぞ!」
「零夜を傷つけた以上は倍に返さないとね!これで懲りればいいけど」

 零夜からの称賛にエヴァが笑顔で返す中、ルリカが真剣な表情でバブーフの様子を警戒する。今の一撃で終わるとは思ってなく、むしろ油断できないと感じているだろう。

「待ってください!油断なりません!」
「「「?」」」

 ルリカの合図に零夜達がバブーフの方を見ると、彼は自力で起き上がっていた。かなりの威力なのに立ち上がるのは見事であるが、その表情は怒りで満ち溢れていた。

「なるほど。どうやらお前等を甘く見ていたな……なら、今度は俺の覚悟を見せてやる!」
「覚悟だと!?」

 バブーフは自ら炎に包まれたと同時に、姿を変化させていく。そのまま炎が消えた直後、彼は頭以外全身炎の鎧を身に纏っていた。これこそバブーフの真の姿と言えるべきだろう。

「これが俺の真の姿だ。ここまで本気にさせたのは、お前等が初めてだ。さあ、第二ラウンドと行こうか!」

 バブーフは炎の鎧を身に纏いながら零夜達に襲い掛かり、彼等は次々と回避しつつ攻撃を仕掛けようとする。

「これでも喰らいなさい!アローショット!」
「ブレイドスラッシュ!」
炎魔脚えんまきゃく!」
飛龍弾ひりゅうだん!」

 カルミナの弓矢、ソニアのカタール攻撃、キララの炎の蹴り技、ジェニーの強烈アッパーが襲い掛かるが、鎧はとても硬く攻撃が効かぬない。それどころか炎の威力もとても強く、格闘技では火傷を負うのも無理はない。

「「あっちー!」」
「今、治療するわ!」
「私も手伝います!」

 キララとジェニーは拳と足を火傷してしまい、熱さによって悲鳴を上げながら飛び跳ねてしまう。マリーが回復魔術で彼女達の火傷を治療し始め、ジャンヌもサポートしながら治癒を開始する。

「なんて固さだ!おまけに火傷まで付いているなんて……」
「バブーフ……どうやら一筋縄ではいかないわね……」

 ソニアとアミリスは、バブーフの鎧の強度と炎の威力に冷や汗を流してしまう。すかさず彼は両手から炎を出し、零夜達に狙いを定めながら攻撃を繰り出そうとする。

「次はこちらの番だ!フレイムトス!」

 バブーフは炎の球を次々と投げまくり、零夜達は素早い動きで再び回避する。すると炎の球は途中で向きを変えてしまい、倫子のお尻に当たって爆発したのだ。

「キャッ!」
「藍原さん!」

 倫子はお尻に炎のダメージを喰らってしまい、服に焦げ跡が付いてしまった。それを見た日和は彼女の元に駆け寄り、抱き寄せながらヒーリングを開始する。

「痛い……」
「治療していますから、我慢してください」
「ふえ……」

 倫子は既に涙目となってしまい、日和が彼女を抱き寄せながら治癒を行う。火傷は少しずつ治っていく中、零夜達はバブーフを真剣な表情で睨み付けていた。

「俺の炎は自由自在!操る事ができたり、サーチも可能だ!まだまだ行くぞ!」

 更にバブーフは次々と炎を操りながら攻撃を仕掛け、ジワジワと零夜達を追い詰めていく。レベルが高いほど苦戦するだけでなく、これまでの敵とは大違いである事を実感させられている。甘く見ると痛い目に遭うのは確定だろう。
 
(くそっ……なんて厄介な炎だ……このままだとやられてしまうのも時間の問題。せめて水攻撃で奴の鎧の隙間に入れる事ができれば……ん?)

 零夜が冷や汗を流しながら状況打破を考える中、バブーフの鎧をよく見てみる。胸の部分に罅が少し入っているのが見えていて、一撃当たれば破壊されてしまうだろう。

「あそこにある罅……もしかすると……これはいけるかも!」

 零夜は鎧にある罅を見て推測した直後、マーリンに視線を移しながら彼女を呼び寄せる。何か策があるのだろう。

「マーリン、ちょっと耳を貸してくれ。策を思いついたんだ」
「ん?」

 零夜はボソボソとマーリンに耳打ちし、その内容に彼女は納得しながら格闘技の構えに入る。恐らく今の行動が作戦である事に間違いないが、近接攻撃をすれば自己犠牲となってしまう。

「ほう。俺とタイマンか!なら、やってみようじゃねえか」
(まずは乗ってきたわね。零夜の作戦が上手くいくのなら、私はそれに賭けてみるわ!ここからが……あなたの破滅の始まりよ!)

 マーリンはバブーフが戦う構えに入るのを見て、心の中で思いながら宣言をする。そのまま二人は同時に飛び出し、激しい戦いを繰り広げ始めた。
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